最強のFラン冒険者
閉ざされた未来
電子音が私の眠りを妨げる。
まだ若干、眠気を残したままアラームを消し2度寝をした。
それから目を覚ましたのは朝10時と時計に表示されていた事から3時間ほど寝てしまったのが分かる。
私は、冷蔵庫の中に入っていた食材であり合わせの朝食を作り食べた。
草薙友哉との話し合いからすでに3日が経過しており、星間航行船ノーチラスの回収はすでに済んでおり今は、私の体の修復作業をしている。
私の体は、最初の神衣化後に普通の人間と同じ肉体構成に変化した。
精神エネルギーは人体には重度の障害を与える物である。
私の場合は、神核を内包していたからこそ死なずに済んでいた。
神核を奪われた後に吐血して死んだのは、短期間で治癒魔法を多様した事の反動が一番の要因だと草薙友哉は私に説明してきた。
神格を介して魔術や魔法を使用するという事は、それだけ肉体を構成する細胞に負荷が蓄積されていくだと言う。だから私の場合には、それが一気に来たらしい。
そして、今の私の体にも神核は存在しておらず生き返ってからかなりの治癒魔法を使用した。
その影響からか私の細胞はかなり危険な状態だったらしく草薙友哉の提案も含めて私の体の修復が必要だということになった。
―――気分はどうだ?ユウティーシア・フォン・シュトロハイム
朝食を食べ終わった頃に私のブレスレッドが自動的に起動し視界内でソフトが立ち上がり草薙より通信が入る。
「おはようございます。相変わらず本題から入りますね」
私は苦笑する。
―――問題がないならいい。例の話だが決心はついたのか?
私は、頭を振る。
決心なんてつくわけがない。
「それよりもこれだけ広大な町並みがあるのですから他のみんなをあんな狭い空間に閉じ込めて置かなくてもいいんじゃないですか?」
私はマンションのベランダから月面都市の情景を見ながら話す。
―――それは無理だ。ここには精神エネルギーは無いからね。彼らメディデータを構成してるのは精神核と精神エネルギーになる。精神エネルギーが無い場所では彼らは生きてはいけないんだ。
すぐに活動を停止するという事はないが、あまり良いとは言えない。
それにどちらにせよ彼らは地球に行く事になるのだから精神エネルギーが無い世界での活動時間はなるべく長く取っておいたほうがいい。
今は、君も彼らも体調を万全にしておくことが重要だ。
「そうですか。それにしてもアルファやヤハウェはこちらに攻撃をまったく仕掛けてきませんね?」
―――彼らは君の神核を目安に天使を送り込んできていた。天使を言っても上位次元の存在力を多少付加した程度の代物だが、それでもその強さはたった一匹でも脅威なのは分かるだろう?
「そうですね」
私は草薙の言葉に相槌を打つ。
「そもそも上位次元の存在と言うのはどのような物なんですか?」
前から気になっていた事を聞くことにする。
―――そうだな。人間が死んだ場合には生前よりも体重がある程度軽くなると言う話を知っているか?それが人間の魂が体から離れる現象として位置付けられている。
厳密に言えば、人の魂や精神と言うのは電離層に一度還元された後にまた魂や精神となって次世代の人間の素材として組み込まれる。
つまり輪廻転生という奴だな。これを管理していたのがエンハスでありエンハスは、人間が作り出した神でもある。
すると私の前にいくつもの画像が表示されていく。
―――さらに、ここからが問題だ。何故、彼らは人間を別の世界に転生・転移させていたかだが君から得られたデータと神核のデータから彼らは自らの存在力を高める為に、人間をわざと別の世界に転生転移させる事で本来、輪廻転生に必要だったはずのエネルギーを回収してそれを力にしていた。
それが神核の正体だ、ただし神核が内包していたエネルギーから数十万人分の輪廻転生分のエネルギーが検知されていた事からかなり前から計画され実行に移されていたのだろう。
そして彼らの目的は、宇宙を破壊すること。
ただし、観測者も消す事になるから人々の想いが作った神々とも敵対することになる。
だからこそ、神核を欲したのだろう。
宗教の信仰だけでは、それだけはどうにもならないからな。
「つまり、異世界転生や転移と言うのは神にとって都合の良いシステムなだけで人間には何のメリットもないと言う事ですか?」
―――極論を言えばそうなる。まあ、別の世界で生きてみたいと考えてる人間からすればそれはそれで互いに良かったのかも知れないが。まあそれも人間や生物が超新星に匹敵する力を内包して生まれてくるからこそなのだが難しいものだな。
「ち……超新星ですか?」
―――そうだ。だからこそ神衣化になる為に必要なエネルギーと成りうる。神核はそれを補助していたに過ぎない。そして以前の君にも伝えたが神衣化には膨大なエネルギーが必要だ。何せ音素たる君は世界の理を断ち切り時すら支配下に置く力を持つのだから神衣化するときにそれが顕著に実感できるだろう?
私は草薙の言葉に頷く。
―――そして、神衣化は君の肉体と精神を著しく消耗させる。本人が意図していなくてもその進行はとても早い。現に今の君の体は自覚がないだけで崩壊の一歩手前まで行っていた。
船体補修、改修まで一週間と伝えたもらったが実のところ君の体調を万全に戻すまでの時間が主だったわけだ。
―――さて、これからの事だがもう一度説明をする。今後、君が取れる選択肢は3つある。
一つ目は、宇宙を破壊しようとする者を倒して君以外の者をアガルタに返す事。
二つ目は、そう長くない世界アガルタを含めたこの宇宙を本来の歴史に戻す事。
三つ目は、何もしないだ。
一つ目は、君の体はメディデータに変換することは出来ない。メディデータで無ければ精神エネルギーが蔓延する世界では生きてはいけない。だから君にはここで命尽きるまで暮らしてもらうか精神エネルギーが存在しない地球で暮らしてもらうことになる。
戸籍などについては、こちらでは用意できないから地球での暮らしは難しいな。
それに君は魔術や魔法と呼ばれた力も有しているし、何より今度の戦いでは神衣の連続使用が必要になるはずだ。
おそらく、生きては帰ってこれる確立はかなり低い。
二つ目は、本来の歴史に戻す事になる。これは、この世界を作り実験を行っているオリジナルの草薙友哉からこの世界を開放する事を意味する。つまり本来の宇宙に戻すということになるわけだが、時間と空間へ同時に干渉する為に成功しても君は、ほぼ間違いなく消滅する。
そして消滅しなくても君は、本来生まれてくる事の無い存在なのだから……その存在は完全に消滅する。
ただし、君一人の犠牲で今まで犠牲になってきた転生、転移者や多くの命が救われる事と私を含めたオリジナルの草薙が救われるのがこのメリットになる。
何せ、オリジナルの草薙が召還されない事になるのだから、何も起きないことになる。
三つ目は、何もしないだ。
このまま世界アガルタに戻って宇宙消滅の日まで仲間と共に生きればいい。ループオブロッドもあるのだから戦わないのなら10年は生きられるはずだ。
君がどれを選ぼうとも構わないが、あと4日のうちに決めてくれ。
「分かっています。でも……」
……そんなのすぐに決められる訳無いじゃないですかと私は続く言葉を心の中で吐露した。
まだ若干、眠気を残したままアラームを消し2度寝をした。
それから目を覚ましたのは朝10時と時計に表示されていた事から3時間ほど寝てしまったのが分かる。
私は、冷蔵庫の中に入っていた食材であり合わせの朝食を作り食べた。
草薙友哉との話し合いからすでに3日が経過しており、星間航行船ノーチラスの回収はすでに済んでおり今は、私の体の修復作業をしている。
私の体は、最初の神衣化後に普通の人間と同じ肉体構成に変化した。
精神エネルギーは人体には重度の障害を与える物である。
私の場合は、神核を内包していたからこそ死なずに済んでいた。
神核を奪われた後に吐血して死んだのは、短期間で治癒魔法を多様した事の反動が一番の要因だと草薙友哉は私に説明してきた。
神格を介して魔術や魔法を使用するという事は、それだけ肉体を構成する細胞に負荷が蓄積されていくだと言う。だから私の場合には、それが一気に来たらしい。
そして、今の私の体にも神核は存在しておらず生き返ってからかなりの治癒魔法を使用した。
その影響からか私の細胞はかなり危険な状態だったらしく草薙友哉の提案も含めて私の体の修復が必要だということになった。
―――気分はどうだ?ユウティーシア・フォン・シュトロハイム
朝食を食べ終わった頃に私のブレスレッドが自動的に起動し視界内でソフトが立ち上がり草薙より通信が入る。
「おはようございます。相変わらず本題から入りますね」
私は苦笑する。
―――問題がないならいい。例の話だが決心はついたのか?
私は、頭を振る。
決心なんてつくわけがない。
「それよりもこれだけ広大な町並みがあるのですから他のみんなをあんな狭い空間に閉じ込めて置かなくてもいいんじゃないですか?」
私はマンションのベランダから月面都市の情景を見ながら話す。
―――それは無理だ。ここには精神エネルギーは無いからね。彼らメディデータを構成してるのは精神核と精神エネルギーになる。精神エネルギーが無い場所では彼らは生きてはいけないんだ。
すぐに活動を停止するという事はないが、あまり良いとは言えない。
それにどちらにせよ彼らは地球に行く事になるのだから精神エネルギーが無い世界での活動時間はなるべく長く取っておいたほうがいい。
今は、君も彼らも体調を万全にしておくことが重要だ。
「そうですか。それにしてもアルファやヤハウェはこちらに攻撃をまったく仕掛けてきませんね?」
―――彼らは君の神核を目安に天使を送り込んできていた。天使を言っても上位次元の存在力を多少付加した程度の代物だが、それでもその強さはたった一匹でも脅威なのは分かるだろう?
「そうですね」
私は草薙の言葉に相槌を打つ。
「そもそも上位次元の存在と言うのはどのような物なんですか?」
前から気になっていた事を聞くことにする。
―――そうだな。人間が死んだ場合には生前よりも体重がある程度軽くなると言う話を知っているか?それが人間の魂が体から離れる現象として位置付けられている。
厳密に言えば、人の魂や精神と言うのは電離層に一度還元された後にまた魂や精神となって次世代の人間の素材として組み込まれる。
つまり輪廻転生という奴だな。これを管理していたのがエンハスでありエンハスは、人間が作り出した神でもある。
すると私の前にいくつもの画像が表示されていく。
―――さらに、ここからが問題だ。何故、彼らは人間を別の世界に転生・転移させていたかだが君から得られたデータと神核のデータから彼らは自らの存在力を高める為に、人間をわざと別の世界に転生転移させる事で本来、輪廻転生に必要だったはずのエネルギーを回収してそれを力にしていた。
それが神核の正体だ、ただし神核が内包していたエネルギーから数十万人分の輪廻転生分のエネルギーが検知されていた事からかなり前から計画され実行に移されていたのだろう。
そして彼らの目的は、宇宙を破壊すること。
ただし、観測者も消す事になるから人々の想いが作った神々とも敵対することになる。
だからこそ、神核を欲したのだろう。
宗教の信仰だけでは、それだけはどうにもならないからな。
「つまり、異世界転生や転移と言うのは神にとって都合の良いシステムなだけで人間には何のメリットもないと言う事ですか?」
―――極論を言えばそうなる。まあ、別の世界で生きてみたいと考えてる人間からすればそれはそれで互いに良かったのかも知れないが。まあそれも人間や生物が超新星に匹敵する力を内包して生まれてくるからこそなのだが難しいものだな。
「ち……超新星ですか?」
―――そうだ。だからこそ神衣化になる為に必要なエネルギーと成りうる。神核はそれを補助していたに過ぎない。そして以前の君にも伝えたが神衣化には膨大なエネルギーが必要だ。何せ音素たる君は世界の理を断ち切り時すら支配下に置く力を持つのだから神衣化するときにそれが顕著に実感できるだろう?
私は草薙の言葉に頷く。
―――そして、神衣化は君の肉体と精神を著しく消耗させる。本人が意図していなくてもその進行はとても早い。現に今の君の体は自覚がないだけで崩壊の一歩手前まで行っていた。
船体補修、改修まで一週間と伝えたもらったが実のところ君の体調を万全に戻すまでの時間が主だったわけだ。
―――さて、これからの事だがもう一度説明をする。今後、君が取れる選択肢は3つある。
一つ目は、宇宙を破壊しようとする者を倒して君以外の者をアガルタに返す事。
二つ目は、そう長くない世界アガルタを含めたこの宇宙を本来の歴史に戻す事。
三つ目は、何もしないだ。
一つ目は、君の体はメディデータに変換することは出来ない。メディデータで無ければ精神エネルギーが蔓延する世界では生きてはいけない。だから君にはここで命尽きるまで暮らしてもらうか精神エネルギーが存在しない地球で暮らしてもらうことになる。
戸籍などについては、こちらでは用意できないから地球での暮らしは難しいな。
それに君は魔術や魔法と呼ばれた力も有しているし、何より今度の戦いでは神衣の連続使用が必要になるはずだ。
おそらく、生きては帰ってこれる確立はかなり低い。
二つ目は、本来の歴史に戻す事になる。これは、この世界を作り実験を行っているオリジナルの草薙友哉からこの世界を開放する事を意味する。つまり本来の宇宙に戻すということになるわけだが、時間と空間へ同時に干渉する為に成功しても君は、ほぼ間違いなく消滅する。
そして消滅しなくても君は、本来生まれてくる事の無い存在なのだから……その存在は完全に消滅する。
ただし、君一人の犠牲で今まで犠牲になってきた転生、転移者や多くの命が救われる事と私を含めたオリジナルの草薙が救われるのがこのメリットになる。
何せ、オリジナルの草薙が召還されない事になるのだから、何も起きないことになる。
三つ目は、何もしないだ。
このまま世界アガルタに戻って宇宙消滅の日まで仲間と共に生きればいい。ループオブロッドもあるのだから戦わないのなら10年は生きられるはずだ。
君がどれを選ぼうとも構わないが、あと4日のうちに決めてくれ。
「分かっています。でも……」
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