TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
桃ちゃんと遠足と妹天国
五月の末。
例年を上回るような暑い温度の毎日、今日は少し曇っていて温度も丁度いいと天気予報のお姉さんが言っていた。
一年生の遠足当日で心配していたけれど、曇るだけで雨は降らないらしい。
家族が揃うリビングで、朝のニュースを見ながら思わずメグちゃんとハイタッチをしてしまった。
正式に遠足への同伴が決まった日、私は意気揚々とメグちゃんと花ちゃんに報告した。
二人はとても喜んでくれて、学校生活が始まってから構う機会が少なくなった文句を言われた。
でも、二人にも友達が出来ていると桃ちゃんの報告で聞いているし、そちらの付き合いもしてほしいんだけどな。
と思いながら私は二人と遊ぶ時間を増やすのだった。
「一緒の班でよかった!」
「よかった!」
「そうだね。私もメグちゃんと花ちゃん、そして桃ちゃんといる班になれて嬉しいよ」
――ごめんなさいメグちゃん。
私が裏で手を回しています。
純粋無垢なメグちゃんにその事実を伝えるわけにもいかないので、私はその言葉をそっと飲み込んだ。
そうして学校へ到着し、校庭に集まった一年生の列に何故か私も並んでいた。
いや、同伴する方だから六年生の列に並ぼうと思ったんだけど、メグちゃんと花ちゃんが両腕を離してくれませんでした。
そうして桃ちゃんに呆れられながらも、校長先生たちのありがたーいお話を聞いて、私たちは遠足へと出発するのでした。
「るんるんるーんっ!」
「えんそっく、えんそっく!」
「ちょ、二人とも、飛ばしすぎ」
学校から緩いペースで歩いて十五分ほどの運動公園が今日の目的地。
一年生と六年生が混ざった班で、先生たちに見守ってもらいながら道を歩いていく。
六年生はそれぞれ一年生と手を繋いで歩いており、公園に着いてからも担当する一年生と一緒に遊ぶことになっている。
マンツーマンで担当するはずなのだが、何故か私の両手は埋まっていた。
その分暇になっている六年生の女の子がこちらを見ては微笑ましく笑っている。
「恵も花も、千佳先輩が困ってるでしょ!」
「お姉ちゃんだから大丈夫なんだもーん」
「だもーん!」
「まぁ大丈夫だけど、そんなにスキップしてたら体力持たないよ?」
「そうですよ。先輩は逃げませんから、落ち着きましょう」
「うん、分かった!」
「わかったー!」
右手をメグちゃん、左手を花ちゃんに掴まれたままピョンピョンとスキップしていくので、私の両手は凄い勢いで振られている。
腕だけ飛んでいくんじゃないだろうかと言わんばかりである。
しかし桃ちゃんの説得のお陰で二人は私から手を離し、しかし言われたことを分かっていないのか二人で先行して駆けていった。
最後まで体力が持つのだろうか……。
「ありがとう桃ちゃん」
「いえ、先輩が大変そうでしたので」
「うん、でもまぁこれが楽しいんだけどね」
「それは分かります。なんだかんだ笑わせてくれるんですよね。あの二人は」
「ふふ、桃ちゃんも分かってるね。莉里ちゃんのお世話もしてるんでしょ?」
「はい。姉さんはいつもあんな感じですから……」
「姉さん、そういえば私のことは姉さんと呼んでくれるのでは?」
「あ、あれは、その。何と言いますか」
「呼んでほしいなー?」
「う、うう。だ、駄目です! せめて二人きりのときで」
「二人きりのときだけなの? 恋人みたいだね!」
「恋人っ!? 違います!いえ、別に嫌いと言ってるわけではないんですが……。寧ろ、好き、と言いますか」
「あ、そこもう一度リピートアフタミー」
「言いませんっ! その、あの二人に聞かれると面倒ですので」
「大丈夫だと思うけどなー?まぁそこまで言うなら仕方ないね。じゃあまた二人きりの時間を作ろうね」
「は、はい。また、勉強を教えてくださると、嬉しいです」
「うん。あ、二人がこっちに手を振ってるからちょっとペース上げようか。大丈夫かな?」
「大丈夫です。行きましょっ!? ちょ、なんで手を!?」
「ほらほら行っくよー!」
メグちゃんと花ちゃんが待つ場所まで、私は桃ちゃんと手を繋いでいる六年生にアイコンタクトをしてから、空いている手を掴んで走り出す。
顔を赤くして慌てている桃ちゃんは何やら言っているけど、私は気にしない。
もっと桃ちゃんとの距離も縮めていくぞ、オー!
仲良く走ってくる二人に少し嫉妬した天使たちが両腕に抱きついたり、女の子が顔を真っ赤にして怒ったりしながら私たちの遠足は進むのでした。
例年を上回るような暑い温度の毎日、今日は少し曇っていて温度も丁度いいと天気予報のお姉さんが言っていた。
一年生の遠足当日で心配していたけれど、曇るだけで雨は降らないらしい。
家族が揃うリビングで、朝のニュースを見ながら思わずメグちゃんとハイタッチをしてしまった。
正式に遠足への同伴が決まった日、私は意気揚々とメグちゃんと花ちゃんに報告した。
二人はとても喜んでくれて、学校生活が始まってから構う機会が少なくなった文句を言われた。
でも、二人にも友達が出来ていると桃ちゃんの報告で聞いているし、そちらの付き合いもしてほしいんだけどな。
と思いながら私は二人と遊ぶ時間を増やすのだった。
「一緒の班でよかった!」
「よかった!」
「そうだね。私もメグちゃんと花ちゃん、そして桃ちゃんといる班になれて嬉しいよ」
――ごめんなさいメグちゃん。
私が裏で手を回しています。
純粋無垢なメグちゃんにその事実を伝えるわけにもいかないので、私はその言葉をそっと飲み込んだ。
そうして学校へ到着し、校庭に集まった一年生の列に何故か私も並んでいた。
いや、同伴する方だから六年生の列に並ぼうと思ったんだけど、メグちゃんと花ちゃんが両腕を離してくれませんでした。
そうして桃ちゃんに呆れられながらも、校長先生たちのありがたーいお話を聞いて、私たちは遠足へと出発するのでした。
「るんるんるーんっ!」
「えんそっく、えんそっく!」
「ちょ、二人とも、飛ばしすぎ」
学校から緩いペースで歩いて十五分ほどの運動公園が今日の目的地。
一年生と六年生が混ざった班で、先生たちに見守ってもらいながら道を歩いていく。
六年生はそれぞれ一年生と手を繋いで歩いており、公園に着いてからも担当する一年生と一緒に遊ぶことになっている。
マンツーマンで担当するはずなのだが、何故か私の両手は埋まっていた。
その分暇になっている六年生の女の子がこちらを見ては微笑ましく笑っている。
「恵も花も、千佳先輩が困ってるでしょ!」
「お姉ちゃんだから大丈夫なんだもーん」
「だもーん!」
「まぁ大丈夫だけど、そんなにスキップしてたら体力持たないよ?」
「そうですよ。先輩は逃げませんから、落ち着きましょう」
「うん、分かった!」
「わかったー!」
右手をメグちゃん、左手を花ちゃんに掴まれたままピョンピョンとスキップしていくので、私の両手は凄い勢いで振られている。
腕だけ飛んでいくんじゃないだろうかと言わんばかりである。
しかし桃ちゃんの説得のお陰で二人は私から手を離し、しかし言われたことを分かっていないのか二人で先行して駆けていった。
最後まで体力が持つのだろうか……。
「ありがとう桃ちゃん」
「いえ、先輩が大変そうでしたので」
「うん、でもまぁこれが楽しいんだけどね」
「それは分かります。なんだかんだ笑わせてくれるんですよね。あの二人は」
「ふふ、桃ちゃんも分かってるね。莉里ちゃんのお世話もしてるんでしょ?」
「はい。姉さんはいつもあんな感じですから……」
「姉さん、そういえば私のことは姉さんと呼んでくれるのでは?」
「あ、あれは、その。何と言いますか」
「呼んでほしいなー?」
「う、うう。だ、駄目です! せめて二人きりのときで」
「二人きりのときだけなの? 恋人みたいだね!」
「恋人っ!? 違います!いえ、別に嫌いと言ってるわけではないんですが……。寧ろ、好き、と言いますか」
「あ、そこもう一度リピートアフタミー」
「言いませんっ! その、あの二人に聞かれると面倒ですので」
「大丈夫だと思うけどなー?まぁそこまで言うなら仕方ないね。じゃあまた二人きりの時間を作ろうね」
「は、はい。また、勉強を教えてくださると、嬉しいです」
「うん。あ、二人がこっちに手を振ってるからちょっとペース上げようか。大丈夫かな?」
「大丈夫です。行きましょっ!? ちょ、なんで手を!?」
「ほらほら行っくよー!」
メグちゃんと花ちゃんが待つ場所まで、私は桃ちゃんと手を繋いでいる六年生にアイコンタクトをしてから、空いている手を掴んで走り出す。
顔を赤くして慌てている桃ちゃんは何やら言っているけど、私は気にしない。
もっと桃ちゃんとの距離も縮めていくぞ、オー!
仲良く走ってくる二人に少し嫉妬した天使たちが両腕に抱きついたり、女の子が顔を真っ赤にして怒ったりしながら私たちの遠足は進むのでした。
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