『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
25節
次の朝、私気持ちよく起きれた。宴会を連続でした疲れだろうか、ぐっすり眠れた気がする。いつも通りに早起きして、食堂に向かった。そこには昨日酔っぱらって寝ていた人たちはいなかった。いたのはヒイさんだけだった。
「あら、おはようございます」
「お、おはようございます……あの、皆は……?」
「皆さん、朝早くにこの城を出て行かれました。私たちにそこまで迷惑をかけられないと」
「そうですか……」
私は安心した。もしかしたらあの人達はカーミラに襲われたんじゃないかと。
「私がそんなことするか」
カーミラが現れた。
「お嬢様……!」
ヒイさんは軽く頭を下げた。私も一瞬遅れて礼をした。
「ミナ、私は人は襲わないと何度言えばわかるのだ?全く、主を信用しない部下を持って私は悲しいよ……」
カーミラはわざとらしく泣いたように見せた。ヒイさんはそれを見抜いていたのか、カーミラをなだめることはしなかった。
「さて、昨日の宴が途中から記憶がないんだが、私は何かしたか?」
「それは……」
私はヒイさんに助けを求めた。でも、ヒイさんもカーミラの目を見ようとしない。これではカーミラが何かをしたか丸わかりではないか。
「私は……何かしたんだな……」
カーミラは膝をついた。その目は死んだ魚のような目をしていた。
「お嬢様……!お嬢様は何もしていません!」
「嘘をつくな……私が何かしたか、ミナの顔を見ればわかる……私は部屋に戻っているぞ……」
カーミラはフラフラになりながら部屋に戻って行った。
「……」
やってしまった。カーミラはものすごく落ち込んでいる。
「朝食を食べたら、お嬢様のフォローをしなさい。掃除は私がやっておきますから」
「あ、はい……」
その日の朝食は焦りで味がしなかった。朝食を食べ終えて、私は玉座の間に行った。
そこには生気が無いカーミラが座っていた。
「ああ……ミナか。何の用だ……?」
「いえ……お嬢様は何もしていないとお伝えしたくて……」
「いい、正直に話せ。私が何かをしたことぐらいお前の顔に書いてある」
「では……正直に話します……」
私は昨日の事をカーミラに全て伝えた。
「……そうか。私は酔うと服を脱ぐのか……」
「一部の人には好評でしたけど……流石にあれは無いです……」
「わかった。私は今後一切酒を飲まん。今決めた」
「え!?」
驚いた。あのお酒好きなカーミラが禁酒を決めたのだから。
「……後悔しませんか?」
「後悔などするものか。私は後悔するような生き方はしない。あの日だってそうだ。私は後悔したことが無い。今までもこれからもな」
カーミラの意志は固いようだ。これを邪魔するのは良くないだろう。
「そうですか、わかりました。これで私も心が休まります」
「おい、そんな迷惑かけたか?」
「かけてますよ、すっごく」
私はこのやり取りが面白くてつい笑ってしまった。カーミラは呆れた顔をしているが、口元は笑っている。こんな楽しい時間がいつまでも続きますように……
数日後、某村にて
夜中に人の悲鳴が聞こえた。何事かと思った隣人が叫び声が上がった家を見てみると、辺り一面血まみれだった。その家にいた家族は全員死んでいた。ただ、首筋に二つの傷跡を残して。
その様子を見に行った者の家からも同じ様な悲鳴が聞こえた。村人は自分の家に急いで帰ると寝ていたはずの家族が動かなくなっていた。他の家からも次々と悲鳴が聞こえてくる。村人はパニックになり、村から出ようとした。だが、後ろから誰かに捕まれ、その村人の意識はなくなった。
「……絶対に許さんぞ。カーミラァ!」
何者かの声が村中に響いた。
「あら、おはようございます」
「お、おはようございます……あの、皆は……?」
「皆さん、朝早くにこの城を出て行かれました。私たちにそこまで迷惑をかけられないと」
「そうですか……」
私は安心した。もしかしたらあの人達はカーミラに襲われたんじゃないかと。
「私がそんなことするか」
カーミラが現れた。
「お嬢様……!」
ヒイさんは軽く頭を下げた。私も一瞬遅れて礼をした。
「ミナ、私は人は襲わないと何度言えばわかるのだ?全く、主を信用しない部下を持って私は悲しいよ……」
カーミラはわざとらしく泣いたように見せた。ヒイさんはそれを見抜いていたのか、カーミラをなだめることはしなかった。
「さて、昨日の宴が途中から記憶がないんだが、私は何かしたか?」
「それは……」
私はヒイさんに助けを求めた。でも、ヒイさんもカーミラの目を見ようとしない。これではカーミラが何かをしたか丸わかりではないか。
「私は……何かしたんだな……」
カーミラは膝をついた。その目は死んだ魚のような目をしていた。
「お嬢様……!お嬢様は何もしていません!」
「嘘をつくな……私が何かしたか、ミナの顔を見ればわかる……私は部屋に戻っているぞ……」
カーミラはフラフラになりながら部屋に戻って行った。
「……」
やってしまった。カーミラはものすごく落ち込んでいる。
「朝食を食べたら、お嬢様のフォローをしなさい。掃除は私がやっておきますから」
「あ、はい……」
その日の朝食は焦りで味がしなかった。朝食を食べ終えて、私は玉座の間に行った。
そこには生気が無いカーミラが座っていた。
「ああ……ミナか。何の用だ……?」
「いえ……お嬢様は何もしていないとお伝えしたくて……」
「いい、正直に話せ。私が何かをしたことぐらいお前の顔に書いてある」
「では……正直に話します……」
私は昨日の事をカーミラに全て伝えた。
「……そうか。私は酔うと服を脱ぐのか……」
「一部の人には好評でしたけど……流石にあれは無いです……」
「わかった。私は今後一切酒を飲まん。今決めた」
「え!?」
驚いた。あのお酒好きなカーミラが禁酒を決めたのだから。
「……後悔しませんか?」
「後悔などするものか。私は後悔するような生き方はしない。あの日だってそうだ。私は後悔したことが無い。今までもこれからもな」
カーミラの意志は固いようだ。これを邪魔するのは良くないだろう。
「そうですか、わかりました。これで私も心が休まります」
「おい、そんな迷惑かけたか?」
「かけてますよ、すっごく」
私はこのやり取りが面白くてつい笑ってしまった。カーミラは呆れた顔をしているが、口元は笑っている。こんな楽しい時間がいつまでも続きますように……
数日後、某村にて
夜中に人の悲鳴が聞こえた。何事かと思った隣人が叫び声が上がった家を見てみると、辺り一面血まみれだった。その家にいた家族は全員死んでいた。ただ、首筋に二つの傷跡を残して。
その様子を見に行った者の家からも同じ様な悲鳴が聞こえた。村人は自分の家に急いで帰ると寝ていたはずの家族が動かなくなっていた。他の家からも次々と悲鳴が聞こえてくる。村人はパニックになり、村から出ようとした。だが、後ろから誰かに捕まれ、その村人の意識はなくなった。
「……絶対に許さんぞ。カーミラァ!」
何者かの声が村中に響いた。
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