『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
22節
カーミラが本調子に戻るまで二日かかった。私達はその間、城の中を徹底的に掃除した。埃一つ残さずに。カーミラが起きてきて城の中を見たらびっくりするだろうと、フウさんから提案があったのだ。でも、毎日掃除しているのだから、あまり変わらないと思うんだが……
カーミラへの食事はヒイさんがやってくれた。ヒイさんも料理はあまりしないらしいが腕は一流らしい。私はヒイさんの料理を食べたことが無いから少し羨ましい。
二日間、出来る仕事を完璧にこなした私達はカーミラの復帰祝いに食堂でパーティーを行うことにした。もちろんカーミラには秘密だ。びっくりさせてやろう。
その日は、ヒイさんが面倒臭そうにしていたが、料理を作ってくれた。残った私達はカーミラにバレないように食料を調達していた。
何とこの城には畑があるらしい。私は一度も見たことが無いので、見に行ってみるとそこには旬の野菜がすごい量で生っていた。これはカーミラが一人で作ったものなんだと。カーミラはリハビリとか言って、城の中をたまに歩いているので気づかれないようにタイミングを見計らないながら、こっそり持っていった。
そして準備ができた。後はカーミラを呼びに行くだけだ。呼びに行く係は私に任された。私はすぐにカーミラの寝室に行き、
「お嬢様、食堂に来てください」
と言った。
「え?何故だ?」
カーミラは何故だ、と思わせるような顔をしていたが構わない。
「いいから、早く!」
私はカーミラを無理矢理引っ張って食堂に連れて行った。カーミラも何かあると思ったのかあまり抵抗はしなかった。
食堂の扉を開けると、
「お嬢様!回復おめでとうございます!」
と皆で拍手した。私ももちろん拍手した。
カーミラは何が何だかわかっていないようすだった。
「これは……?」
開いた口が塞がらないと言うのはこういう時に使うのだろうか。カーミラは大きな口を開けて呆然としている。
「お嬢様が回復したと言う事なので、皆で景気祝いにパーティーしようってことになったんですよ」
「お前ら……ああ、食費が……これも全部畑から持ってきたものか……」
カーミラは頭を抱えだした。しかし、その顔は笑っていた。嬉しかったのだろうか。
「仕方ない!今日は飲むぞ!食べるぞ!」
カーミラは大声をあげてパーティーの料理にかじりついた。私達も後れを取らずカーミラの後に続いた。
その日のパーティーは楽しかった。カーミラが葡萄酒で酔っぱらって服を脱ぎだそうとした時は焦った。それにカーミラは酔うと絡みに来るみたいだ。フウさんとミイさんが絡まれてるのを見て同情した。
「ああ~!良かったよ~、皆ありがとうな~!生きてて嬉しいぞ~!」
カーミラは絡み癖があり、それに泣き上戸のようだ。皆で慰めていたことは黙っていよう。
そうして楽しい時間が過ぎていった。
カーミラは酔っぱらって寝てしまった。ヒイさんが運んでいくと言うので私達は後片付けをしていた。
「今日は楽しかった」
「ね~、毎日やってもいいぐらいだよ」
「でも、それだとこの城の食料が無くなるのでは?」
「あ、そっか。じゃあ、たまにでいいか」
そんな会話をしながら、その日は時間が過ぎていった。
自分の部屋に戻り、久しぶりに安眠が出来そうだ。カーミラも回復したし、これでいつも通りの生活が出来る。そう思って寝た。
夢を見た。
どこかで見たことがあるような夢だった。
周りは白一色でどこまでが果てなのかわからない。それでも私は歩いていた。私が歩いた道は赤く染まり、まるで血の跡のようだった。
私は走った。どこへ行く訳でもなく、ただ走った。自分が疲れるまで。しかし、私が走ると後ろは血の池のように私を追いかけてきた。
何が起きているんだろう。早くここから出なくちゃ。
自分の後ろを見た。するとそこには屍の山があった。その中には村の皆がいた。でも、そこに屍となっていることは皆、死んじゃったの……?
私はその場に座り込んだ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
私は謝った。誰に対してでもなく。ただ、謝らなくてはいけないと思った。でも、謝っても許してくれないよね?もう遅かったんだものね?
私は出来る限り謝った。でも、その声は遠くに響くだけで何も返ってこない。屍たちも動かない。その空間には私の声だけが響いた。
そこで夢から覚めた。
カーミラへの食事はヒイさんがやってくれた。ヒイさんも料理はあまりしないらしいが腕は一流らしい。私はヒイさんの料理を食べたことが無いから少し羨ましい。
二日間、出来る仕事を完璧にこなした私達はカーミラの復帰祝いに食堂でパーティーを行うことにした。もちろんカーミラには秘密だ。びっくりさせてやろう。
その日は、ヒイさんが面倒臭そうにしていたが、料理を作ってくれた。残った私達はカーミラにバレないように食料を調達していた。
何とこの城には畑があるらしい。私は一度も見たことが無いので、見に行ってみるとそこには旬の野菜がすごい量で生っていた。これはカーミラが一人で作ったものなんだと。カーミラはリハビリとか言って、城の中をたまに歩いているので気づかれないようにタイミングを見計らないながら、こっそり持っていった。
そして準備ができた。後はカーミラを呼びに行くだけだ。呼びに行く係は私に任された。私はすぐにカーミラの寝室に行き、
「お嬢様、食堂に来てください」
と言った。
「え?何故だ?」
カーミラは何故だ、と思わせるような顔をしていたが構わない。
「いいから、早く!」
私はカーミラを無理矢理引っ張って食堂に連れて行った。カーミラも何かあると思ったのかあまり抵抗はしなかった。
食堂の扉を開けると、
「お嬢様!回復おめでとうございます!」
と皆で拍手した。私ももちろん拍手した。
カーミラは何が何だかわかっていないようすだった。
「これは……?」
開いた口が塞がらないと言うのはこういう時に使うのだろうか。カーミラは大きな口を開けて呆然としている。
「お嬢様が回復したと言う事なので、皆で景気祝いにパーティーしようってことになったんですよ」
「お前ら……ああ、食費が……これも全部畑から持ってきたものか……」
カーミラは頭を抱えだした。しかし、その顔は笑っていた。嬉しかったのだろうか。
「仕方ない!今日は飲むぞ!食べるぞ!」
カーミラは大声をあげてパーティーの料理にかじりついた。私達も後れを取らずカーミラの後に続いた。
その日のパーティーは楽しかった。カーミラが葡萄酒で酔っぱらって服を脱ぎだそうとした時は焦った。それにカーミラは酔うと絡みに来るみたいだ。フウさんとミイさんが絡まれてるのを見て同情した。
「ああ~!良かったよ~、皆ありがとうな~!生きてて嬉しいぞ~!」
カーミラは絡み癖があり、それに泣き上戸のようだ。皆で慰めていたことは黙っていよう。
そうして楽しい時間が過ぎていった。
カーミラは酔っぱらって寝てしまった。ヒイさんが運んでいくと言うので私達は後片付けをしていた。
「今日は楽しかった」
「ね~、毎日やってもいいぐらいだよ」
「でも、それだとこの城の食料が無くなるのでは?」
「あ、そっか。じゃあ、たまにでいいか」
そんな会話をしながら、その日は時間が過ぎていった。
自分の部屋に戻り、久しぶりに安眠が出来そうだ。カーミラも回復したし、これでいつも通りの生活が出来る。そう思って寝た。
夢を見た。
どこかで見たことがあるような夢だった。
周りは白一色でどこまでが果てなのかわからない。それでも私は歩いていた。私が歩いた道は赤く染まり、まるで血の跡のようだった。
私は走った。どこへ行く訳でもなく、ただ走った。自分が疲れるまで。しかし、私が走ると後ろは血の池のように私を追いかけてきた。
何が起きているんだろう。早くここから出なくちゃ。
自分の後ろを見た。するとそこには屍の山があった。その中には村の皆がいた。でも、そこに屍となっていることは皆、死んじゃったの……?
私はその場に座り込んだ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
私は謝った。誰に対してでもなく。ただ、謝らなくてはいけないと思った。でも、謝っても許してくれないよね?もう遅かったんだものね?
私は出来る限り謝った。でも、その声は遠くに響くだけで何も返ってこない。屍たちも動かない。その空間には私の声だけが響いた。
そこで夢から覚めた。
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