『ミナ』 ~吸血鬼に愛された人間~
7節
「どうですか?何の面白味もない話でしょう?」
カーミラは頭を抱え始めた。
「何を考えているんです?」
「ミナ……お前はもし私に勝てたとして、その後は幸せだったか?」
……そう言われると、私は果たして幸せになっただろうか……
「吸血鬼を退治した英雄になるのは間違いないな。でも、その力を恐れた村人がお前を殺しに来るという可能性は考えなかったのか?もしかしたら吸血鬼の仲間になったんじゃないかと。私ならそう考えるな」
「でも……」
私は何も言えなかった。村の皆がそんなことをするはずがない!心の中でそう自分に言い聞かせるしか出来なかった。
「まあ、あくまで可能性の話だ。そんなに気にすることでもない」
カーミラの言うことは最もだが、私には村の人たちの信頼が崩れていくようだった。
「さて、もうそろそろ良い時間だろう。食堂に行って飯を食べてこい。今日はもう終わりだ」
「わかりました……」
私は絶望を叩きつけられて、半分放心状態だった。
「待てミナ。肝心なことを聞いていなかった。お前幾つだ?」
「十……五です……」
「そうか、それじゃあまた明日」
カーミラは手を振って私を見送った。
食堂までの道は先ほどメイドに案内してもらったおかげで簡単に行けた。そこでは執事六人、メイド四人と合わせて十人しかいなかった。先にメイドから聞いていたが、実際に見ると、こんな広い城なのに、たったこれだけしかいないのか、と思った。
ご飯を給仕から貰い、皆から離れている席に座った。周りからは変な目で見られたが、さっきのメイドが新入りだと言ってくれたおかげで、あまり気にならない程度になった。もしかしたらここの人達が私の敵になるかもしれない。私はカーミラが約束をしたことを破るつもりで考えていた。
ご飯を食べると、味わったことがない味が口の中に広がった。美味しい!素直にそう思った。私はご飯をすごい勢いで食べた。そしてあっという間に完食した。
食べ終わり、給仕に、
「美味しかったですよ」
と言うと、給仕は喜んでくれた。そうだった。私の村の人たちもこんな風に喜んでくれたんだ。あの人たちがそんなことをするはずがない。私はカーミラが言った言葉を打ち消した。
さて、自分の部屋に戻るには……
この城は4階建ての構造になっている。一階は広間、二階三階は私たちの部屋と食堂。そして四階はカーミラが座る玉座の間だ。地下室もあるようだが、今は使ってはいないそうだ。私は教えてもらった部屋に行った。扉を見ると、名前が書かれていた。『ミナ』と。用意が早い。
師から貰ったこの××という名前……もう一度使うことがあるのだろうか。あのカーミラは信用できない。私には笑っているように見えるが、その腹の中には何かドス黒いものが有るように思える。だが、今考えても何も始まらない。部屋の中に入るとするか。
扉を開けて中に入ると、その部屋は……綺麗に整理整頓されていた。私の家でも見かけたことが無いような、ベッドに椅子。必要なものは何でもそろっているようだ。こんないい部屋使っていいのだろうか……
結局考えた末、使うことにした。ここ以外、案内された部屋は無いし、仕方がない。私はベッドに座ると、今日の事を思い返していた。今日集まった五人の内、私だけが生き残って、にっくき吸血鬼の下で働くことになったなんて、とてもじゃないが信じられない。
皆……ごめんね……
私は涙を流した。誰にも気づかれないように小さな声で泣いた。
でも……きっと皆を幸せにしてあげるから……
私はベッドの中に入り、寝ることにした。そう言えば吸血鬼は太陽の光に弱いと聞いていたが、カーミラはどうなのだろうか。明日聞いてみよう。そう思い、私は深い眠りに入った。
カーミラは頭を抱え始めた。
「何を考えているんです?」
「ミナ……お前はもし私に勝てたとして、その後は幸せだったか?」
……そう言われると、私は果たして幸せになっただろうか……
「吸血鬼を退治した英雄になるのは間違いないな。でも、その力を恐れた村人がお前を殺しに来るという可能性は考えなかったのか?もしかしたら吸血鬼の仲間になったんじゃないかと。私ならそう考えるな」
「でも……」
私は何も言えなかった。村の皆がそんなことをするはずがない!心の中でそう自分に言い聞かせるしか出来なかった。
「まあ、あくまで可能性の話だ。そんなに気にすることでもない」
カーミラの言うことは最もだが、私には村の人たちの信頼が崩れていくようだった。
「さて、もうそろそろ良い時間だろう。食堂に行って飯を食べてこい。今日はもう終わりだ」
「わかりました……」
私は絶望を叩きつけられて、半分放心状態だった。
「待てミナ。肝心なことを聞いていなかった。お前幾つだ?」
「十……五です……」
「そうか、それじゃあまた明日」
カーミラは手を振って私を見送った。
食堂までの道は先ほどメイドに案内してもらったおかげで簡単に行けた。そこでは執事六人、メイド四人と合わせて十人しかいなかった。先にメイドから聞いていたが、実際に見ると、こんな広い城なのに、たったこれだけしかいないのか、と思った。
ご飯を給仕から貰い、皆から離れている席に座った。周りからは変な目で見られたが、さっきのメイドが新入りだと言ってくれたおかげで、あまり気にならない程度になった。もしかしたらここの人達が私の敵になるかもしれない。私はカーミラが約束をしたことを破るつもりで考えていた。
ご飯を食べると、味わったことがない味が口の中に広がった。美味しい!素直にそう思った。私はご飯をすごい勢いで食べた。そしてあっという間に完食した。
食べ終わり、給仕に、
「美味しかったですよ」
と言うと、給仕は喜んでくれた。そうだった。私の村の人たちもこんな風に喜んでくれたんだ。あの人たちがそんなことをするはずがない。私はカーミラが言った言葉を打ち消した。
さて、自分の部屋に戻るには……
この城は4階建ての構造になっている。一階は広間、二階三階は私たちの部屋と食堂。そして四階はカーミラが座る玉座の間だ。地下室もあるようだが、今は使ってはいないそうだ。私は教えてもらった部屋に行った。扉を見ると、名前が書かれていた。『ミナ』と。用意が早い。
師から貰ったこの××という名前……もう一度使うことがあるのだろうか。あのカーミラは信用できない。私には笑っているように見えるが、その腹の中には何かドス黒いものが有るように思える。だが、今考えても何も始まらない。部屋の中に入るとするか。
扉を開けて中に入ると、その部屋は……綺麗に整理整頓されていた。私の家でも見かけたことが無いような、ベッドに椅子。必要なものは何でもそろっているようだ。こんないい部屋使っていいのだろうか……
結局考えた末、使うことにした。ここ以外、案内された部屋は無いし、仕方がない。私はベッドに座ると、今日の事を思い返していた。今日集まった五人の内、私だけが生き残って、にっくき吸血鬼の下で働くことになったなんて、とてもじゃないが信じられない。
皆……ごめんね……
私は涙を流した。誰にも気づかれないように小さな声で泣いた。
でも……きっと皆を幸せにしてあげるから……
私はベッドの中に入り、寝ることにした。そう言えば吸血鬼は太陽の光に弱いと聞いていたが、カーミラはどうなのだろうか。明日聞いてみよう。そう思い、私は深い眠りに入った。
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