イケメン被りの青春オタク野郎と絶対利益主義お嬢様
24
5月中旬の土曜日。
俺はユカとの約束を果たす為、黒のジャージという服装では無く、茶色のジーパンに白のパーカーを着て街へと来ていた。
そして隣を歩くユカは黄土色のニットを着ている。下は……イマイチ分からない。
その理由は大きめのニットを着ている為に見えないのだ。多分だが、ショートパンツでも履いているのだろう。
「なっ……何!? そんなにジロジロ見てきて!」
ユカは顔を赤くして怒る。
「いやいやジロジロは見てねぇーよ。ガン見だ!」
「寧ろ、やばいじゃん!?」
そんな会話を楽しみながら、俺達はある喫茶店へと足を運んでいた。
その喫茶店の名前は『LEMON』。
俺達が住む街から電車で2駅と徒歩10分で着くその喫茶店は今俺達の学校で人気の喫茶店なのだ。
「あぁー楽しみだなぁー。あの喫茶店のケーキがチョウチョウチョウ!! 美味しいんだって!」
嬉しそうにユカは言う。
そんなにも喫茶店ってのはいいものなのか。
普段からそんなお洒落な店に行ったことが無い俺にとっては未知数なので何とも言えない。
「あ、あれじゃない?」
ユカがある一点を指差す。
確かにその店には『LEMON』と書かれており、木造の看板でLEMONと黄色のペンキなどで塗られていた。
カランカランという軽快な音に店員が「何名様ですか?」と尋ねてきた。
なるほど、理解はできた。
どうやらファミレスと同じっぽいな。
これなら俺がリードしてやろう。
そう思い、「二人です」と丁寧に答える。
ユカは店内をキョロキョロとしている。
お前は小学生かよ!
店員に誘導されるままに席に着く。
木造の椅子に腰を掛ける。
なるほど、椅子にしている訳は客がゆっくりできない為か。一人で納得した。
「ご注文がお選び頂けたら私達スタッフにまでお申し下さい」
二人一緒に頷くと店員はニヤッとしてどこかに行ってしまった。どうやら勘違いされたみたいだ。
「なあーユカ。ドリンクバーってどこにあるんだよ?」
「はははは……ど、ドリンクバー? そんなものあるわけないじゃない! ここはファミレスじゃない」
ユカに笑われた。ユカに笑われた。
「なぁ、なんでねぇーんだよ!」
「なんでって私に聞かれても困るよ!」
確かに。
それにしても喫茶店の癖にドリンクバーが無いとはファミレスに負けてんな。
「それよりもメニューを見ようぜ」
これまたお洒落な猫さん型のメニュー表を確認して、自分が食べたいモノを考える。
ここは無難にパスタでも頼んでおこう。
「ユカ、決まったか?」
「まだ……ちょっと待って!」
「分かった」
それにしてもこの喫茶店のリア充率はウザいな。周りを見る限り9割型がリア充じゃないか。
果たして1年後にはこのカップルの何組が付き合っているのだろう。
「よしっ!? これに決めた!」
「おぅー、ってあれ……? あれ? あれ?」
無いぞ? アレがないぞ?
「ど、どうしたの? そんなに慌てて」
「い、いや……アレがねぇーじゃん。アレがさ」
「アレって?」
「ボタンだよ! ボタン! いつもファミレスとかにあるじゃんかよ! ボタン押したら、店員が来てくれるアレだよ!」
「……あのね。ソラ。この喫茶店はそんなものは無いよ。アレはファミレスにしか無いよ」
カルチャーショックだぜ。
どうやら俺は社会について無知のようだ。
俺はユカとの約束を果たす為、黒のジャージという服装では無く、茶色のジーパンに白のパーカーを着て街へと来ていた。
そして隣を歩くユカは黄土色のニットを着ている。下は……イマイチ分からない。
その理由は大きめのニットを着ている為に見えないのだ。多分だが、ショートパンツでも履いているのだろう。
「なっ……何!? そんなにジロジロ見てきて!」
ユカは顔を赤くして怒る。
「いやいやジロジロは見てねぇーよ。ガン見だ!」
「寧ろ、やばいじゃん!?」
そんな会話を楽しみながら、俺達はある喫茶店へと足を運んでいた。
その喫茶店の名前は『LEMON』。
俺達が住む街から電車で2駅と徒歩10分で着くその喫茶店は今俺達の学校で人気の喫茶店なのだ。
「あぁー楽しみだなぁー。あの喫茶店のケーキがチョウチョウチョウ!! 美味しいんだって!」
嬉しそうにユカは言う。
そんなにも喫茶店ってのはいいものなのか。
普段からそんなお洒落な店に行ったことが無い俺にとっては未知数なので何とも言えない。
「あ、あれじゃない?」
ユカがある一点を指差す。
確かにその店には『LEMON』と書かれており、木造の看板でLEMONと黄色のペンキなどで塗られていた。
カランカランという軽快な音に店員が「何名様ですか?」と尋ねてきた。
なるほど、理解はできた。
どうやらファミレスと同じっぽいな。
これなら俺がリードしてやろう。
そう思い、「二人です」と丁寧に答える。
ユカは店内をキョロキョロとしている。
お前は小学生かよ!
店員に誘導されるままに席に着く。
木造の椅子に腰を掛ける。
なるほど、椅子にしている訳は客がゆっくりできない為か。一人で納得した。
「ご注文がお選び頂けたら私達スタッフにまでお申し下さい」
二人一緒に頷くと店員はニヤッとしてどこかに行ってしまった。どうやら勘違いされたみたいだ。
「なあーユカ。ドリンクバーってどこにあるんだよ?」
「はははは……ど、ドリンクバー? そんなものあるわけないじゃない! ここはファミレスじゃない」
ユカに笑われた。ユカに笑われた。
「なぁ、なんでねぇーんだよ!」
「なんでって私に聞かれても困るよ!」
確かに。
それにしても喫茶店の癖にドリンクバーが無いとはファミレスに負けてんな。
「それよりもメニューを見ようぜ」
これまたお洒落な猫さん型のメニュー表を確認して、自分が食べたいモノを考える。
ここは無難にパスタでも頼んでおこう。
「ユカ、決まったか?」
「まだ……ちょっと待って!」
「分かった」
それにしてもこの喫茶店のリア充率はウザいな。周りを見る限り9割型がリア充じゃないか。
果たして1年後にはこのカップルの何組が付き合っているのだろう。
「よしっ!? これに決めた!」
「おぅー、ってあれ……? あれ? あれ?」
無いぞ? アレがないぞ?
「ど、どうしたの? そんなに慌てて」
「い、いや……アレがねぇーじゃん。アレがさ」
「アレって?」
「ボタンだよ! ボタン! いつもファミレスとかにあるじゃんかよ! ボタン押したら、店員が来てくれるアレだよ!」
「……あのね。ソラ。この喫茶店はそんなものは無いよ。アレはファミレスにしか無いよ」
カルチャーショックだぜ。
どうやら俺は社会について無知のようだ。
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