TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―

夕月かなで

千佳ちゃん、ドイツでもツッコむ。

「ほぇぇ……」
「すっごーい!」
「お金持ちデス!」

 リムジンに乗せられてから一時間程、私達の目の前にはまるでゲームに出てくる神殿のような大豪邸が建っています。
 ズラリと並ぶ窓から暖かい光が漏れており、未だに深夜の空の下でもその存在感を主張しているようです。
 メグちゃんやマリーはドイツへ来てからずっとはしゃいでいますが、豪邸を見た私は変な声しか出ませんでした。
 なんかもう、色々ありすぎて。

「さてお嬢様とそのご家族様、並びにチャイコフスキー様のご婦人、ご息女様。こちらが皆さんもお泊りいただくわたくしの家ですわ!」
「ほぇぇ……?」

 豪邸をバックに両手を広げて紹介するブリュンヒルデちゃん。
 クラシカルなメイド服に満面のドヤ顔を乗せたブリュンヒルデちゃん可愛い。

「部屋数は全部で四十六、娯楽室には最新ゲームも完備ですわ!」
「行きたい!」
「後でご案内致しますわ!」

 メグちゃんの食い付きが凄い!

「更に寝室だけでも十八部屋ありますの!」
「何だかよく分からないけど凄いデス!」
「そう! 凄いのですわ!」

 マリーもよく分かってないけどいつの間にか仲良くなってる!
 というかブリュンヒルデちゃんのノリが凄く良い!

「勿論お嬢様と妹様、それにチャイコフスキーのご息女様は私の部屋で泊まっていただきますわ!」
「十八部屋の寝室は!? 沢山あるのに四人一部屋!?」
「だって一緒に寝たいんですもの! 抱きしめたいんですもの!」
「欲望溢れてる!? でもそこには賛成だよ!」

 えっへんと腰に手を当てて鼻高々に説明してくれるブリュンヒルデちゃんと熱く握手を交わします。
 このメイドさんまさかの仲間だった。
 これは私の秘蔵写真フォルダを解禁する時が来たな!

「あ、言い忘れておりましたわ。お嬢様は貴族の血が流れておりますのよ?」
「うんうん、最近皆私に伝え忘れるよね。どうしてだろうなぁ……ほぇっ!?」
「お嬢様も貴族なのですわ!」
「え、いや、いやいやいや」
「いえいえいえ、お嬢様のお父様は私の伯父ですもの。私が貴族なのですから、お嬢様も貴族ですわ!」
「ってブリュンヒルデちゃんも貴族なの!? メイドなのに!?」
「これは趣味ですわ!」
「言い切っちゃったよ!?」

 えー、どうやら私の親戚は貴族だそうです。
 えっとお母さんの方のお祖父ちゃんが日本人で、お祖母ちゃんがロシア人。
 お父さんの方のお祖父ちゃんがアメリカ人で、お祖母ちゃんがドイツ人。
 という事は、お父さんって貴族出身なの!?

「お父さん! ど、どういう事なの!?」
「あれ、千佳には言ってなかったっけ?」
「私に連絡が行き届いて無さすぎる!!」

 腹いせにお父さんの背中をポカポカと叩いていると、ブリュンヒルデちゃんが豪邸の大きな扉へと近付いていきました。
 すると、勝手に両開きの扉が開いていきます!

「ブリュンヒルデお嬢様、おかえりなさいませ」

 ……と思ったら執事さんが開けてくれたみたいです。
 現れた茶色い短髪のダンディな執事へとお父さんが近付いて行きました。

「久し振りだなアル!」
「ユリウス、元気そうですね。美花さんもお久しぶりです」
「アルベルトさん、こんばんは」

 どうやら知り合いみたい。
 というかあれか、お父さんは昔此処に住んでたのかもしれない。
 ……そういえばお母さんとお父さんの馴れ初めって聞いた事無いなー。

「さぁ皆様で最後ですのよ! ご案内致しますわ!」
「うわっと!? ぶ、ブリュンヒルデちゃん! 引っ張らないで!」

 ブリュンヒルデちゃんに引っ張られて豪邸の中へと入って行きます。
 メグちゃんとマリーが私達の後ろをトテトテと走って、その後ろを大人達が世間話混じりに歩いていきます。
 凄い! ホテルでも思ったけど、靴脱がなくていいんだね!

「堅苦しいですわ! ヒルデとお呼びくださいませ!」
「こけ、コケるから! 落ち着いてー!?」

 ブリュンヒルデちゃん改めてヒルデちゃんはとても勢いのある子でした。
 なんというか、湖月ちゃんを思い出すような勢いです。

 ……というか。

「なんで皆日本語ペラペラなのぉー!?」
「皆で覚えたのですわー!」

 こうして私達のドイツ旅行は、貴族な親戚の豪邸へと到着から始まりまるのでした。

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