Creation World Online
105話
リーンとの待ち合わせ場所に着くと、そこにはフードを目深に被った小柄な人物が立っていた。
小柄な人物はこちらに気がつくと、フードを外す。
「こんにちは師匠。来てくれてありがとうございます!ところで…」
リーンの視線がキンキチへと向かう。
「あの、師匠この子達は?」
「ん?ああ、こっちの小僧がキンキチ。この女の子は、キンキチの妹でカナだ。」
「あんたがリーンだな…」
「まあ、待ってよ」
キンキチが何か言おうとしたが、リーンがそれを制止する。
「とりあえず、移動しましょう。誰が聞いているかわかりませんから」
☆
「それで、えーと…キンキチ君でしたっけ?私に何か用でも?」
アジトに移動したリーンは、俺達をソファに掛けさせ、古びたローテーブルに紅茶の入ったカップを置くと、俺達の対面に腰掛ける。
「あんた、リーンで間違い無いんだよな?」
「まあ、その通りだよ。」
リーンの言葉にキンキチの顔がパァッと明るくなる。
「じゃあ『双刃連蒼』のリーンであってるんだな!?」
「んんッ!?」
キンキチの言葉にリーンが紅茶を吹き出す。
当然俺達に被害が出ないように、風魔法で防ぎ、咽せているリーンを眺める。
だが、そんなリーンに構わずキンキチは頭を下げる。
「頼む…!姉ちゃん助けてくれ…!」
「私!?と、とりあえず頭を上げてよ…」
チラリと俺を見ながら、リーンは困ったようにそう言う。
「助けてやればいいじゃないか。『双刃連蒼』」
「その呼び方やめてくれませんか!?」
どうやらリーンは二つ名で呼ばれるのに慣れていないようだ。どうせその内慣れるのにな。
それに双刃連蒼なんてカッコいいじゃないか。俺なんて『鬼畜』だの『土下座DVマン』だのロクな呼び名がないぞ。
俺が助け舟を出す様子が無いことに気付いたリーンが、額を抑えながらため息を吐く。
「えーと、キンキチ君でしたっけ?それなら、もっと適任な人がいるじゃ無いですか…」
リーンが俺を指差しながらそう言うと、キンキチは俺を見てこう言う。
「この兄ちゃんは強いけど、性格が悪そうだから…」
「おいこの野郎」
俺ほど性格のいい人間はそうそう居ないだろ。
「うーん。確かにそうかも…」
『間違いないな。』
リーンとウィルがうんうんと頷く。こいつら…。
「だから頼む!あんたしか頼める人がいないんだ…!」
「ううー!わかりました。仕方ないです。あなたのお姉さんを助けてみせます!」
俺が3人にどんな罰を与えようかと考えていると、リーンがそう言った。
「いいのか!?」
「ええ、それに…」
リーンが俺を見る。
「今回師匠に手伝ってもらおうと思っていた事と何か関係がありそうですからね。」
「そうだった、その手伝ってもらいたい事ってなんなんだ?」
「ここ最近、この街で子供達が失踪しているんです。どうも、ゴロッザ達と関係があるんじゃないかとの噂がありまして。それで調査を手伝っていただこうかと思ったんです」
「なるほどね。で、アジトは分かっているのか?」
俺の問いかけに対し、リーンは両手を上げこう言った。
「それがさっぱりでして、いくつかアジトを潰しましたが、今のところそれらしい情報は得られていません。ですが…」
リーンはそう言うと懐から1枚の紙を取り出し、机の上に広げる。
どうやら街の地図らしい。
「このポイントで誘拐が多発しているようで、師匠には私とここで働いてもらいます。」
「策はあるのか?」
「ふふふ、かなり高かったですが、用意しました!」
リーンは、そう言って2つのイヤリングを取り出す。見覚えのあるそれは、『隠者の耳飾』だった。昔、ゴブリンキングを討伐した際、手に入れ未だにアイテムボックスの肥やしになっている装備だ。
「隠者の耳飾なら俺も持ってるぞ。」
「これは隠者の耳飾を改造して作られた、隠蔽の耳飾MarkIIです!従来のものと違い、アバターは自分達で設定することができます!」
エルディル工房の最新作だとテンションの高いリーンを無視して、耳飾を持ち上げる。
「それで、これをどうするんだ?見た目を変えても…ってまさか…」
「そのまさかです!」
嫌な予感がするんだが…。
ニヤッと笑ったリーンは親指を立ててこう言った。
「我々も子供になりますよ!」
ああ、神よ。そして、こんなふざけたアイテムを作った工房のプレイヤー諸君よ。
「絶対許さないからな!」
俺の嘆きも虚しく。俺は2度目の少年化を果たすこととなったのだった。
小柄な人物はこちらに気がつくと、フードを外す。
「こんにちは師匠。来てくれてありがとうございます!ところで…」
リーンの視線がキンキチへと向かう。
「あの、師匠この子達は?」
「ん?ああ、こっちの小僧がキンキチ。この女の子は、キンキチの妹でカナだ。」
「あんたがリーンだな…」
「まあ、待ってよ」
キンキチが何か言おうとしたが、リーンがそれを制止する。
「とりあえず、移動しましょう。誰が聞いているかわかりませんから」
☆
「それで、えーと…キンキチ君でしたっけ?私に何か用でも?」
アジトに移動したリーンは、俺達をソファに掛けさせ、古びたローテーブルに紅茶の入ったカップを置くと、俺達の対面に腰掛ける。
「あんた、リーンで間違い無いんだよな?」
「まあ、その通りだよ。」
リーンの言葉にキンキチの顔がパァッと明るくなる。
「じゃあ『双刃連蒼』のリーンであってるんだな!?」
「んんッ!?」
キンキチの言葉にリーンが紅茶を吹き出す。
当然俺達に被害が出ないように、風魔法で防ぎ、咽せているリーンを眺める。
だが、そんなリーンに構わずキンキチは頭を下げる。
「頼む…!姉ちゃん助けてくれ…!」
「私!?と、とりあえず頭を上げてよ…」
チラリと俺を見ながら、リーンは困ったようにそう言う。
「助けてやればいいじゃないか。『双刃連蒼』」
「その呼び方やめてくれませんか!?」
どうやらリーンは二つ名で呼ばれるのに慣れていないようだ。どうせその内慣れるのにな。
それに双刃連蒼なんてカッコいいじゃないか。俺なんて『鬼畜』だの『土下座DVマン』だのロクな呼び名がないぞ。
俺が助け舟を出す様子が無いことに気付いたリーンが、額を抑えながらため息を吐く。
「えーと、キンキチ君でしたっけ?それなら、もっと適任な人がいるじゃ無いですか…」
リーンが俺を指差しながらそう言うと、キンキチは俺を見てこう言う。
「この兄ちゃんは強いけど、性格が悪そうだから…」
「おいこの野郎」
俺ほど性格のいい人間はそうそう居ないだろ。
「うーん。確かにそうかも…」
『間違いないな。』
リーンとウィルがうんうんと頷く。こいつら…。
「だから頼む!あんたしか頼める人がいないんだ…!」
「ううー!わかりました。仕方ないです。あなたのお姉さんを助けてみせます!」
俺が3人にどんな罰を与えようかと考えていると、リーンがそう言った。
「いいのか!?」
「ええ、それに…」
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「今回師匠に手伝ってもらおうと思っていた事と何か関係がありそうですからね。」
「そうだった、その手伝ってもらいたい事ってなんなんだ?」
「ここ最近、この街で子供達が失踪しているんです。どうも、ゴロッザ達と関係があるんじゃないかとの噂がありまして。それで調査を手伝っていただこうかと思ったんです」
「なるほどね。で、アジトは分かっているのか?」
俺の問いかけに対し、リーンは両手を上げこう言った。
「それがさっぱりでして、いくつかアジトを潰しましたが、今のところそれらしい情報は得られていません。ですが…」
リーンはそう言うと懐から1枚の紙を取り出し、机の上に広げる。
どうやら街の地図らしい。
「このポイントで誘拐が多発しているようで、師匠には私とここで働いてもらいます。」
「策はあるのか?」
「ふふふ、かなり高かったですが、用意しました!」
リーンは、そう言って2つのイヤリングを取り出す。見覚えのあるそれは、『隠者の耳飾』だった。昔、ゴブリンキングを討伐した際、手に入れ未だにアイテムボックスの肥やしになっている装備だ。
「隠者の耳飾なら俺も持ってるぞ。」
「これは隠者の耳飾を改造して作られた、隠蔽の耳飾MarkIIです!従来のものと違い、アバターは自分達で設定することができます!」
エルディル工房の最新作だとテンションの高いリーンを無視して、耳飾を持ち上げる。
「それで、これをどうするんだ?見た目を変えても…ってまさか…」
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