女神の加護を持つ死神

つうばく

明日に備えて

「じゃあこれから超重要依頼【聖女様の護衛】についての会議を始めたいと思います」

「はい、拍手!」


ーーパチパチパチパチ


「じゃあ、とりあえず俺から話すぞ」

「分かったのじゃ。……というか、私達は何の内容も知らんのじゃが」

「そうだ。ソラにさえ教えていないんだろ」

「はい……。私とキラリ様を繋ぐ思考回路をキラリ様が切られまして……」

「いやいや。数秒後に直ぐに貴方が復活させて、全部知ってますよね?」


俺とソラを繋ぐ思考回路を切ったのは間違えではない。
だが、その後の方だ。
ソラは僅か1秒足らずで、思考回路を復活させたのだ。

……いや、何だろう。
俺、一生懸命頑張って考えて、それでソラにも知られない様に思考回路切ろうって思いついたんだよな。
そして、真面目に色んなスキル使って、結構時間もかけて切ったんだよ。

それを、ソラは1秒も掛からずに元に戻したんだよ?
そりゃ、元に戻す方が簡単とは言うけれども……1秒は流石にないだろ?

俺の面子丸つぶれなんだけれども……。


「まぁ、キラリの日常の話しは良いとしてじゃ」

「いやいや、日常の話じゃねぇし……多分」

「はぁー。言い訳はどうでも良いのじゃ。それよりも、さっさと内容を話してくれるとありがたいのじゃ。明日に備えてさっさと寝たいのじゃ」

「いや、それただ単に寝たいだけの言い訳だろうが」

「テヘッ。バレたのじゃ」


てへぺろみたいな事をしているアルはひとまず置いといてだ。
「置いとくな!」とか叫んでいるが今は無視だ無視。

さっさと本題に進むというのはその通りだろう。
ましてや、ギルマスに伝えられた通りであれば、集合時間は馬鹿みたいに早い。

早く起きる為にもさっさと寝なければないけないという、ちょっと違ったけれどもアルの意見には俺も賛成である。
なので、出来るだけ話が直ぐに終わる様に、今からはおふざけ無しだ。


「今からはだ。明日のメンバーを発表していく」

「全員行かないのですぅ〜? キラリお兄ちゃん」

「うん。依頼の内容は聖女様の護衛だから、大人数は迷惑になりそうだし。それにちょっとしてもらいたい事もあるからな」

「ご主人様にしては賢明な判断なのだ。成長でもしたのだ?」

「はぁー……うるさい。ロタン」


ロタンの事は放っておくとして、誰を連れて行くか決めなければな。
流石に全員は無理だろうし……何人ぐらいで行こうか。


「とりあえず俺は決定だろ」

「そりゃ、キラリを指名しているのじゃろ、その……せ、セイションとやらは!」

「頑張って思い出したんだろうけど、聖女様だからな。セイションではないからな」

「セイションとは誰が言ったんじゃ?」

「お前だよ! てか、めっちゃ目ぇ泳いでるよ!」


アルの下手なすっとぼけは今は良いんだ。


「それよりも……まぁ、アルも確定だな」

「ふっ、当然なのじゃ」

「やっぱりアルは無しで」

「はぁ!? ふざけるんじゃないのじゃ! 強引にでも行くのじゃぞ私は!」

「いや、冗談だって。そこまで怒るなよ……」

「キラリが悪いのじゃ!」


そう言って、アルは頬を膨らませる。
……必死に怒っている事を表現しているのだろう。

皆んなが思ってそうだけど、あれただ単に少しだけだけど可愛いだけじゃん。
やっぱ、頭悪いわあいつ(笑)


「それと、ヘーニルもだな」

「分かった、主人」

「おけ。じゃあこれで三人と」


正直アルとヘーニルがいてくれていれば物凄く安全なのだけれども……。
あのものすっげぇ見られている視線からして……仕方ないよな。


「最後にソラもだな」

「ありがとうございます。一生懸命頑張りますね」

「ソラの一生懸命は怖いんで、やめてください」

「……かしこかりました」


なんで、そんなに落ち込むんだよ。
俺が悪いみたいじゃないか……いや、どう考えても俺は完全に悪くないんだけれども。


「うん? じゃあ儂とエルが居残りなのだ?」

「そういうことになるな」

「えぇ〜! エルも行きたかったのですぅ〜!」

「ごめんな、エル。けど、連れて行かないのにもちゃんとした理由があんだよ」

「理由なのですぅ〜?」

「そうだ。大事な理由だ」



俺が考えていることを言う時がきたなーー

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