中二病の異世界生活 ~魔族に崇拝されてます~
どうやらプロポーズのようになったらしい
一頭の草原を駆け抜ける黒馬。それに跨がる魔王と天使。
「アリスよ、寒くはないか?」
「ううん!大丈夫!」
魔王は天使をガン見し、天使は魔王を見上げながら答える。とても平和だ。草原にはゴブリンだったものが点々と存在し、この草原にとっては魔王の存在自体が平和ではないことを除けばとても平和だ。
「我はこの先、魔神の下へ征こうと思う。案内を頼めるか」
最初フェンリルを従えるなどと血迷ったことを言っていたドグマはどこへ行ったのか。今や冷静にアリスに道を聞くようになっている。
「わかった!えっとね、あっちのおっきな山の下に町があるの!それでね、山の頂上がまじんさまのおしろだよ!」
アリスの指差した先には針のように尖った異様に高い山。山というより山と表記した方がよい。その頂上は、確かによく見れば何かあるように見える。ただそれが城かと言われればなんとも言えない。
そんな城の下には町があるらしい。城下町である。真下と言っても過言ではない。直下だと言い過ぎかもしれない。
「ふむ、堅牢かつ絢爛なる城であるな」
なんとドグマには目測30キロメートルはありそうな程遠くの物の詳細が見れるらしい。どれだけ視力が良いのだろうか。それとも謎の力の影響か。どちらにせよドグマはチートである。
「あのおしろ、きれいだよねー」
なんとアリスにも目測30キロメートルはありそうな程遠くの物の詳細が見れるらしい。アリスはチートだったのか。いや、チートだとしても視力のみだ。ドグマの方が上である。……なぜ競わせたのか。
「では急ごう。刻は永きとは謂えど、早く征くに越したことはない」
「ドグマさま、まじんさまになるの?」
アリス、素直な疑問をドグマにぶつける。昨日魔神にはならないとドグマは言ったはずだが。どうやらアリスはドグマを魔神にしたいらしい。
「邪政を敷く者がいるのなら、其れを討つのが我が覇王たる宿命だ」
どうやらドグマにとって覇王とは民衆の英雄であるらしい。漆黒の覇王。差し詰め、魔族の英雄といった所か。
「それじゃあドグマさまがまじんさまになるんだね!」
おかしい。返事になっていない。解りやすく言うのなら、ドグマは魔神を倒すと言ったのだ。魔神になるとは言っていない。おそらくアリスはドグマの言葉の意味を勘違いしたのだろう。
「我は魔神に成るのではない。魔神を討つのだ」
ドグマはより解りやすく説明した。渾身の解りやすさだ。
「? やっぱりドグマさまがまじんさまになるんだよね?」
何かがおかしい。アリスは幼女ではなく天使……でもあるがそれ以前に少女だ。ここまで解りやすく説明して解らないアリスではない。
「……何故、我が魔神に成ると考えるのだ?」
順当な疑問である。ちなみにドグマの『何故』の読み仮名は『何故』ではなく『何故』である。意味は変わらない。
「まじんさまがいなくなったらもっと強い人がまじんさまになるから、ドグマさまがまじんさまをやっつけたらドグマさまがまじんさまになるの!」
まじんさまがゲシュタルト崩壊しそうだ。そして納得の理由である。要するに現魔神を倒した人が先着1名まで限定で新魔神になるということだ。三人称神視点の説明が最も解りやすい説明と褒め称えても良い。
「成程。ならば我は魔神と成ろう。……否、名乗るべきは覇神。我は魔でなく覇を名乗る者なれば、民を正しく導くまでだ。……アリスよ。我が覇神に成りし後、然るべき刻が来れば其方を覇人に任ずる事を誓おう」
まるでプロポーズのようだ。そして中二病らしい言葉が本格的に復活してきたようだ。語彙は相変わらず少ないが、言い回しが完全に現代日本人のそれではない。中二病者のそれだ。
ちなみに覇という言葉には権力等で天下を統治するといった意味合いもある。覇人を除きさりげなく正しい使い方である。調べたことがあるのだろうか。
「……うん!」
この一瞬の間はなんだったのだろうか。そしてアリスの頬が少し紅くなっているのは何故だろうか。朝日は既に充分昇っているので、日の出の赤い太陽に照らされている訳ではない。まさかこの世界では覇人には婚約者といったような意味があり、ドグマにはそのつもりは無くともアリスにはそのような意味で伝わったのだろうか。もしかしたらドグマの考える覇人もそのような意味かもしれない。考え過ぎであることを願おう。
何はともあれ、とても平和な旅路である。今後の道筋も決まり、ドグマの2日目は快調な出だしのようである。余談だが、この会話中カタトロフは10体のゴブリンを踏み潰している。もはやこの草原はゴブリンのコロニーだ。とても平和な旅路である。
「アリスよ、寒くはないか?」
「ううん!大丈夫!」
魔王は天使をガン見し、天使は魔王を見上げながら答える。とても平和だ。草原にはゴブリンだったものが点々と存在し、この草原にとっては魔王の存在自体が平和ではないことを除けばとても平和だ。
「我はこの先、魔神の下へ征こうと思う。案内を頼めるか」
最初フェンリルを従えるなどと血迷ったことを言っていたドグマはどこへ行ったのか。今や冷静にアリスに道を聞くようになっている。
「わかった!えっとね、あっちのおっきな山の下に町があるの!それでね、山の頂上がまじんさまのおしろだよ!」
アリスの指差した先には針のように尖った異様に高い山。山というより山と表記した方がよい。その頂上は、確かによく見れば何かあるように見える。ただそれが城かと言われればなんとも言えない。
そんな城の下には町があるらしい。城下町である。真下と言っても過言ではない。直下だと言い過ぎかもしれない。
「ふむ、堅牢かつ絢爛なる城であるな」
なんとドグマには目測30キロメートルはありそうな程遠くの物の詳細が見れるらしい。どれだけ視力が良いのだろうか。それとも謎の力の影響か。どちらにせよドグマはチートである。
「あのおしろ、きれいだよねー」
なんとアリスにも目測30キロメートルはありそうな程遠くの物の詳細が見れるらしい。アリスはチートだったのか。いや、チートだとしても視力のみだ。ドグマの方が上である。……なぜ競わせたのか。
「では急ごう。刻は永きとは謂えど、早く征くに越したことはない」
「ドグマさま、まじんさまになるの?」
アリス、素直な疑問をドグマにぶつける。昨日魔神にはならないとドグマは言ったはずだが。どうやらアリスはドグマを魔神にしたいらしい。
「邪政を敷く者がいるのなら、其れを討つのが我が覇王たる宿命だ」
どうやらドグマにとって覇王とは民衆の英雄であるらしい。漆黒の覇王。差し詰め、魔族の英雄といった所か。
「それじゃあドグマさまがまじんさまになるんだね!」
おかしい。返事になっていない。解りやすく言うのなら、ドグマは魔神を倒すと言ったのだ。魔神になるとは言っていない。おそらくアリスはドグマの言葉の意味を勘違いしたのだろう。
「我は魔神に成るのではない。魔神を討つのだ」
ドグマはより解りやすく説明した。渾身の解りやすさだ。
「? やっぱりドグマさまがまじんさまになるんだよね?」
何かがおかしい。アリスは幼女ではなく天使……でもあるがそれ以前に少女だ。ここまで解りやすく説明して解らないアリスではない。
「……何故、我が魔神に成ると考えるのだ?」
順当な疑問である。ちなみにドグマの『何故』の読み仮名は『何故』ではなく『何故』である。意味は変わらない。
「まじんさまがいなくなったらもっと強い人がまじんさまになるから、ドグマさまがまじんさまをやっつけたらドグマさまがまじんさまになるの!」
まじんさまがゲシュタルト崩壊しそうだ。そして納得の理由である。要するに現魔神を倒した人が先着1名まで限定で新魔神になるということだ。三人称神視点の説明が最も解りやすい説明と褒め称えても良い。
「成程。ならば我は魔神と成ろう。……否、名乗るべきは覇神。我は魔でなく覇を名乗る者なれば、民を正しく導くまでだ。……アリスよ。我が覇神に成りし後、然るべき刻が来れば其方を覇人に任ずる事を誓おう」
まるでプロポーズのようだ。そして中二病らしい言葉が本格的に復活してきたようだ。語彙は相変わらず少ないが、言い回しが完全に現代日本人のそれではない。中二病者のそれだ。
ちなみに覇という言葉には権力等で天下を統治するといった意味合いもある。覇人を除きさりげなく正しい使い方である。調べたことがあるのだろうか。
「……うん!」
この一瞬の間はなんだったのだろうか。そしてアリスの頬が少し紅くなっているのは何故だろうか。朝日は既に充分昇っているので、日の出の赤い太陽に照らされている訳ではない。まさかこの世界では覇人には婚約者といったような意味があり、ドグマにはそのつもりは無くともアリスにはそのような意味で伝わったのだろうか。もしかしたらドグマの考える覇人もそのような意味かもしれない。考え過ぎであることを願おう。
何はともあれ、とても平和な旅路である。今後の道筋も決まり、ドグマの2日目は快調な出だしのようである。余談だが、この会話中カタトロフは10体のゴブリンを踏み潰している。もはやこの草原はゴブリンのコロニーだ。とても平和な旅路である。
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