最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~
40話 終局
「うぅう、タスクぅううう!!」
俺とオウヤが作った空間から出るとマイが抱きついてきた。突然と彼女が現れたように抱きつかれたため、僕にはどうすることもなく、彼女になされるがままに、抱きつかれたのである。
く、苦しい。そして胸が大きい。
「たぁあ、ごめんマイ。助けにこれなくて」
俺はマイの頭をなでて、彼女の髪を書き上げるように頭を俺の体へとちかづけさせ、そのようなことを言った。彼女は、うんうんと俺の胸の中で頭を盾にふりながら、このようなことを言った。
「ばかばかばか、怖かったんだから、寂しかったんだから、つらかったんだからぁああああああああ!!!」
彼女は、そういって声を裏がえるようなしゃっくりと共に泣いていた。俺はどうすることもなく、彼女の頭を撫でてあげることしかできない。もっと俺がしっかりとしていれば、こんなことにはならなかった……
「もっと、誰かに頼るんじゃなくて、自分でやらなければならなかったんだ。ほんとうに……ごめん」
俺は彼女にどのような言葉もかけてあげられない人間になっていることに、身が焦がれるような後悔が押し寄せていた。どうすることもできなかったことにも、頭が痺れあがるほどに後悔だった。
「そんなことはどうでもいい! なんで、どうしてそんなやり方なの!?」
彼女は俺に声を突っぱねるようにして投げた。
「こんなやり方……」
俺はこれまでの自分の行いを思い出す。いままで俺は、誰かと対決することで、自分の正しさを示してきた。それが剣ミサキとの戦いで……
「もう一人で背負うのはやめにしよう、ねえタスク……」
答えが出てこなかった俺の代わりに、マイが答えを用意していた。俺はどうすることもなく、彼女の言葉を、次に出る言葉を聞くことにした。
「一人で背負う…………」
俺は考える。そうか…… なにをしてたんだろうか。あのとき、何かを成し遂げるには、マイに誰かとじゃないと無理だよと言ってもらったにも関わらず。
「私はあなたと、同じなの。私を守ることは、タスクのお仕事だからなにも言わなかった。だけどね、今は違うの。だって私、タスクのこと……」
彼女はいままで、俺の胸で潜るようにしていたが、しっかりと俺が見える位置までに俺を見つめると。
「愛してる。だから、私にもタスクを助けることはしたい。タスクの力になれないかもしれない、でもね。あのとき、言ったよね」
あのとき、ああ俺が彼女に泣きついた時の……
「お互い支え合っていこうって、たしかに、人ってちょっとのいさかいで、関係がおわってしまうのかもしれない、とつぜん何かがあってこの関係が無くなってしまうかもしれない、でもね、それでもタスクとなら、わたしは……」
そういって彼女は、次の言葉を賢明に俺に伝える。
「生きていけるの、もしあなたが世界の大きな敵に、それこそ悪になっても。もし何かで間違えてしまったら、私はあなたを正す。あなたが苦しんでいるのなら、私があなたを受け止めてあげる。だから、もう一人でなんでもやろうとは思わないで、わたしがいるのに」
彼女はそういって、俺にやさしく抱きついた。
俺は体を倒して、身を任せるように、彼女の体に自分の頭を埋めるようにして胸の鼓動を聞いていた。俺はなにをしていたんだ。そしてなにを言ってきたんだろうか。
「うん……」
そう答えて、黙って彼女の言葉一つ一つを聞いていた。
「謝罪はいらない。これから、見せて。私にタスクを見せてよ」
彼女の胸にあった顔を持ち上げるようにして、彼女の目と眼の先へと持って行った。そう言って俺とマイは見つめ合ったあと、
マイは、俺に……
「ひゅーうひゅーう、おあついねえ~それももう熱湯したお湯よりも、下手をしてしまったらマグマよりも、あちゅーいね、おふた方~」
そうだ…… 俺はこいつがいることを忘れていた。俺とマイはさっと元に戻った。
「ったああ、てめえ…… そこにいたのかよっ!!」
俺は頭にきていた。カルシウムの摂取がもうすこし少なかったら、こいつはどうにかなっていた。ああほんとうに。
「っもう///」
マイはプンとそっぽを向くようにしていた。ほっぺたが大きく膨らんでいた。そして赤くなっている。
というわけで俺一人の戦いはここで終わった。
「これとかどう?」
マイが俺に服を見せるようにして広げてきた。
なんだかとても長い時間彼女と別れていたような気がする。でもよかったと思った。それはまた会えたからだ。
店内でマイは服を選んでいた。それに付き添うようにして俺も同行している。
「子供なんてすぐに大きくなるし…… どうだろうな、でも確かにチョイスは最高かもしれない」
というわけで、俺たちは二人の人生を歩んでいた。
あれから三年後、俺はいろいろなものを守るために、新たな国を作った。いろいろあって、たくさんの仲間が犠牲になった。前に進むってことはこれらすべてを受け入れて進まなければならないとわかった。
越えられないことも二人なら越えていけるってわかった。
俺の人生がこれからどうなるのかなんて、この先の人生を歩まない限り知ることはできないだろう。だから俺は進み続けるよ。
じゃあ、また会えたらどこかで。
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