中二病の異世界生活 ~魔族に崇拝されてます~
どうやら気にしたら負けらしい
ドグマは草原を歩いていた。それはもう、ただひたすらまっすぐに。
「しかし、一向にフェンリルの気配を感じ取れぬ。……まさか、世界線が違うというのか?」
ちなみに、ドグマはそこまで語彙があるわけではない。中二病を発症したのが小学六年生の時だからだ。ならなぜここまで重症になってしまったのだろうか。全くわからない。
「神の尖兵が我の力を妨害したのか。全く、腹立たしい。また転移するほどの余力はもう無い。この世界で力を蓄えるしかないか」
色々理由をこじつけてはいるが、要するにフェンリルを探すのを諦めたらしい。賢明な判断だろう。
しかし、例えフェンリルがいなくともここは異世界だ。地球上では計り知れない脅威など幾らでもある。
「む、雑種か」
ドグマが雑種といったそれは、緑の肌に鋭い耳、ボロボロの布を纏いこれまたボロボロの剣を持った、所謂ゴブリンだ。雑魚とされることが多いゴブリンだ。
しかし、例えゴブリンだからと言って油断してはならない。剣を持つゴブリンは人を殺して剣を手に入れており、一般にゴブリンソードマンと呼ばれる。その上、このゴブリンソードマンの剣はボロボロだ。つまり、剣を奪ってからそれだけ使い続けているということである。その実力は決して舐めてはいけないのだ。
「グギッ、グキキキ!」
「鬱陶しい。雑種の分際で我の邪魔をするというのか」
そんな、少なくとも地球上にはいない生物に対してどうしてドグマは臆することがないのだろう。中学生なのに。ボロボロとはいえ剣も持っているのに。まさか現実と空想の違いがわからなくなっている訳でもあるまいし。
「グキーッ!」
「はぁ、邪魔だ。土に呑まれて朽ち果てろ」
ドグマがそういった瞬間、土の触手のようなものが地面から伸び、ゴブリンに絡み付く。そして、そのまま地中に引きずり込んでいった。
「ふっ、他愛もない」
一応この世界にも魔法は存在する。しかし、今ドグマが行ったのはなんだったのだろう。明らかに魔法とは別物だ。そもそもドグマはただの中二病だ。
「……出でよ、万里を駆けし我が忠馬、カタトロフ」
地面を割り漆黒の馬が表れる。普通の馬よりも二回りほど大きな馬だ。ドグマはその馬に跨がった。
「進め、カタトロフ」
ドグマがそう呟くだけで、カタトロフと呼ばれた馬は草原を駆けていく。
……そうだ、気にしたらいけないんだ。例え中二病なだけなのに謎の力を使っていたり、乗馬経験が無いのに馬を自在に操れるのはなぜかなんて気にしてはいけないのだ。
「しかし、一向にフェンリルの気配を感じ取れぬ。……まさか、世界線が違うというのか?」
ちなみに、ドグマはそこまで語彙があるわけではない。中二病を発症したのが小学六年生の時だからだ。ならなぜここまで重症になってしまったのだろうか。全くわからない。
「神の尖兵が我の力を妨害したのか。全く、腹立たしい。また転移するほどの余力はもう無い。この世界で力を蓄えるしかないか」
色々理由をこじつけてはいるが、要するにフェンリルを探すのを諦めたらしい。賢明な判断だろう。
しかし、例えフェンリルがいなくともここは異世界だ。地球上では計り知れない脅威など幾らでもある。
「む、雑種か」
ドグマが雑種といったそれは、緑の肌に鋭い耳、ボロボロの布を纏いこれまたボロボロの剣を持った、所謂ゴブリンだ。雑魚とされることが多いゴブリンだ。
しかし、例えゴブリンだからと言って油断してはならない。剣を持つゴブリンは人を殺して剣を手に入れており、一般にゴブリンソードマンと呼ばれる。その上、このゴブリンソードマンの剣はボロボロだ。つまり、剣を奪ってからそれだけ使い続けているということである。その実力は決して舐めてはいけないのだ。
「グギッ、グキキキ!」
「鬱陶しい。雑種の分際で我の邪魔をするというのか」
そんな、少なくとも地球上にはいない生物に対してどうしてドグマは臆することがないのだろう。中学生なのに。ボロボロとはいえ剣も持っているのに。まさか現実と空想の違いがわからなくなっている訳でもあるまいし。
「グキーッ!」
「はぁ、邪魔だ。土に呑まれて朽ち果てろ」
ドグマがそういった瞬間、土の触手のようなものが地面から伸び、ゴブリンに絡み付く。そして、そのまま地中に引きずり込んでいった。
「ふっ、他愛もない」
一応この世界にも魔法は存在する。しかし、今ドグマが行ったのはなんだったのだろう。明らかに魔法とは別物だ。そもそもドグマはただの中二病だ。
「……出でよ、万里を駆けし我が忠馬、カタトロフ」
地面を割り漆黒の馬が表れる。普通の馬よりも二回りほど大きな馬だ。ドグマはその馬に跨がった。
「進め、カタトロフ」
ドグマがそう呟くだけで、カタトロフと呼ばれた馬は草原を駆けていく。
……そうだ、気にしたらいけないんだ。例え中二病なだけなのに謎の力を使っていたり、乗馬経験が無いのに馬を自在に操れるのはなぜかなんて気にしてはいけないのだ。
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