TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
千佳ちゃんと、ドイツの旅。
「それでは参りますわよ!」
「はーい」
「お姉ちゃん。手、繋ご?」
「いいよ! 絶対に離さないからね!」
リムジンを降りたこの場所は石畳と古い城壁が特徴的な、ローテンブルクです。
高い塔や三角屋根の建物たちが立ち並ぶ街で、まるで映画の主人公になってような気分に浸ります。
「お嬢様。ここはバイエルンの中にあるローテンブルク・オプ・デア・タウバーですわ」
「ローテンブルク、お、お……ごめんもう一回」
「ローテンブルク・オプ・デア・タウバーですわ」
「ローテンブルク・オプ・デ、で……うん。覚えないでおくよ」
街の名前が長すぎるよ! ローテンブルクでいいじゃん!
しかも流石ヒルデちゃん、ドイツ語の発音がかっこいい。
でも読み方が滑らか過ぎて何言ってるか分からない。
「この街は古く九百年代に興りましたわ。ハインリヒによってこの城は一度修道院に遺贈されたのですが、その後ハインリヒ五世によって……」
「ちょ、ちょっとストップ! そういう歴史的な話はいいから、街を歩こうよ」
「……そうですか」
そんな残念そうな顔しても無駄だからね!
折角ドイツまで来たのに大昔の歴史を頭に詰め込んだらパンクしちゃうじゃないか。
詰め込むのは美味しい食べ物だけでいいよ。
「この城壁は上に上る事が出来ますから、中々楽しいですわよ!」
「おお! 城壁って言うから万里の長城みたいなの想像してたけど、ここは屋根があったりするんだね!」
「お姉ちゃん、あっちにかっこいい塔があるよ! ゲームだったら登れそう!」
ゲーマー脳なメグちゃんが指さした方向には、レンガで出来た立派な塔があります。
「あれはコーボルツェーラー塔ですわ」
「うん、絶対覚えられないよ」
大きいなー、立派だなーとしか分からない私には、ドイツの街の固有名詞を覚えるのは難しそうです。
「千佳! 恵! ヒルデ! こっちだこっち!」
「席は取っておいたのねん!」
大きな教会や市庁舎などを見て回った後、お昼から合流するクリスとシャロルから連絡を受けてレストランへとやって来ました。
どうせなら街並みを見ながらテラス席で食事をしたい所ですが……先程まで歩いていた外の気温はマイナス二度くらいだそうなので諦めました。
暖かいご飯が冷めちゃうからね!
「この店のシュペッツレは美味しいんだぜ!」
「しゅ、しゅぺつれ?」
「パスタだねん。今から食べるのはケーゼシュペッツレって言って、チーズと玉ねぎが入ってるねん」
シャロルの解説を聞いているとダンディなコックさんが真っ白な皿に盛り付けられたシュペッツレを持ってきました。
「美味しいそうだね、お姉ちゃん!」
「そうだね。チーズのいい香りが食欲をそそるよ!」
「Guten Appetit」
「ぐ、ぐーてん?……えっと、なんて言ったの?」
「Danke. 召し上がれ、とおっしゃったのですわお嬢様。わたくしと同じようにダンケと返せば問題ありません」
「だ、ダンケって?」
「なんだよ千佳、ダンケも知らずにドイツに来たのか?」
「だってドイツに来てから親戚全員日本語なんだもん! 予習も出来てないんだよ!」
「ダンケは日本語でありがとうだよ、お姉ちゃん」
「メグちゃんの方が頭が良い!?」
このままでは姉の面子が丸潰れです。
こ、ここはかっこよくコックさんに返事をして威厳を見せつけねば!
「だ、だんけ!」
「千佳たん。コックさんはもういないのねん」
「……」
恥ずかしさから逃げるように私はフォークを手に取りました。
わ、私だってドイツに行くって分かってたらちゃんと勉強したもんっ!
「はーい」
「お姉ちゃん。手、繋ご?」
「いいよ! 絶対に離さないからね!」
リムジンを降りたこの場所は石畳と古い城壁が特徴的な、ローテンブルクです。
高い塔や三角屋根の建物たちが立ち並ぶ街で、まるで映画の主人公になってような気分に浸ります。
「お嬢様。ここはバイエルンの中にあるローテンブルク・オプ・デア・タウバーですわ」
「ローテンブルク、お、お……ごめんもう一回」
「ローテンブルク・オプ・デア・タウバーですわ」
「ローテンブルク・オプ・デ、で……うん。覚えないでおくよ」
街の名前が長すぎるよ! ローテンブルクでいいじゃん!
しかも流石ヒルデちゃん、ドイツ語の発音がかっこいい。
でも読み方が滑らか過ぎて何言ってるか分からない。
「この街は古く九百年代に興りましたわ。ハインリヒによってこの城は一度修道院に遺贈されたのですが、その後ハインリヒ五世によって……」
「ちょ、ちょっとストップ! そういう歴史的な話はいいから、街を歩こうよ」
「……そうですか」
そんな残念そうな顔しても無駄だからね!
折角ドイツまで来たのに大昔の歴史を頭に詰め込んだらパンクしちゃうじゃないか。
詰め込むのは美味しい食べ物だけでいいよ。
「この城壁は上に上る事が出来ますから、中々楽しいですわよ!」
「おお! 城壁って言うから万里の長城みたいなの想像してたけど、ここは屋根があったりするんだね!」
「お姉ちゃん、あっちにかっこいい塔があるよ! ゲームだったら登れそう!」
ゲーマー脳なメグちゃんが指さした方向には、レンガで出来た立派な塔があります。
「あれはコーボルツェーラー塔ですわ」
「うん、絶対覚えられないよ」
大きいなー、立派だなーとしか分からない私には、ドイツの街の固有名詞を覚えるのは難しそうです。
「千佳! 恵! ヒルデ! こっちだこっち!」
「席は取っておいたのねん!」
大きな教会や市庁舎などを見て回った後、お昼から合流するクリスとシャロルから連絡を受けてレストランへとやって来ました。
どうせなら街並みを見ながらテラス席で食事をしたい所ですが……先程まで歩いていた外の気温はマイナス二度くらいだそうなので諦めました。
暖かいご飯が冷めちゃうからね!
「この店のシュペッツレは美味しいんだぜ!」
「しゅ、しゅぺつれ?」
「パスタだねん。今から食べるのはケーゼシュペッツレって言って、チーズと玉ねぎが入ってるねん」
シャロルの解説を聞いているとダンディなコックさんが真っ白な皿に盛り付けられたシュペッツレを持ってきました。
「美味しいそうだね、お姉ちゃん!」
「そうだね。チーズのいい香りが食欲をそそるよ!」
「Guten Appetit」
「ぐ、ぐーてん?……えっと、なんて言ったの?」
「Danke. 召し上がれ、とおっしゃったのですわお嬢様。わたくしと同じようにダンケと返せば問題ありません」
「だ、ダンケって?」
「なんだよ千佳、ダンケも知らずにドイツに来たのか?」
「だってドイツに来てから親戚全員日本語なんだもん! 予習も出来てないんだよ!」
「ダンケは日本語でありがとうだよ、お姉ちゃん」
「メグちゃんの方が頭が良い!?」
このままでは姉の面子が丸潰れです。
こ、ここはかっこよくコックさんに返事をして威厳を見せつけねば!
「だ、だんけ!」
「千佳たん。コックさんはもういないのねん」
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