『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
29節
五年後、ミラは立派な女の子になった。皆仕事を放り出してミラと遊んでいる。ミラは皆と遊んでいる時は楽しそうにずっと笑っているようだ。
ミラの事はお嬢様が全部してくださった。でも、
「オムツを変えるのが一番大変だった」
と言っているが、オムツを卒業した時は、
「もう、私の手から離れるのか~……」
等と言って泣いていた。一番ミラから離れたくなかったのはお嬢様自身だったのだ。これではどちらが子供かわからない。
ミラはこのままドンドン大きくなるのか。楽しみだねと皆で話していた。
五年の間に近くに大きな街が出来た。そこで買い物をしていると常連さんになってしまったようで顔を覚えられた。
「お、お嬢ちゃん今日も来たね!さあ、沢山買ってってくれ!」
「いや、今日はこの店に用はないんです……」
「ミナちゃん!今日は野菜が安いよ!どう?買わない?」
「買います!あとおまけもして!」
「あいよ、毎度あり!」
つい買ってしまった。でも、いずれ必要になるものだから安いうちに買っておいて損はないだろう。えーと、今日の買い物リストは……
買い物をしていると、城の執事に出会った。その隣には可愛らしい女性がいる。
「こんなところで何しているの?」
「いや、実は……」
「ははぁ……もしかして彼女さん?」
「どうも、お付き合いさせてもらってます。よろしくお願いします」
隣の女性は私に頭を軽く下げた。
「こちらこそ……よろしくお願いします……」
「そういう訳だから、ヒイさんには内緒にしててね?あの人に知られると仕事がどうとかこうとか言われそうだから」
「わかってる。内緒にしておくわ」
「ありがとう!じゃあ俺達はこれで……」
そう言って二人はどこかに行ってしまった。いいな、あんな風に好きな人と隣同士で歩けたら……
私はそんなことを思いながら買い物を終え、城に帰って行った。
玉座の間でお嬢様に、
「最近、城の人達に恋人ができたようですね」
と言うと、
「ああ、あいつらもそろそろ自立する時が来たんだ。祝ってやらないとな。でも……食費が……金が……」
と言ってきた。
お嬢様は食費の資料を見て頭を抱えている。それを見て私はクスクスと笑う。
「……何がおかしいんだミナ?」
「いえ別に?」
「お前はこの五年で可愛げが無くなったな……歳のせいか?」
「お嬢様、あまり女性に歳を言うものじゃないですよ」
私は無言の圧力をかけた。
「わ、わかったから!わかったからお前は仕事に戻れ!」
「はい、お嬢様」
そして私は五年間やって来た仕事をした。最近慣れたからかもしれないが、掃除の時間が短縮できるようになった。
城の中で執事たちは恋人ができたのか、たまに城からいなくなる時がある。その分の仕事は他の執事に任せているみたいだ。でもその事をヒイさんにバレてお説教を喰らっていてはどうしようもない。自分たちの仕事が終わってから会いに行きなさいと言われているみたいだ。
でも、ヒイさんもたまにいなくなる時がある。皆と同じで恋人が出来たのか、それとも執事たちの後をつけて、お説教をするのかわからない。それでも彼女は仕事をきっちりとこなしている。
皆の生活が変わったからなのか、お嬢様の生活も変わった。前まではたまに食堂に来なかったのが、今では毎日来ている。ミラと遊ぶときは全ての仕事を放り出して全力で遊んでいる。ミラと遊び終わった後で書類を見て絶望を味わっている姿を見るのは私の密かな楽しみだ。このことはお嬢様には言えない。
李狼は相変わらず門番の役目を果たしている。たまに会話する時があるが、愛想のない返事ばかりで話が弾まない。時々、裏庭の掃除に行くと、李狼は剪定をしている。その時になると、彼は決まってサツマイモを持ってきて焼き芋を作ってくれる。それを皆で食べるのはもう何回目だろうか。数えきれないぐらいだ。
こんな楽しい毎日がずっと続きますように……
ミラの事はお嬢様が全部してくださった。でも、
「オムツを変えるのが一番大変だった」
と言っているが、オムツを卒業した時は、
「もう、私の手から離れるのか~……」
等と言って泣いていた。一番ミラから離れたくなかったのはお嬢様自身だったのだ。これではどちらが子供かわからない。
ミラはこのままドンドン大きくなるのか。楽しみだねと皆で話していた。
五年の間に近くに大きな街が出来た。そこで買い物をしていると常連さんになってしまったようで顔を覚えられた。
「お、お嬢ちゃん今日も来たね!さあ、沢山買ってってくれ!」
「いや、今日はこの店に用はないんです……」
「ミナちゃん!今日は野菜が安いよ!どう?買わない?」
「買います!あとおまけもして!」
「あいよ、毎度あり!」
つい買ってしまった。でも、いずれ必要になるものだから安いうちに買っておいて損はないだろう。えーと、今日の買い物リストは……
買い物をしていると、城の執事に出会った。その隣には可愛らしい女性がいる。
「こんなところで何しているの?」
「いや、実は……」
「ははぁ……もしかして彼女さん?」
「どうも、お付き合いさせてもらってます。よろしくお願いします」
隣の女性は私に頭を軽く下げた。
「こちらこそ……よろしくお願いします……」
「そういう訳だから、ヒイさんには内緒にしててね?あの人に知られると仕事がどうとかこうとか言われそうだから」
「わかってる。内緒にしておくわ」
「ありがとう!じゃあ俺達はこれで……」
そう言って二人はどこかに行ってしまった。いいな、あんな風に好きな人と隣同士で歩けたら……
私はそんなことを思いながら買い物を終え、城に帰って行った。
玉座の間でお嬢様に、
「最近、城の人達に恋人ができたようですね」
と言うと、
「ああ、あいつらもそろそろ自立する時が来たんだ。祝ってやらないとな。でも……食費が……金が……」
と言ってきた。
お嬢様は食費の資料を見て頭を抱えている。それを見て私はクスクスと笑う。
「……何がおかしいんだミナ?」
「いえ別に?」
「お前はこの五年で可愛げが無くなったな……歳のせいか?」
「お嬢様、あまり女性に歳を言うものじゃないですよ」
私は無言の圧力をかけた。
「わ、わかったから!わかったからお前は仕事に戻れ!」
「はい、お嬢様」
そして私は五年間やって来た仕事をした。最近慣れたからかもしれないが、掃除の時間が短縮できるようになった。
城の中で執事たちは恋人ができたのか、たまに城からいなくなる時がある。その分の仕事は他の執事に任せているみたいだ。でもその事をヒイさんにバレてお説教を喰らっていてはどうしようもない。自分たちの仕事が終わってから会いに行きなさいと言われているみたいだ。
でも、ヒイさんもたまにいなくなる時がある。皆と同じで恋人が出来たのか、それとも執事たちの後をつけて、お説教をするのかわからない。それでも彼女は仕事をきっちりとこなしている。
皆の生活が変わったからなのか、お嬢様の生活も変わった。前まではたまに食堂に来なかったのが、今では毎日来ている。ミラと遊ぶときは全ての仕事を放り出して全力で遊んでいる。ミラと遊び終わった後で書類を見て絶望を味わっている姿を見るのは私の密かな楽しみだ。このことはお嬢様には言えない。
李狼は相変わらず門番の役目を果たしている。たまに会話する時があるが、愛想のない返事ばかりで話が弾まない。時々、裏庭の掃除に行くと、李狼は剪定をしている。その時になると、彼は決まってサツマイモを持ってきて焼き芋を作ってくれる。それを皆で食べるのはもう何回目だろうか。数えきれないぐらいだ。
こんな楽しい毎日がずっと続きますように……
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