『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~

しげぞうじいさん

43節

 お嬢様は子供が生まれたと知ると、毎日のように子供を見に街へ行った。お嬢様は目立つ容姿をしているから、皆覚えてしまったらしい。街に行くたびに、
「今日はお嬢様と一緒じゃないのか?」
と言われる。
 お嬢様の子供好きにも困ったものだ。でも、悪いとは思わない。私も子供が好きだ。たまに私もお嬢様と一緒に子供を見に行っている。その帰りに、執事たちが開いた店によって食事するのが恒例だ。お嬢様曰く、
「私が作る料理と似た味がするな。まあ、私が作っていたから当然か。私の味を真似するしかなかったんだから」
だと。自分の料理が広まるのを嬉しそうにしている。
 私は仕事が増えたお蔭でお嬢様に会いに行く時間が中々作れなくなった。もうこの城を掃除するのは私たち四人しかいない。広く感じた城は何だが寂しい。
 お嬢様は食費などの計算で大変なのだろうが、肉体労働と頭では疲れ方が違う。でも、文句は言ってられない。私が決めたことなのだから。
 時間を見つけてはお嬢様と妹様と一緒にミラに仕事を教えている。まだ、慣れない手つきで箒を持たせると心配だが、元気いっぱいの笑顔を見るとつい甘やかしてしまう。これではいけない。お嬢様は皿洗いを教えているが肝心のお嬢様自身がお皿を割ってしまう。お嬢様、お皿洗いも満足に出来なんですか?そうして笑っているとお嬢様は怒りだす。いつものパターンだ。妹様は窓ふきの仕方などを教えている。
「こうやって拭くんですよ?」
とミラに教えると、ミラはすぐに出来るようになった。お嬢様や私より教えるのが上手いみたいだ。それをお嬢様は良く思っていないのか、対抗して窓を拭いている。でも、たまに窓から落ちるときがある。その時は心配して外に出るが、お嬢様はピンピンしている。「吸血鬼はこの程度じゃ怪我の内にも入らん」
と言っているが、それでも急に窓から落ちられると心配するじゃないですか。そう怒るとお嬢様は笑ってすまないと言う。笑い事じゃあないですよ!

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