TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
千佳ちゃん、いっぱい出会う。
ヒルデちゃんに連れられてまずやって来たのは、ホラーゲームに出てきそうな大広間。
飛行機で寝て冴え切った私達の目の前には吹き抜けの立派な階段があり、とっても掃除が大変そうです。
「さてお嬢様方。使用人に荷物を運ばせますので、お渡しくださいませ」
「え、そんなの悪いよ」
「駄目ですわお嬢様! それでは使用人の存在意義が無くなってしまいます」
叫ぶヒルデちゃんの後ろで五人程並んでいるメイドさん達が一様に眉を落とします。
全員二十代くらいで若くて可愛いんだから、そんなに悲しそうな顔しないで!
「えっと、それじゃあお願いします」
ぱぁっ! と効果音が鳴りそうな笑顔に戻ったメイドさん達は、私達の荷物を持って階段を上がって行きました。
表情豊かだねメイドさん達!
「それでは皆が待つ食堂へと向かいますわよ!」
「皆が、待つ?……ヒルデちゃん今何時?」
「一大事ですわ!」
「それを知ってるんだ!?」
「日本語はアニメで覚えたのですわ!」
最近の外国人によくあるやつだ!
「まぁそれは置いときまして、今は朝の三時ですわ」
「……えっと、そんな時間に待ってるの?」
「ええ! 皆が首を長くして待ってますわ!」
多分ヒルデちゃんのご家族だと思うんだけど、凄く期待されてるようで怖い。
ヒルデちゃんを見る限りだといい人達なんだと思うけど、少し緊張してきました。
「ねぇ、ヒルデちゃんの家族ってどん」
「着きましたわ!」
「なっ、って心の準備が!?」
ヒルデちゃんが開け放った扉の先には細長いテーブルのある食堂に、沢山の人が座っていました。
目算で二十に満たない位の人数が居るみたいです。
そんな皆さんの視線を一気に浴びてたじろいでいると。
「本物の千佳だー!」
「うわっぷ!?」
「ドイツへようこそ千佳たん!」
「やっと会えたぜ千佳!」
ヒルデちゃんに似たスーツ姿の女性に正面から抱き着かれ、次いで青い前髪で目元を隠した高校生くらいで褐色の女の子に頭を撫でられました。
そして最後に赤い髪をポニーテールにした活発そうな褐色の女の子、多分中学生位の子に肩を叩かれました。
「な、何で私の事を?」
そう呟くと、抱き着いていたスーツの女性が私から離れて説明してくれました。
「千佳の事はよーく聞いてるのよ! ようこそ我が国ドイツへ! 私はヒルデの母でベアトリクスって言うのだわ!」
「え、ヒルデちゃんのお母さん? わ、若い……」
スーツの女性はヒルデちゃんのお母さんでした。
ヒルデちゃんの姉と言ってもバレないような、とても若々しい人です。
まぁ、私のお母さんも負けてないけどね!
「ふふ、ありがとう、だわ。ヒルデの事をそう呼んでるなら、私の事はベアトちゃんって呼んでほしい、のだわ?」
「えっと、言葉遣いが難しかったら態々だわって付けなくても」
「これは私のアイデンティティなのだわ!」
「確かにヒルデちゃんのお母さんだ!」
この変な方向に吹っ切れた感じ、正に親子か!
「えっと、ベアトさん」
「ちゃん付けがいいの、だわ……」
ぐふっ、私の周りにはおねだり上目遣いを心得ている人が多すぎる……。
語尾は変だけど。
「えっと、それじゃあベアトちゃん、よろしくお願いします」
「うん! よろしくだわ千佳!」
「それじゃあ次は私かなん! 千佳たん、何千年も前から会いたかったですん」
次に話しかけてきたのは目隠し前髪の子です。
それにしても千佳たんって……。
何千年も前って……。
「ツッコミどころが多すぎるよ!」
「生千佳たんは凄くいい匂いがするんだねん」
「しかも愛架ちゃんと同類!? 今日ツッコミ過ぎて喉枯れそうだよ!」
「千佳様、こちら暖かいレモネードでございます」
「あ、どうも」
既に変態認定された名前も知らない目隠しガールを置いて、ヒルデちゃんでは無い可愛いメイドさんから飲み物を受け取る。
流石メイドさん、空気の読み方が段違いだ!
「おいキャロル、自己紹介がまだだぞ」
「あ、ごめんなさいねん。私はキャロライナ。ベアト叔母さんの兄の娘だねん」
「えっと、つまりお父さんのお兄さんの娘?」
「そうなるねん」
「それとその語尾は?」
「アイデンティティねん!」
「お前もかい!」
私の親戚凄いのばっかだな!
「悪いな千佳、こいつ変に日本語覚えちまってさ。俺はクリスティンだ。よろしくな」
「あ、千佳です。よろしくお願いします」
さっき私の肩を叩いた赤髪ポニーテールの女の子が最後に話し掛けてきました。
凄い! クリスティンさんだけまともだ!
俺っ子だけど、それがいい!
「俺の事はクリスって呼び捨てでいいぞ」
「はい! じゃあクリス、これでいい?」
「ああ。来てばっかりで騒がしくて悪い。俺たち親戚は皆、千佳に会えるのを待ってたんだ」
そう言われて周りを見渡せば、十数人の親戚一同がうんうんと頷いています。
私って親戚にも人気出てたの?
「千佳の両親が皆に千佳の写真を送りまくってるらしくてな。ほら、この食堂にも一杯飾ってあるぞ」
「初めて来た家に私の写真が!? しかも滅茶苦茶高級そうな額縁に入れられてる!?」
「まぁそういう訳だから、一か月と少しくらいだろうけど仲良くしてくれよ。俺も千佳と沢山話しをしたかったんだ」
「う、うん。初めての海外だけど、皆日本語で喋るから海外感が……」
いや、何喋ってるか分からないよりはいいんだけど。
どうしてそんなにペラペラなんだ……。
「全員千佳と喋る為に日本語を猛勉強したからな」
「私が原因!?」
そんなこんなで沢山の親戚に揉みくちゃにされながらも、私は親戚全員と顔を合わせる事になるのでした。
飛行機で寝て冴え切った私達の目の前には吹き抜けの立派な階段があり、とっても掃除が大変そうです。
「さてお嬢様方。使用人に荷物を運ばせますので、お渡しくださいませ」
「え、そんなの悪いよ」
「駄目ですわお嬢様! それでは使用人の存在意義が無くなってしまいます」
叫ぶヒルデちゃんの後ろで五人程並んでいるメイドさん達が一様に眉を落とします。
全員二十代くらいで若くて可愛いんだから、そんなに悲しそうな顔しないで!
「えっと、それじゃあお願いします」
ぱぁっ! と効果音が鳴りそうな笑顔に戻ったメイドさん達は、私達の荷物を持って階段を上がって行きました。
表情豊かだねメイドさん達!
「それでは皆が待つ食堂へと向かいますわよ!」
「皆が、待つ?……ヒルデちゃん今何時?」
「一大事ですわ!」
「それを知ってるんだ!?」
「日本語はアニメで覚えたのですわ!」
最近の外国人によくあるやつだ!
「まぁそれは置いときまして、今は朝の三時ですわ」
「……えっと、そんな時間に待ってるの?」
「ええ! 皆が首を長くして待ってますわ!」
多分ヒルデちゃんのご家族だと思うんだけど、凄く期待されてるようで怖い。
ヒルデちゃんを見る限りだといい人達なんだと思うけど、少し緊張してきました。
「ねぇ、ヒルデちゃんの家族ってどん」
「着きましたわ!」
「なっ、って心の準備が!?」
ヒルデちゃんが開け放った扉の先には細長いテーブルのある食堂に、沢山の人が座っていました。
目算で二十に満たない位の人数が居るみたいです。
そんな皆さんの視線を一気に浴びてたじろいでいると。
「本物の千佳だー!」
「うわっぷ!?」
「ドイツへようこそ千佳たん!」
「やっと会えたぜ千佳!」
ヒルデちゃんに似たスーツ姿の女性に正面から抱き着かれ、次いで青い前髪で目元を隠した高校生くらいで褐色の女の子に頭を撫でられました。
そして最後に赤い髪をポニーテールにした活発そうな褐色の女の子、多分中学生位の子に肩を叩かれました。
「な、何で私の事を?」
そう呟くと、抱き着いていたスーツの女性が私から離れて説明してくれました。
「千佳の事はよーく聞いてるのよ! ようこそ我が国ドイツへ! 私はヒルデの母でベアトリクスって言うのだわ!」
「え、ヒルデちゃんのお母さん? わ、若い……」
スーツの女性はヒルデちゃんのお母さんでした。
ヒルデちゃんの姉と言ってもバレないような、とても若々しい人です。
まぁ、私のお母さんも負けてないけどね!
「ふふ、ありがとう、だわ。ヒルデの事をそう呼んでるなら、私の事はベアトちゃんって呼んでほしい、のだわ?」
「えっと、言葉遣いが難しかったら態々だわって付けなくても」
「これは私のアイデンティティなのだわ!」
「確かにヒルデちゃんのお母さんだ!」
この変な方向に吹っ切れた感じ、正に親子か!
「えっと、ベアトさん」
「ちゃん付けがいいの、だわ……」
ぐふっ、私の周りにはおねだり上目遣いを心得ている人が多すぎる……。
語尾は変だけど。
「えっと、それじゃあベアトちゃん、よろしくお願いします」
「うん! よろしくだわ千佳!」
「それじゃあ次は私かなん! 千佳たん、何千年も前から会いたかったですん」
次に話しかけてきたのは目隠し前髪の子です。
それにしても千佳たんって……。
何千年も前って……。
「ツッコミどころが多すぎるよ!」
「生千佳たんは凄くいい匂いがするんだねん」
「しかも愛架ちゃんと同類!? 今日ツッコミ過ぎて喉枯れそうだよ!」
「千佳様、こちら暖かいレモネードでございます」
「あ、どうも」
既に変態認定された名前も知らない目隠しガールを置いて、ヒルデちゃんでは無い可愛いメイドさんから飲み物を受け取る。
流石メイドさん、空気の読み方が段違いだ!
「おいキャロル、自己紹介がまだだぞ」
「あ、ごめんなさいねん。私はキャロライナ。ベアト叔母さんの兄の娘だねん」
「えっと、つまりお父さんのお兄さんの娘?」
「そうなるねん」
「それとその語尾は?」
「アイデンティティねん!」
「お前もかい!」
私の親戚凄いのばっかだな!
「悪いな千佳、こいつ変に日本語覚えちまってさ。俺はクリスティンだ。よろしくな」
「あ、千佳です。よろしくお願いします」
さっき私の肩を叩いた赤髪ポニーテールの女の子が最後に話し掛けてきました。
凄い! クリスティンさんだけまともだ!
俺っ子だけど、それがいい!
「俺の事はクリスって呼び捨てでいいぞ」
「はい! じゃあクリス、これでいい?」
「ああ。来てばっかりで騒がしくて悪い。俺たち親戚は皆、千佳に会えるのを待ってたんだ」
そう言われて周りを見渡せば、十数人の親戚一同がうんうんと頷いています。
私って親戚にも人気出てたの?
「千佳の両親が皆に千佳の写真を送りまくってるらしくてな。ほら、この食堂にも一杯飾ってあるぞ」
「初めて来た家に私の写真が!? しかも滅茶苦茶高級そうな額縁に入れられてる!?」
「まぁそういう訳だから、一か月と少しくらいだろうけど仲良くしてくれよ。俺も千佳と沢山話しをしたかったんだ」
「う、うん。初めての海外だけど、皆日本語で喋るから海外感が……」
いや、何喋ってるか分からないよりはいいんだけど。
どうしてそんなにペラペラなんだ……。
「全員千佳と喋る為に日本語を猛勉強したからな」
「私が原因!?」
そんなこんなで沢山の親戚に揉みくちゃにされながらも、私は親戚全員と顔を合わせる事になるのでした。
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