最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~
39話
「やあ諸君、初めましてだね”鍵”の者たちよ」
「だ、誰だお前!!」
「この世界を守るべく、裏で全てのものを動かしている存在だよ。本来ならば私は君たちとはだいぶ後に会うことになるのだけれどね」
「平明 ヒラキ、僕はここまでのようだ。彼にこの世界に起こっている亀裂の全ての発端をおしえてやるといい」
「お安い御用だと言いたいところではあるが、しかし君はどうする? このままここで死ぬか?」
「それも悪くはない、しかしこの男のタスクのその先はみてみたいということもある」
「まあ聞いてもなく、君にも役割がこれからあるから、問答無用で生きるという選択をしなければならないけどね」
「そうか、なら速くこの致命傷を直してくれるか?」
「ファンタジーゲーターから少しだけパクらせていただいた魔法がある。コレを君にも実験をかねて使ってみるよ」
そういい終わると、「ベホルミ」とヒラキは大声でヒラキに言い放った。突然の出来事、そしてヒラキが何をしているのか俺にはまったくとわからなくなっていた。あまりにも急展開を呼ぶ急展開にさすがの俺もビビッてしまっていたのだ。
オウヤとヒラキの会話を聞いた後、ヒラキは本題に入った。
「よし、ようやく事を話すことが出来る。ではまず、タスク君、君は今誰のために戦っているんだい?」
「いきなりなにいってんだよこのおっさんは。オウヤこのおっさん登場の仕方も、相当やばかったし、頭も相当やばいんじゃないのか?」
オウヤに聞いていたが、その質問を遮るようにしてヒラキはこういった。
「登場の仕方は仕方のないことなんだよ。違う世界の森タスクに会うには、この世界を認知できる肉体捨てていくしか、彼に会う方法はなかったのだ」
「ヒラキのおじさんは、あいつに、会ったのかよ」
「ああそうだ。君に合わせるために、この世界の神様とあれこれしたんだ。くわしいことは長くなるから省略するよ」
 わざわざ肉体を殺すということもしたくなかったからね、だからオウヤ君にタスク君を倒せると本当の情報を流して、この肉体を『摂取』してもらったんだ」
「まさか本当の情報だったとは」
オウヤが、話を聞いていたのか、そういって不貞腐れるようにして笑っていた。
「本来のシナリオならね。君はオウヤに倒されてしまうというものだったんだタスク君。そして…… いいやこれから先は君がシナリオを変えてしまったから、なにも始まらなかったか、つまりは白紙にまたもどるということだ」
「正直に言えばこれまでのことの半分が理解ができていない。俺はマイといることができたなら俺はそれでいい。平和な日常にもどれるなら」
「そうか、まあここまで来てしまったのならば、平和な日常に戻るのは君次第なのかもしれないね」
「いちおうコレで、ハッピーエンドなんだろう?」
「いいや。予定を大幅に、君にはある極秘の文章を守ってもらうことにする。ここで神話殺しのあの子にも参加を願いたいのだが、いたし方あるまい」
「神話殺しって?」
「とあるお方の眷属であり、その方の対をなすようにして天たり得る異端を刈る存在、天野路 夜久君のことだ。君異常にシナリオを文字通りにも、意味どおりにも壊してしまう存在だ」
「しらねえ」
「そして、天野路 夜久君の主として、あの十二支族の末裔にして、全ての末裔を倒し、見事第一階級に帰りづいた最高位のスタフェリア・アブソリュータ・ウロボロウウス。幻想の世界において彼らの身勝手さに右に出るものはいない、もちろん強さにもだ」
「だれかしらない情報なんて俺にはどうでもいいんだ。だからあれだよ、俺はもうさっさとマイに会いたいよ」
「まってくれ、まだ君に言うことがたくさんあるんだ」
「なんだ?」
「これから、あの井ノ川岳というところに行くこととなる」
「どういうことだ?」
「森タスク君の金九小学校に在籍していたときのタイムカプセル…… それに今後僕たちになるであろう、裏死海文書ならぬ、世界の予訂書というものがあるということだ」
「それがどういうことなんだ?」
「世界の予定表、つまりは、マイさんが直接とも真世界の住人であり、アカシックレコーダーの存在をそのまま拭い去ってしまうほどの、転地変動の方法論、論理の跳躍、廃崩壊した世界への道しるべ。まあ僕はとある人物を使って少しばかり覗いてしまったがね。とにかくそれを彼は小学六年生の彼が書いた稚拙な小説という媒体で出力された20字×40字の300枚に渡る作品にて、それがその方法論が載っていたんだ」
「何を言っているんだ?」
「20万字にわたり、その人類さえも到達できない観測事象をあのいたいけな小学六年生が、歳端もいかぬガキが描いてしまったのだよ。たった一つの小さな頭から放出された想像力で」
「だからどうしたんだよ?」
「どうしたもなにも、これほどまでに価値のあるものを君は、『だからどうしたんだよ?』で片付けてしまうのかい?」
「それってのは本当なんですか?」
オウヤが分かっていない俺を振り払うかのようにヒラキに対して質問を投げかけた。
「ああ、文章は脱字など、まだまだ稚拙な部分が多い、しかしそれはこの世界の、この多元世界において、類にも見ない”偽確定世界”を作ってしまった原因でもあるのだ」
「まったく、どれほどまでに世界はインフレーション的に、情報が壮大になっていくんだ」
オウヤはあきれていた。
「とにかくだ、タスク君、君はその文章をこの世界の者たちから確保したのち完全に守ってほしい」
「俺にもわかりやすくなったな。わかった。んじゃあそれがもし、他の敵に渡ったらどうなっちまうんだ?」
「敵対している勢力に渡ってしまったら、どうなるのか私にもわからない。Trulerの卍城オウヤ君、君の見解を聞いてみたい」
「僕には分かりませんが、しかしそれがあるとしたならば、世界の”強大な力”を持った連中が、その書物を我早くその書物を奪取せんと大きな戦いが起こるでしょう。真世界の僕も…… 今は”その僕”ともコンタクトが取れませんが、しかし今は僕は一度死んでしまった身、Trulerの設立者の”あいつ”からは監視下からはこの歪んだ世界に存在しているため放たれています。今は……」
「君のこれからの動向なんて聞いてはいない」
「おっさん急に辛らつになったな。どうしたんだよ?カルシウム足りてるのか?」
「大体でいい。その書物を狙う連中の候補を挙げてくれるかい?」
タスクの戯言を無視して会話は続く。
「間違いなく誰よりも世界を恨んでいる『天野路 夜久』監督、そして統領『スタフェリア・アブソリュータ・ウロボウス』率いる、”新接百鬼夜行”の超現実世界の連中」
「コレはッ…… 世界が何度壊れてしまってもおかしくはないな」
「超古代人文明から目覚めた隔絶都市フェイサー・ムーンの第453后妃 『アルテミス・フェイサー・メーネシス』殿下率いる”アルテミスの下僕達”。幻想世界の連中」
「ついに世界を裏手に回していた連中が表舞台に出てくるのか。まったく個人的にあいつらにはなんど手を焼かせてしまったか……」
「それを対を成していた。ブリテン帝国の属国アメリカにあるアメリカ国防高等研究計画局、通称DARPA。地下にいる。『第二次世界大戦の申し子』率いる”不死の兵隊”」
「冗談はよせ。”あの方”は確かにこの僕の情報を持っていても死んでいるとわかっているんだ」
「ヒラキさん、あなたでも知らないことがあるということです。真世界のTrulerを手助けしているのもそのお方です」
「しかしだ、彼は”裏”のものたちに操られていたのだろう?」
「いいえ、それも彼の言う、”新世界へのシナリオ”というわけです」
「……なるほど、さすがは、数百万の人を真世界において言葉だけで動かしただけはある」
「そして、あなたが使っていた新勢力の異能使いによって終結した”ファンタジー・ゲーターのギルド”天城岳のダンジョンを作ってしまったのも、あのファンタジーゲーターのおかげですよ。しかし私が攻略して、タスクを待っていたということです。しかしこのタスクは、下からではなく、上から僕が通ってきた過程をすっ飛ばして、上から落ちてくるようにしてやってきたのです」
「そんな愚痴はどうだっていいだろ?」
さすがのタスクの正論も、オウヤは笑ってそうだと言って話を続ける。
「彼らのおかしさ、ファンタジーの連中を我々は”クロスブレイカーズ”と呼んでいます」
「チームワークは無いが規格外の戦闘集団だからな。そして共通しているのがたくさんの女性達に囲まれているということだ」
「そんなやべえやつらもいるんだな」
「ああ、まるでギャングのようなやつらだ」
タスクにもわかるようにオウヤはやさしく返した。
「そして、その全貌の情報がTulerにも把握されていない大群、名称アノニマス」
「彼らの狙いはわかっているかい?」
「快楽主義の連中だということはわかっています」
「この時代にして、無名の快楽主義者はどうしようもないものだな」
「はい、なによりも彼らの狙いがまったくとわからないというものがその組織の不可解性が顕著に現れれています」
「こちからとしてもとてもやりずらい連中であることは変わらないな」
「そして、あのTrulerの総司令にしてクロニクル・ヴァン・アルテメスが陣取る。”常世の真理”が必ずにして参戦してしまう」
「君の親玉ということか、しかしだオウヤ君、君はどうやってクロニクルと出会ったんだい?」
「タスクを倒すべく、今年七月、僕はあの能力者育成機関を飛び出しました。そして数々のYSを倒して、一つの世界の真理を私の総司令クロニクルが一つの予言と私がこれから先にする、”使命”というものを授かりました。彼から教えてもらったのは、確実とも言える未来の情報と、タスクのそばにいたマイを奪い天城岳にて陣を構え、そして現れるであろう相座時之氏 守刄が来るのを待つという使命をです。がしかし、私は、真世界の森タスクを殺したいという建前で、このすぐそばにいるタスクを倒したいという欲に駆られていたんです。いまはこのざまですけどね」
「そうか、しかし君はこれからどうするのだ? タスクのこの先を見るとしてもお前は、Trulerの組織に踏み入れてしまった」
「しばらく亡命をしてみます」ひととおりの説明を終えてオウヤは俺の方を見て「タスク、また会えた時にはまた勝負をしてくれるかい?」
「あたりまえだ、俺はいつでも待っているからな」
俺はできるだけ彼が、元気がでるように答えた。
「まったく君だけは、これだけの異常事態であるのに全くと変わらないということが本当に助かるよ」
「はいはい、鈍感で頭悪くて悪かったな」
「まったく……それを言うなら世間知らずというものだよ。快くこの僕を受け入れてくれてありがとう」
「いいんだよ、やべえやつ拒まずって言うだろ?」
「だれがやべえやつなんだよ…… それを言うなら来るもの拒まずって言うんだよ」
「ああ、そうだったか!! まあ細かいこたぁいいんだよ」
「まったく君という人間は……」
「それとあれだ」
背中を向けて、この空間から出ようとしていたオウヤに向けてタスクはまだ言うことがあった。
「なにかあったら、俺に言ってくれ。助けになるのかはわからねえけど、まああれだ。お前の髪の毛ぐらいにはなってやるよ」
「僕のことよりも前髪が薄い作者の髪にでもなってくれ」と冗談交じりに言い「いいよ、助けにならなかったならばすぐに切り捨てる」
「ったくよ、素直じゃねえな。じゃあまたな」
「ああ、せいぜいマイさんと余生を楽しんでくれ」
「最後までお前ってやつは!!」
オウヤは小さな笑みで背中越しで手を振ってこの世界から出て行った。
「タスク君、君はこれから世界の全ての大衆と戦うことになる」
「はい、だからどうしたんですか?」
「だからどうしたも、マイさんを守り、そして同等の力を持っているあの裏死海文書ならぬ、世界の予訂書と同時に守るという、誰もが真似できないような芸当を一人でやらなければならないのだ」
「真世界のタスクが、形が違えど世界と対峙していたのは、たぶん運命だったんだよ。それがこの同じ魂を持っているこの俺にただ受け継がれてしまったというたったそれだけのこと。ならやるしかないでしょう?」
「なんて人間だ、あの狂っている相座時之氏 守刄が気に入っているだけの事はある。しかしこれからは、1対1ではなく大衆が相手だ。そんな君に、僕からも期待している。どうかこの世界を救ってくれ。できるかぎりの仲間を集めることはこの僕に任せてほしい」
「仲間を集めるってなら俺とシンパシーが会うやつを連れてきてくださいよ。俺という人間は元はボッチ体質の人間だったから」
「希望財閥は今日にて、正式に日本能力者機関を切り捨てるとの判断だ。同時にYSがアメリカのDARPAの能力支部を脱退したとの情報が入った」
「世界は動き出しましたね。まさか本当に俺があの彼らと戦うことになることとは」
「君の半生を生きたあの学園のことだね、あそこでの思い出はあまりいいものではないと私は君のこれまでを見て考えているのだが」
「いいやあの学園で今の俺ができたんです。だから俺の半身と言っても過言ではないです」
「そこまで思い入れがあったのだね。これもまた君の運命というものだ。受け入れるしかないだろう」
「話の続きはこの世界を出てからにしますか」
「ああそのようだ、というよりもそうしよう」
だんだんとタスクとオウヤが作ってしまった観測不能の世界は崩れてしまっていた。
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