女神の加護を持つ死神

つうばく

纏造

 これはーーー!!

 俺の身体は、今、十尾の人◯力だ〜!

 嘘じゃ無いからな。
 あの、ナ◯トのだからなぁ。

 その証拠に、俺の背中側の所の周りには、十個の求道玉が浮いている。

 まぁ、ちょっとだけ違う所があるがな。
 その、唯一、違う所は、原作では、白のローブの部分だ。
 そこが、俺の場合、めっちゃ黒い色をした、ローブになっている。

 あっ、あと、ローブの下は黒の服を着てるからな。
 ここも、原作とは違う。

 それ以外は全くと言っても良い程、一緒だ。

 そんな事より、早く説明、説明。

「おお、たったの一週間で、マジで出来る様になったのか。凄いな」
「いや、お前は俺が出来るとは思ってなかったのかよ。まぁ、今はそんな事許すから、早く説明プリーズ」
「……ぷりーず、と言うのは分からんが、要は、説明をしてくれ、という、事であってるよな」
「ああ、あってる。から、早く、早く」

 そう言いながら、ヘーニルに向かってグッジョブとした。

 ん? なんかあいつに呆れられてる気がする。
 まぁ、そんな事どうだって良いんだよ。

 だから!

「……はぁー。取り敢えず説明するが、その姿は、自然エネルギーモード、纏造クライシスという……要するに、この世界のエネルギーを纏っている姿だ。だけど、今まで見てきたやつ、勿論我のも含め、こんな黒色のは見た事ない」

 ヘェ〜、俺、この世界のエネルギーを纏っているのか……って、ヤバくね!?

 それに、俺の特別版って訳だよね。
 嬉しい!
 って、感情に浸ってる場合じゃないか。

「お前ーーキラリは百階層突破した。よって、迷宮をクリアしたとみなす。あっ、それ、消えろって思ったら消えるからな」
「マジかーー消えろ、ガチで消えた!?」
「何故疑われないといけないのだ。……それより、ちょっと移動するぞ〜」
「えっ。 今かーー!!」

 言葉を言い切る前に転移させられた。
 最後に忘れられた、魔物が叫ぶ声が聞こえた。









「知らない天井だ」

 一度言ってみたかったんだよな、これ。
 それよりも、マジでどこ?
 何故、俺、寝そっべてるの?

「やっと起きたのじゃ。お〜い、お〜い。キラリ、聞こえておるか〜」

 うん? このロリババア、キャラ的な感じの喋り方は、

「やっぱり、アルか〜。おっひさ〜」
「このよく分からんノリ……本当になんなんじゃ。……そんなことより、本当に久しぶりじゃの。確かーー何日ぶりじゃ?」

 俺の事をなんか言ってくるが、こいつもこいつで駄目だぞ。
 まぁ、俺も覚えてないんだが。

「そんなこと覚えてない!」
「いや、堂々と言われてもじゃな……まぁっ、そんななことどうでも良いんじゃがな」
「なら、言うな。てか、そういえばなんだが、ヘーニルはいるか? あいつにここまで連れられて来たんだけど……」

 完全に忘れていた。
 ヘーニルよ、すまぬ。

 それより、ガチでどこ?

「ああ、ヘーニルは、来た瞬間『準備をして来くる!!』と言って、どっか行ってしまった、きりじゃが。キラリも知らぬとは……どこじゃろ」
「まぁ、あいつなら、心配は要らんか」
「まぁ、そうじゃな」

 ヘーニル強いし。
 心配なんて全く要らないだろ。

 そんななことよりも、準備ってなんだ?
 ……気にしなくて良いか、別に。

「ーーあっ!!! 忘れておったのじゃ」

 急にどうしたんだ。
 マジ、急に過ぎて、ビックリで転けたし。

 い、痛い。
 ここ、地味に硬い。

「っで、何を?」
「ああ、キラリがここに来た理由」

 理由?
 ……ああ、そういえばーー

「遅れてしまったがーーこの世界の果てへようこそ。横井キラリ。お前は今、この迷宮をクリアし、そして、世界の果てへと辿り着いた」
「マジで、遅いな。今頃!? って問いたいぐらいだ」
「何故、そこまで、言うのじゃ?」

 いや、遅いからだよ。
 それより、ここが世界の果て?
 なんか、普通なんだけど。

「今、良からなぬこと考えたじゃろ。……あっ、ヘーニルがこっちに向かって来るのじゃ」
「はぁっ、どこ。いや、なんか感じ取れる……って、上?」

 やばい、やばい。

「おおー転移できたーーってどこここ〜。あっ! 空か。……え!? 空ってヤバイ、下にはキラ〜リ退いて〜〜。……うわ!?」

 重い、重い。
 早くどけ、おい! おい!

「はぁー、クッションがあって良かった」
「おい! 俺はクッションじゃねーぞ。それよりさっさとどけ! 俺の内臓が破裂するわ!」
「おお、それはすまない。それより、起きたのかキラリ」
「いや、今頃!?」

 なんでこうも、今頃?
 というタイミングで言ってくるんだ、こうも。

「まぁ、そんなことより……準備して来た。付いて行く」
「ん? 待てよ。誰に付いて行くんだ?」

 付いて行くって、もしかして……。

「えっ? そんなのは主人に決まっているだろう。……交換条件で言った忘れたのか?」

 そんなのしたっけ。
 もしかしてーー

 俺が、話を無視して始めた時に言ったのか?
 なら、知ってる訳、ねーだろ

「まっ、そういう訳ならば仕方ねーか。てか、聞くの忘れてたけどアル、お前も来るよな? ちゃんと俺は、お前の試練をクリアしたんだからな」
「うん、なのじゃ。キラリは、私が出した試練をしっかりとクリアした。だから、私の力を貸す。そいう事だから、どっかにキラリが行くなら、私もついて行く」
「そうこなくっちゃ」

 これで、三人のパーティーが出来たな。
 てか、このパーティー強すぎだよなぁ……。

『最強』の神、アル。

『邪神』『番人』の二つ名を持つ、ヘーニル。

 そして、今さっき世界の果てへと辿り着いた、俺。

 うん。
 マジで強すぎだろ。

 けど、なんか俺だけパッとしないなぁ。
 大体どれくらいの力を持ってるんだろう俺。

「アル、ヘーニル。俺って今、どれくらい強い?」

 この二人に聞くのが手っ取り早いだろ。

「キラリの強さとな? 大体、ヘーニルよりは上なのじゃ。それに、天十握剣の私を除いたメンバーよりも上じゃな。で、えーと、私と比べると……まだ私の方が強いのじゃ、ってくらいなのじゃ」
「えっ? それってーー」

 俺、結構強い?
『邪神』より強くて、創造主が選んだ、選りすぐりのメンバーが、天十握剣で、それよりも強いと。
 っで、『最強』に近いと……おお、俺凄いな。

「本当にだ。なんで、あんなアドバイスで、纏造クライシスまで出来ているのだ。それに、初めてで、我よりも強いと……主人あるじはズルいな」
「なんで、文句言われな駄目なんだよ……」
「それより、キラリの纏造は、どんなんなんじゃ?」

 今は戻ってるけど、さっきから、いつものヘーニルと喋り方が違う気がする。

 それより、アルがあのモードやってくれって、言ったよな。
 正直、面倒くさいな。

「そんな面倒ぐさがらなくても、良いと思うんじゃが……なら、私とヘーニルもするから、これで平等じゃろ」
「えっ!? なぜに我まで……」

 と言っていたヘーニルだが、呆れながらもやった。
 元の姿から、纏造クライシスへと変わるまでは一瞬だった。

 しかし、『最強』の名は伊達じゃないのだろう。
 アルはヘーニルよりも、素早く、変わった。

「にしても……全員、見事に色が違うなぁ。俺は黒で、アルが白。ヘーニルが緑……どこぞのスーパーヒーローかよ」

 今、言ったけど、どこぞのスーパーヒーローかよ!?
 マジで、この言葉以外出てこねーぞ……。

 にしても、なんか、アルだけ、輝きがちがうな。
 もしかして……強さに関係するとか。

「そうだ。主人。光の輝きは強さに比例している」
「そうなのか……。さっきから、思ってたんだがさ、俺の呼び方違うくね?」
「ああ、それは私も思ってたんじゃが……何故じゃ?」

 ヘーニルが「そうか……普通だろう」と、違う方向に、また、おかしくなっていた。
 これ、病気か? ……病気なら、重症だぞこれ。

「え、えーと。それはだな……キラリが新たなる主人へと変わったから、呼び方を主人に変えようと思ったのだ。もしかして、主人になったこと気付いてなかったのか?」
「…………ヘェ〜……って、え!? 何でヘーニルの主人はアルだろ」

 俺と、ヘーニルは、息が合っているかの様に、全くの同時に、アルの方向へ振り向いた。
 アルは、向けられた眼差しに、驚いたのだろう。
 身体を「ビクッ」っと、震わせていた。

「それはなーーキラリのパーティーに私はついて行く事にしておった。だから、この迷宮の管理などを、ヘーニル、お前に任せるためには、主従関係を断たねばならなかったのじゃ。だから、消した。しかし、ヘーニルが付いて来るとは知らなかったので、なら、戻そう。そう思ったのじゃが、一度消すと、これは同じ人間とは出来ない能力が付いておった。だから、キラリに付けちゃえば、と思い、やった。……これで、分かったか?」

「そんな、りふ『分かった』うで……ええ⁉︎」

 そんな、理不尽な理由で、と、そう言おうと思ったのだが、ヘーニルの言葉によって遮られた。

「我の事を思っての行動だったのだろ。それなら、何があろうと許す。……もっとも、初めから、キラリと主従関係になる事には何の不満もないがな」

 おお、ちょっとこれ、嬉しいな。
 主従関係、という言葉が余計だが、それでも、一緒という事に不満は無いという訳なんだろう。

「まぁ、納得してくれたならば、それで良いんじゃがキラリ、ボー、としておるぞさっきから」
「……」
「おーい、返事をせー」
「……ん? 何だ。今、俺はいそがーーふぅふぅん」

 今、何してるかって。
 そんなの、決まってるだろ!!!

 主従関係だぞ。
 昔から、憧れだった、メイドだぞ。

 それが、ヘーニルだったとしても、ヒャッッハーーー!!
 な、気分だぞ。

 まずは、ご主人様と、呼ばせたいなぁ。
 ……帰って来てから、ドアを開けたら、「お帰りなさいませ、ご主人様」と、頭を下げた、メイド服を着た、見た目16、17歳の美少女がお出迎えしてくれる。
 こんなの良すぎるだろ。

 他には、あの、三択を言ってもらいたい。
 ……玄関を出て、リビングに行き、着ていた上着を受け取る。
 すると、「お風呂にする? ご飯にする? それとも……わ・た・し?」と言って、からの上目遣い。
 考えただけで、最高だな。

 他にはーー

「ごほっん………妄想に浸る時間はこれぐらいで良いか?」
「もう、妄想じゃなくとも、我に言ってくれればそれぐらいは……するが?」

 そっかぁぁーーー
 こいつら、思考が読めるんじゃん。

 それより、やってくれるってマジか。
 けど、言ってから、顔を赤くしているし……これは、頼まない方が良いかなぁ?

「それよりで、悪いんじゃが、さっきの強さの確認や、主従関係などもだが、ステータスを見れば、一発で分かる事じゃと思うんじゃが……」
「それはだなーー」

 隠してもしょうがないので、ステータスを見ない理由を全て話した。
 なんか、話してて、馬鹿らしくなってきた。

 強ければ、それで良いじゃないか。
 それで、何もかもが出来るんだったら。

「ーーやっぱ見よう。ステータス」
「ん? さっきと話している事が真逆だが?」

 仕方ないだろう、今決めたんだから。
 理由ねーけど。

「で、ステータスを見るのは……何となくの気まぐれだ」
「気まぐれとは……キラリらしくと言えばキラリらしいが」

 なんか、アルが呟いているが、無視だ、無視。

 まぁ、本当の事を言わないのは、皆を守る為に自分の力と向き合う、という理由だからだ。
 だって、こんなの言うの恥ずかしいだろ。

 それよりも、ステータス♪ ステータス♪。










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