女神の加護を持つ死神

つうばく

宝箱からの・・・

「あぁー、面倒くせぇぇええー! それにキモすぎだろ!!」

 今、俺はジャングルの奥深くを走りまくっている。
 周りには木が生い茂って生え、下は雑草が膝くらいまで生えている。
 鬱陶しいので、風魔法を纏い、カッターの様に刈りながらだが。

 こんなにもして、走っているのは、

「「「「「「 ジュゥxウルzyルジュウゥジzuュゥ!!」」」」」」

 と、もう一斉に鳴くせいで何を言っているのかが分からない、キモい虫の形をした魔物、最低でもレベル八千越えの奴等が、一万体以上追いかけて来ているからだ。




 こうなったのは、丁度半分の五十階層をこえた時から、三ヶ月経ち、八十階層まで来た時、エリアはジャングルだった。
 ここも余裕だろう。
 そう思っていると、出てきたのは俺が最も嫌いな虫型の魔物だった。

 一秒でも長く見たく無い。
 その思いを胸に、出てくるのを全て撃ちまくった。

 しかし、水が溢れるかの様に湧いてきて、俺は次第に撃つことをやめとこう。
 そう思い、逃げながらボスを探し、倒す作戦でいくことにした。

 そして、やっとの思いで見つけ、倒し、上の階層に駆け上がる様にしてなんとか逃げれた。

 いつも通りなら、上には魔物は上ってこないので気楽にいていると、『ドッドッドッド』と階段を駆け上がる音と同時に魔物が魔法を撃ってきやがった。

「はぁ!?」

 やべー。
 うん、これは……逃げよう。

 あれの集団を見た瞬間一瞬にしてこの事を思った。

 さっさとこの階層のボスを倒すぞ。
 そう、決め、一目散に走れ出した。
 ……いた!!

 向こうから壁を蹴りながら走ってこっちに来てくれている。
 なら、こっちから向かい撃つだけだ。

『ドン』

 あの階段を上っても……やっぱり、付いて来ると。
 なら、付いて来なくなるまで更に上るだけだな。

 そう思い、上ること一日。
 遂に八十九階層へと、そこへ到着した時には、魔物が一万体を超えていたという訳だ。



「これどうやって倒すんだ……鑑定で分かるかな?」

 あの、ムカデみたいなので良いか、

 ====================

 【名前】ワームX
 【種族】魔物(分身)
 【レベル】8700
 【HP】3117500000/3117500000(ー5347800000)
 【魔力】891750000
 【攻撃力】4099367500
 【防御力】3286207500
 【俊敏力】4770500000
 【器用】3175562350
 【運】1795825000

【スキル】 嗅覚強化。俊敏力上昇。気配察知。隠蔽。夜目。身体強化。
【固有スキル】足多数

【魔法】 毒属性魔法(初級、中級、上級)。

 ====================


 色々と気になるが、今はそれどころじゃねーよな。

 この鑑定は意味が大いにあっただろう。
 だって、分身という事が分かったし。

 なら、本体を倒すだけだな。
 ……けど、一体何体本物がいるんだ?

 ムカデ以外にも、蟻とかカマキリとかクワガタとかカナブンとか最低でも百種類は虫がいるぞ。
 これ一体一体、本物を殺すんだろ。

 ──どちにしろ、面倒いなぁ……。

「なんか楽な方法ないか? ソラ」

『分析した結果、本体は複数居る様ですが、九十階層のボスを倒すと、今追いかけて来ている魔物の機能は全て停止する様です。なので、このまま上へと進み、ボスを倒すのが一番手っ取り早いかと思われます』

「分かった。お前が言うんだしそうしよう」

 少し説明するが、この〝ソラ〟という名の女性の声は人口知能の事である。
 俺が、呼びやすい様にと、空の声という意味を込め "ソラ" という名を付けた。

 ──話は戻り

 ソラの考えた作戦を行うため、俺は今、八十九階層のボス探しをしている。
 だが、俺のスキルや異能力を使っているのに、一向に見つからない。

「ソラ、詳細地図マップに階層ボスは表示されたか?」

『はい。一向に表示せれておりません。……しかし、不思議なものがマップ上に表示せれています』

「不思議なもの?」

『はい。そこを真っ直ぐ行ったところに壁がありますよね』

「ああ、あるな」

『そこの奥に隠し部屋の様な場所があります。中はマップでは確認する事ができません。予測ですが、電波が遮断されていると思われます』

 ここに隠し部屋か。
 叩いても、空洞がある様な音はしないんだが。

「どうやって中に入れば良い?」

『特殊な鍵が掛かっています。なので、あの魔法を使われたらどうかと』

「そうか、なら≪開錠アンロック≫これで開いたか?」

 久しぶりに使う生活魔法。
 まぁ、これが生活魔法なんて、俺だけだと思うけど......

『はい。扉に付いていた、鍵は解けました。しかし、未だマップ上では中の様子が見れません。危険なので、離れた所から中に向かって、銃を撃つのが懸命かと』

「いや、ここは強行突破で行く。……中には面白そうなのがありそうだ」

『そこまで言われるのなら、止めはしません』

 ふぅぅー。
 よし、開けるぞ。

「──!! ……何もいないな」

 取り敢えず、魔物が入ってこない様に、時間稼ぎ程度に鍵を掛けておこうか。

 ……まぁ、これで掛かったけどどうしようかな。
 ここは期待はずれだったし。

『いえ。まだ楽しめると思いますよ。その証拠に、まだ奥にも部屋があります』

「……ん? まだあるのか。なら、取り敢えず強行突破だな」

『……はぁー……』

「何か言ったか?」

『な、何も言っておりませんが』

 なら、良いんだが。
 誰かに呆れられる様な感じの気がしたんだけどな。

 まっ、良いか。
 それより、もう一つの部屋に進もう。

『それは不可能です』

「ん? 何で?」

『今回は鍵とかそいう問題では無く、隠し扉もありません』

 うーん。
 扉も無いのか。

 なら…………尚更、強行突破だな。

『そんな事を言う以前に、もう壁に向けて銃を乱射していられるではありませんか』

「まぁ、な」

 ……ふぅぅー、やっと開いた。
 どんだけ硬いんだよ。

 さぁ、中にはどんなのが、

「って、宝箱!?」

 なんか予想外だな。
 こんなところにご褒美とは、アルも偶には良いことするんだなぁ。
 まぁ、あいつ、根から良いやつだもんな。

 そんなことより、この宝箱を開け──

『待ってください! その宝箱からは何の気も感じられません。こいうのは、本当に慎重にせれた方が──って、なにしてるんですか!』

「すまん。びっくりして開けちゃった……なんか、地面に魔方陣が広がってるけど大丈夫なやつこれ?」

『次元属性オリジナル魔法【転移魔方陣設置】を取得しました』
『ダメです。この魔方陣からは大量の魔力が感知されています。急いで部屋から脱出を』

 今は物凄くやばい場面なんだろうけど……こんな時でも俺は魔法を取得するのね。
 それに、それを言わないといけないソラが可哀想に思えてくる。

 って、そんなことよりこの部屋を脱出する術は──無いな。
 俺が穴を開けた場所はもう塞がってるし。

 もうこれは、何かが起こるのを待つしか無いか。

「もう、何でも来いや!」

 この言葉を言った瞬間、さっきよりも魔方陣が白く輝き出した。
 うん? これなんか見たことある。

 確か……この世界にくる前の日か。

 もし、同じのならもうすぐ……やっぱり光の輝きが増すのか。
 ということはもう──









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