TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
バトンを渡せ!さもなくば!
今日は体育の授業時間を使って、リレーやかけっこの練習です。
体育の時間ということもあって、私たちのクラスだけでの練習になります。
「あれ、順番ってどうだっけ?」
「覚えてへんわ~」
「あ、愛は覚えてるよ」
愛ちゃんの記憶を頼りに、リレーの順番を確認します。
私と湖月ちゃん、愛ちゃんともう五人の女の子を足して、リレーメンバーの完成です。
「ありがとう愛ちゃん!」
「えへへ、どういたしまして!」
「うちが一番やったか~」
「いや、一番だったら普通覚えてると思うんだけど?」
「アンカーの千佳ちゃんが行ってたら世話ないで~」
「それもそうか」
「あははは、じゃあ練習してみる?」
「そうだね、まずはバトンパスの練習だ!」
日本代表のようなアンダーハンドパスはあまりよく知らないので、体育の教科書を持った九重先生の手を借りてオーバーハンドパスの練習へと移ります。
どうやらオーバーハンドパスでは渡す側が手を伸ばして、次の人の手へと渡す形のようです。
とりあえず形だけでも、やってみることに。
皆で分析するために、一組一組順番にやっていきます。
「ほないくで~!」
というわけで一番手の湖月ちゃんと二番手の女の子でやってもらうことに。
「ほっほっほっ、パスや~!」
二番手の助走が少し遅かったのか、助走できるゾーンの早い段階で渡してしまいました。
パスはスムーズにいきましたが、これでは全国を狙えません。
いや、狙ってないけど。
「湖月ちゃんは大丈夫だと思う。じゃあ助走のタイミングを少しだけ早くしてみて。うん、そんな感じでいいと思うよ」
素人なりの簡単なアドバイスをしてもう一回。
すると、次はあまりスピードを落とすことなくパスが回りました。
二番手の女の子も得意気です。
ナデナデしておきました。
「じゃあ次は愛と、アンカーの千佳ちゃんだね!」
「おっけー。じゃあ愛ちゃんはスタート位置へいってね。私は一発で決めてみせるから!」
愛ちゃんを送り出し、私も助走のスタート位置へと着く。
先程までの皆のプレーを見ていて、ばっちりイメージトレーニングはしている。
後はこの脳内に描いたラインに、私の動きを乗せるだけだ!
「さぁ来い!」
「はっはっはっ、ち、千佳ちゃん!」
五十メートルくらいの短距離なのに息が絶え絶えの愛ちゃんを確認して助走を始める。
そして愛ちゃんとの距離をグングンと突き放していって、遂に愛ちゃんは膝をついてしまった!
「って愛ちゃん遅すぎ!」
「ぜぇぜぇ、ごめ、んね」
「こちらこそごめんなさいっ!! 愛ちゃんが体力無いの忘れてたよ!」
「千佳ちゃん、張り切りすぎやで~」
「いやぁ、いけると思って」
「いや、傍から見てたら助走の始めからグングン突き放してたで」
「さようであるか」
「さようでござる」
「はぁ、はぁ……」
クラスメイトたちから、なんだこの空間という視線を受けて咳払い一つ。
私はどうするべきか思案します。
「じゃあ、こうしようか」
「なんか思いついたんか~?」
「うん。愛ちゃんは私が助走のスタート位置で受け取る、そして全力ダッシュでごぼう抜き。おっけー?」
「お、おう。どこから来るんやその自信は」
「私だからね」
「まぁ、千佳ちゃんやからできるか」
「はぁ、はぁ、でも、悪いよぉ」
「大丈夫愛ちゃん!こういう時は助け合いだからね!」
「千佳ちゃん……」
感動した目で私を見つめてくる愛ちゃん。
やめてよ照れるじゃないか。
「あ、でも。私、千佳ちゃんに貰ってばかりだよ」
その言葉に私は目を光らせ、両手の指をニギニギと握ったり開いたりしながら愛ちゃんに近付いていく。
「じゃあ、身体ではら」
「それ以上はあかん!」
意味が分からずポカンとしている愛ちゃんと、顔を真っ赤にして怒る湖月ちゃんにポカポカ殴られながら、体育の授業時間は過ぎていくのでした。
体育の時間ということもあって、私たちのクラスだけでの練習になります。
「あれ、順番ってどうだっけ?」
「覚えてへんわ~」
「あ、愛は覚えてるよ」
愛ちゃんの記憶を頼りに、リレーの順番を確認します。
私と湖月ちゃん、愛ちゃんともう五人の女の子を足して、リレーメンバーの完成です。
「ありがとう愛ちゃん!」
「えへへ、どういたしまして!」
「うちが一番やったか~」
「いや、一番だったら普通覚えてると思うんだけど?」
「アンカーの千佳ちゃんが行ってたら世話ないで~」
「それもそうか」
「あははは、じゃあ練習してみる?」
「そうだね、まずはバトンパスの練習だ!」
日本代表のようなアンダーハンドパスはあまりよく知らないので、体育の教科書を持った九重先生の手を借りてオーバーハンドパスの練習へと移ります。
どうやらオーバーハンドパスでは渡す側が手を伸ばして、次の人の手へと渡す形のようです。
とりあえず形だけでも、やってみることに。
皆で分析するために、一組一組順番にやっていきます。
「ほないくで~!」
というわけで一番手の湖月ちゃんと二番手の女の子でやってもらうことに。
「ほっほっほっ、パスや~!」
二番手の助走が少し遅かったのか、助走できるゾーンの早い段階で渡してしまいました。
パスはスムーズにいきましたが、これでは全国を狙えません。
いや、狙ってないけど。
「湖月ちゃんは大丈夫だと思う。じゃあ助走のタイミングを少しだけ早くしてみて。うん、そんな感じでいいと思うよ」
素人なりの簡単なアドバイスをしてもう一回。
すると、次はあまりスピードを落とすことなくパスが回りました。
二番手の女の子も得意気です。
ナデナデしておきました。
「じゃあ次は愛と、アンカーの千佳ちゃんだね!」
「おっけー。じゃあ愛ちゃんはスタート位置へいってね。私は一発で決めてみせるから!」
愛ちゃんを送り出し、私も助走のスタート位置へと着く。
先程までの皆のプレーを見ていて、ばっちりイメージトレーニングはしている。
後はこの脳内に描いたラインに、私の動きを乗せるだけだ!
「さぁ来い!」
「はっはっはっ、ち、千佳ちゃん!」
五十メートルくらいの短距離なのに息が絶え絶えの愛ちゃんを確認して助走を始める。
そして愛ちゃんとの距離をグングンと突き放していって、遂に愛ちゃんは膝をついてしまった!
「って愛ちゃん遅すぎ!」
「ぜぇぜぇ、ごめ、んね」
「こちらこそごめんなさいっ!! 愛ちゃんが体力無いの忘れてたよ!」
「千佳ちゃん、張り切りすぎやで~」
「いやぁ、いけると思って」
「いや、傍から見てたら助走の始めからグングン突き放してたで」
「さようであるか」
「さようでござる」
「はぁ、はぁ……」
クラスメイトたちから、なんだこの空間という視線を受けて咳払い一つ。
私はどうするべきか思案します。
「じゃあ、こうしようか」
「なんか思いついたんか~?」
「うん。愛ちゃんは私が助走のスタート位置で受け取る、そして全力ダッシュでごぼう抜き。おっけー?」
「お、おう。どこから来るんやその自信は」
「私だからね」
「まぁ、千佳ちゃんやからできるか」
「はぁ、はぁ、でも、悪いよぉ」
「大丈夫愛ちゃん!こういう時は助け合いだからね!」
「千佳ちゃん……」
感動した目で私を見つめてくる愛ちゃん。
やめてよ照れるじゃないか。
「あ、でも。私、千佳ちゃんに貰ってばかりだよ」
その言葉に私は目を光らせ、両手の指をニギニギと握ったり開いたりしながら愛ちゃんに近付いていく。
「じゃあ、身体ではら」
「それ以上はあかん!」
意味が分からずポカンとしている愛ちゃんと、顔を真っ赤にして怒る湖月ちゃんにポカポカ殴られながら、体育の授業時間は過ぎていくのでした。
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