『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
38節
それから数日が経ち、皆仕事に慣れてきたころ、フウさんの様子がおかしくなった。何というか楽しそうなんだが、どこか上の空のようだった。
「何かあったの?」
私は聞いてみたが、
「いや~、べっつに~」
と笑って返されるだけだった。
お嬢様にその事を報告すると、
「ああ、フウは何でも旅をしている男に好意を持っているみたいでな。良く街へ行ってはその男の元にいるみたいだ。フウがここを出て行くのも時間の問題だろうな」
と答えが返って来た。
「なんでそんな詳しいですか?」
「本人に聞いたからだ」
「私……聞いても誤魔化されるですけど……」
「信用されていないんじゃないのか」
私はショックを受けた。そしてその場に倒れた。
「冗談だ。たぶん、皆にびっくりさせてやろうと思っているんだと思う。だからそんなに落ち込むな。私が悪者になってしまうではないか」
「そうですね……そう思いたいです……」
私はフラフラしながら部屋を出た。後ろからお嬢様が、大丈夫かと言う声が聞こえたが、私の耳にはそれは聞こえなかった。
私はフウさんの事が気になり、後をつけてみた。街へ行って一体どんな男性と付き合っているのか確かめに。フウさんは城を出るとき、周りを確かめてから街へ行くようだ。そして街へ行くと、一軒の宿屋に入って行った。その中に入り、店の人に事情を話して、フウさんが入って行った部屋をのぞいてみた。すると、男性の笑い声とフウさんの話声が聞こえてきた。一体どんな男性なのだろうか……
そこにはよく日焼けしたような肌の色をした男性と一緒に座っているフウさんの姿があった。二人はたわいもない話で盛り上がって、たまにフウさんがツッコミを入れている。話を聞くのに夢中になって、後ろから来たミイさんに気付くのが遅れた。
「何しているの?」
「ひっ!?」
「何しているのか聞いている」
「え、えっと……これは……」
言えない、フウさんを尾行していたなんて……
その時、部屋のドアが開いた。
「……二人とも何しているの?」
フウさんに見つかった。私は大人しく二人に事情を説明した。
「なんだ、そんなことで私を尾行してたの?」
「はい……」
私は借りてきた猫みたいに大人しく返事した。
「皆には内緒だよ?実は私たちこの人と一緒に旅しようと思ってるんだ」
「え、ミイさんも?」
「うん、私たちは二人で一人みたいな存在だから、一緒に行く」
そう言えば、二人はいつも一緒にいる。部屋も同じところだし、掃除も二人でやっている。
「まだ出て行く日は決めてないけど、いずれ出て行くからよろしくね」
「うん、わかった」
私は事情を聞くと、城に戻った。お嬢様には今回の事は報告しないでいいだろう。お嬢様もきっとビックリするはずだ。フウさんだけだと思っていたら実はミイさんも一緒に出て行くだなんて知ったら……きっとお嬢様はまた泣くと思うな。
フウさんは自分達が出て行くその時までお嬢様に何も言わなかった。他の人達にもだ。出て行くと教えたのは全ての準備が整ってからだった。
「何かあったの?」
私は聞いてみたが、
「いや~、べっつに~」
と笑って返されるだけだった。
お嬢様にその事を報告すると、
「ああ、フウは何でも旅をしている男に好意を持っているみたいでな。良く街へ行ってはその男の元にいるみたいだ。フウがここを出て行くのも時間の問題だろうな」
と答えが返って来た。
「なんでそんな詳しいですか?」
「本人に聞いたからだ」
「私……聞いても誤魔化されるですけど……」
「信用されていないんじゃないのか」
私はショックを受けた。そしてその場に倒れた。
「冗談だ。たぶん、皆にびっくりさせてやろうと思っているんだと思う。だからそんなに落ち込むな。私が悪者になってしまうではないか」
「そうですね……そう思いたいです……」
私はフラフラしながら部屋を出た。後ろからお嬢様が、大丈夫かと言う声が聞こえたが、私の耳にはそれは聞こえなかった。
私はフウさんの事が気になり、後をつけてみた。街へ行って一体どんな男性と付き合っているのか確かめに。フウさんは城を出るとき、周りを確かめてから街へ行くようだ。そして街へ行くと、一軒の宿屋に入って行った。その中に入り、店の人に事情を話して、フウさんが入って行った部屋をのぞいてみた。すると、男性の笑い声とフウさんの話声が聞こえてきた。一体どんな男性なのだろうか……
そこにはよく日焼けしたような肌の色をした男性と一緒に座っているフウさんの姿があった。二人はたわいもない話で盛り上がって、たまにフウさんがツッコミを入れている。話を聞くのに夢中になって、後ろから来たミイさんに気付くのが遅れた。
「何しているの?」
「ひっ!?」
「何しているのか聞いている」
「え、えっと……これは……」
言えない、フウさんを尾行していたなんて……
その時、部屋のドアが開いた。
「……二人とも何しているの?」
フウさんに見つかった。私は大人しく二人に事情を説明した。
「なんだ、そんなことで私を尾行してたの?」
「はい……」
私は借りてきた猫みたいに大人しく返事した。
「皆には内緒だよ?実は私たちこの人と一緒に旅しようと思ってるんだ」
「え、ミイさんも?」
「うん、私たちは二人で一人みたいな存在だから、一緒に行く」
そう言えば、二人はいつも一緒にいる。部屋も同じところだし、掃除も二人でやっている。
「まだ出て行く日は決めてないけど、いずれ出て行くからよろしくね」
「うん、わかった」
私は事情を聞くと、城に戻った。お嬢様には今回の事は報告しないでいいだろう。お嬢様もきっとビックリするはずだ。フウさんだけだと思っていたら実はミイさんも一緒に出て行くだなんて知ったら……きっとお嬢様はまた泣くと思うな。
フウさんは自分達が出て行くその時までお嬢様に何も言わなかった。他の人達にもだ。出て行くと教えたのは全ての準備が整ってからだった。
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