『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
42節
それから季節は過ぎ、何回目かの春になった。街に引っ越した執事の一人がやってきた。その手には赤ん坊が抱かれている。奥さんも一緒だ。
「そうか……お前ももう立派な父親か。おー、よしよし。良い子だな」
「お嬢様、名前を付けていただけませんか?立派な女の子に育つように」
「うむ、その願いしかと聞き届けた。立派な名前を付けてやろう」
「ありがとうございます」
「あー、うー」
赤ん坊はお嬢様の腕の中でもがいている。
「おー、よしよし、そんなに暴れなくても大丈夫だぞ。お前の両親から名付け親になってくれと頼まれたからな。立派な名前を付けてやるぞ」
「お嬢様、まだ小さい赤ん坊にそんなこと言ってもわからないでしょう……?」
「あー、おじょー……さまー」
「ッ!」
「今なんて!?」
「お嬢様と確かに言ったぞ、この子。おい、まだ喋れないはずだろう!?」
「確かに……私たちはまだこの子が喋るところを見たことがありません……それに、お嬢様とは……」
三人は驚きを隠せなかった。何故赤ん坊が『お嬢様』と喋ったのかわからない。
「もしかして……お前は、ヨウ……なのか?」
「あー、うー」
赤ん坊はその名前を呼ばれると返事をしたかのように声をあげた。
「そうですか……この子はヨウさんの……」
「そうか……また会ったな、ヨウ?」
お嬢様と執事とその奥さんは微笑んでいる。ヨウさんの生まれ変わりかもしれないこの子をお様は抱きしめた。
「お前は生まれ変わっても私の側にいるな。そこまで私が恋しいか?」
「あー」
「そうかそうか。では名前を付ける為に城へ入ろうか。お前が綺麗に掃除してくれた我が城へ」
三人は城の中に入って行った。
私は掃除が終わり、お茶の時間だったのでお茶を持ってお嬢様の寝室に行った。するとお嬢様は寝ていた。赤ん坊を傍に置いて。
「これは……?」
「しっ、お嬢様は名前を考えるのに頭を使い疲れて今は休憩してるんです。起こさないように」
「わかったわ」
「フフ……お嬢様にこんなに考えてもらって私たちは幸せ者です」
「ゆっくりしてってくださいね」
私は二人にお茶を出した。その隙に寝ているお嬢様の寝顔を見た。なんて無防備に寝ているんだろう。気持ちよさそうだ。お嬢様の寝息が聞こえる。
「スー……スー……」
綺麗な寝顔だ。お嬢様は普段大人の女性のようにきりっとしているが、こうしてみると、子供のような寝顔だ。私はお嬢様の顔にかかった髪の毛を指で払った。
「んー、名前は何がいいかなー……」
びっくりした。お嬢様は寝言を言っているのだ。起きたかと思った。
私はこれ以上お嬢様の邪魔にならないように持ってきた残りのお茶を持って、部屋を出て行った。
二時間後、寝室から執事と奥さんと赤ん坊が出てきた。
「どんな名前にしてもらったの?」
「立派な名前だよ。ホロって名前を付けてもらったんだ」
「いい名前ね。これから街に帰るの?」
「ええ、お父さんったら孫が可愛くて可愛くてずっと一緒にいるんです。これ以上城に居たら怒られちゃいます」
そう言って三人は城を出て行った。寝室から出てきたお嬢様は目が腫れていた。
「お嬢様、泣いていたんですか?」
「当たり前だろう。自分が育てた子供に子供を授かったのだ。それにあの子はヨウの生まれ変わりだ。泣かないでどうする?」
「フフ……お嬢様、人間らしいですね」
「誉め言葉として受け取っておこう」
お嬢様と笑いながら日々を過ごしていた。
「そうか……お前ももう立派な父親か。おー、よしよし。良い子だな」
「お嬢様、名前を付けていただけませんか?立派な女の子に育つように」
「うむ、その願いしかと聞き届けた。立派な名前を付けてやろう」
「ありがとうございます」
「あー、うー」
赤ん坊はお嬢様の腕の中でもがいている。
「おー、よしよし、そんなに暴れなくても大丈夫だぞ。お前の両親から名付け親になってくれと頼まれたからな。立派な名前を付けてやるぞ」
「お嬢様、まだ小さい赤ん坊にそんなこと言ってもわからないでしょう……?」
「あー、おじょー……さまー」
「ッ!」
「今なんて!?」
「お嬢様と確かに言ったぞ、この子。おい、まだ喋れないはずだろう!?」
「確かに……私たちはまだこの子が喋るところを見たことがありません……それに、お嬢様とは……」
三人は驚きを隠せなかった。何故赤ん坊が『お嬢様』と喋ったのかわからない。
「もしかして……お前は、ヨウ……なのか?」
「あー、うー」
赤ん坊はその名前を呼ばれると返事をしたかのように声をあげた。
「そうですか……この子はヨウさんの……」
「そうか……また会ったな、ヨウ?」
お嬢様と執事とその奥さんは微笑んでいる。ヨウさんの生まれ変わりかもしれないこの子をお様は抱きしめた。
「お前は生まれ変わっても私の側にいるな。そこまで私が恋しいか?」
「あー」
「そうかそうか。では名前を付ける為に城へ入ろうか。お前が綺麗に掃除してくれた我が城へ」
三人は城の中に入って行った。
私は掃除が終わり、お茶の時間だったのでお茶を持ってお嬢様の寝室に行った。するとお嬢様は寝ていた。赤ん坊を傍に置いて。
「これは……?」
「しっ、お嬢様は名前を考えるのに頭を使い疲れて今は休憩してるんです。起こさないように」
「わかったわ」
「フフ……お嬢様にこんなに考えてもらって私たちは幸せ者です」
「ゆっくりしてってくださいね」
私は二人にお茶を出した。その隙に寝ているお嬢様の寝顔を見た。なんて無防備に寝ているんだろう。気持ちよさそうだ。お嬢様の寝息が聞こえる。
「スー……スー……」
綺麗な寝顔だ。お嬢様は普段大人の女性のようにきりっとしているが、こうしてみると、子供のような寝顔だ。私はお嬢様の顔にかかった髪の毛を指で払った。
「んー、名前は何がいいかなー……」
びっくりした。お嬢様は寝言を言っているのだ。起きたかと思った。
私はこれ以上お嬢様の邪魔にならないように持ってきた残りのお茶を持って、部屋を出て行った。
二時間後、寝室から執事と奥さんと赤ん坊が出てきた。
「どんな名前にしてもらったの?」
「立派な名前だよ。ホロって名前を付けてもらったんだ」
「いい名前ね。これから街に帰るの?」
「ええ、お父さんったら孫が可愛くて可愛くてずっと一緒にいるんです。これ以上城に居たら怒られちゃいます」
そう言って三人は城を出て行った。寝室から出てきたお嬢様は目が腫れていた。
「お嬢様、泣いていたんですか?」
「当たり前だろう。自分が育てた子供に子供を授かったのだ。それにあの子はヨウの生まれ変わりだ。泣かないでどうする?」
「フフ……お嬢様、人間らしいですね」
「誉め言葉として受け取っておこう」
お嬢様と笑いながら日々を過ごしていた。
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