最強のFラン冒険者

なつめ猫

炎熱の神衣契約


(クサナギ殿、作戦は?)

レオナの声に俺は頭を振るう、相手の強さに応じてその力を増すというなら中途半端に攻撃をしてもこちらが消耗をするだけだ。なら一撃で沈めるしかない。

「一撃で決める!」

(是!)

俺は腰から雷斬を抜き放ち上段に構える。周囲に俺が作り上げた重力場を応用した風が生成されていき薄く鋭くその圧力を高めていく。その名も重力風、そしてその中には無数の高圧縮された水の結晶体が生み出されていく。重力風の中で凝縮された水は氷の結晶となり結晶は互いに高速で衝突する事で極電圧を作り上げていく。

俺が、宇宙開発実験センターで手にいれた知識を元につくりだした重力場、そして俺の知識を垣間見たレオナが作り上げた単体分子結晶体が織り成す極大雷光科学魔法。

作り編みこまれていく電圧は、以前の数十億ボルトを遥かに上回っているが周囲に与える影響力は限りなく低く抑えられている。極限まで研ぎ澄まされた力は、全て上段構えしている雷斬に集約していく。

「雷塵光剣」

上段から振り下ろされた力は進行上に存在する全ての物質を原子レベルで連鎖崩壊させながら座天使サマエルを両断し座天使サマエルを中心にその力は解放された。

「くっ――――――」

(クサナギ殿、少しやりすぎでは?)

俺もそう思ったが思ったより遥かに力が入ってしまった。慌てて重力場を展開させることで開放されたエネルギー余波を押さえ込む。
光が世界を音を全て掻き消していき天を貫く巨大な柱がその場に発生した後に消滅する。

(やりましたでしょうか?)

「そういうフラグぽいのは建てなくていいからな。倒せてなかったらどうするんだよ」

神気で編み上げた雷斬が纏う紫電もほとんど消えかけてるし、これで生きてたらやばいんだぞ?

ガアアアアアアアアアアア!

突然の奇声と共に俺が作り上げていた重力場が粉々に粉砕される。それとともに衝撃波が俺達の体を吹き飛ばす。

(クサナギ殿!)

レオナの咄嗟の判断により雷斬を地面に打ち立てる事でその場で止める事は出来たが後ろを振り返ると町は聖女達教会派の魔法師達の防御魔術で偶然にも守られていたようだが、魔法師達のほとんどがその直後に意識を失って倒れていくのが見える。

「―――くそっ!」

目の前を見るとその体積を大きく損ねた座天使サマエルが体を修復させながら立ち上がろうとしていた。だがその体は先ほどまでと違い、醜く歪んでいる。すでにドラゴンの体裁を保ってはいない。

「もう一撃当てれば勝てる!」

「―――クサナギ殿!?」

その直後、俺とレオナの神衣が強制解除される、レオナはその場で力尽きたように倒れこみ俺も体から力が抜けたかのように地面に片膝をつく。

「やはり神衣の強制解除は神気を纏った武器を振るかどうかだったのか?」

「そのようです」

目の前ではまだ体を修復をしつつも力の大半を失った影響で体の再生が出来ずに動けずにいる座天使サマエルがこちらへ目を向け巨大な口を開けブレスを放ってきた。打ち出されたブレスは大地を融解させながら迫ってくる。

「まずい、体が……」

神衣で消耗した魔力の影響でまともに体を動かすことが出来ない。
動ける量まで魔力量が回復までには数十秒かかる。

「セイントシールド!」

聖女アリアの声が辺りに響き渡り俺とレオナの前に白く光る盾が生まれる。座天使サマエルが吐き出したブレスを防ぐが数秒で盾には亀裂が走っていく。

「コルク!」

「ちっ!エアリアルブレード!」

勇者コルクの神代兵器の斬撃により空間が斬られブレスの大半が別空間へ転送されるが転送仕切れなかった余波がセイントシールドを砕き俺とレオナ、そして勇者と聖女を吹き飛ばす。

「なんだよ、あの化け物。俺達と戦ってたときは本気じゃなかったのか?」

「あの姿は伝承に書かれています。伝承には弱体化させ浄化し倒すようにと書かれていましたが……」

二人は重大な事を話してるようだが、倒すには浄化の力が必要?それでもあいつの力はまだ健在のままだが……。俺は震える脚で立ち上がりレオナへ視線を向けるがレオナはまだ魔力が回復していないのか立ち上がれずにいるようだ。

「おい、ユウティーシア。さっきのやつはもう使えないのか?」

すでに敬意も払ってこない勇者コルクに俺は苦笑いで答える。

「無理です。一度あの力を使うと次に使えるまでに時間がかかります」

俺の答えに勇者コルクと聖女アリアは絶望的な表情を見せているがまだ手はある。だがそれはさすがに……。

「くそっ!とてもじゃないがあんなの俺達じゃどうにか出来る範囲を超えてる」

「ですが神兵を倒さねば世界が終わります」

勇者コルクと聖女アリアは打開策を考えているようだが……。

「―――クサナギ殿。神衣をあの者たちと……」

「―――無理だ」

すぐに断られた事で諦めると思っていたレオナは

「無理じゃありません!出来ることをせずして諦めるのは格好悪い事です。私が知ってるクサナギ殿はそうではないで……」

どうやらレオナは最後の力を振り絞って俺に語りかけてきたようで気絶した。

「ユウティーシア、今だけ私達とは休戦です。ですから力を貸して頂けませんか?」

「……」

「聖女アリア様がこう言ってるんだ。俺も休戦に同意するがユウティーシア、お前はどうなんだ?」

休戦するということは、俺がしてきたことが全て無駄になるじゃないか。そんな事は納得できないできないが……。俺はさっきレオナに言った。いくらでも汚名を着せられても我慢すると……。

「わかりました」

ここは折れるしかない。力を合わせねば勝てない。だが、どうすれば……いやもう答えは決まってる。だが……。

「なら共闘成立だな、アリア様、指示を!」

「ですが、我々だけでは騎士団の力を借りて……」

二人の言葉を聴きながら俺は俺は……。

「コルク、アリア。騎士団の力を借りても死者を増やすだけです。とてもではありませんが彼らは戦力にはなりません」

「ユウティーシア、お前が言ってることは分かるがここは騎士団全員で当たるしかないだろうが!」

勇者コルクの言葉に俺は頭を振る。

「一つだけ方法があります。ですがその力を使えば勇者コルク、聖女アリアの両名とも私から一定の距離離れられなくなりますし神代の者と戦うことになります。

そして私と知識と経験を共有することになります。そしてそれだけが新兵に勝つ方法です。どうしますか?」

出来れば断ってほしいが……

「構いませんわ、私は聖女と呼ばれてた時に自分の身を犠牲にする覚悟は出来ております」

「お前とは嫌だが……だが俺は勇者だ。好き嫌いを言ってたら始まらない」

二人とも即答であった。
あとは、俺の覚悟だけだがレオナだけでも困ってるのに他の人にも俺の知識や感情や経験を読まれるなんて死んでも嫌だが、俺を狙ってきてる以上、責任は全て俺にある。

なら責任は取らないといけないだろう?

「分かりました。作戦は勇者コルクと神衣を行い座天使サマエルの力を削ぎます。そして以前にレオナが言ってたとおりに聖女アリアと神衣を行い浄化の魔術で座天使サマエルに止めを刺します。それでいきますがどうですか?」

「いいが、神衣ってなんだ?」

「やればわかります」

俺の言葉に二人とも渋々と頷いてくれたがまずは……。

「パワーオヴディフェンス!」

聖女アリアと勇者コルクのステータスを100倍まで引き上げる。そして

「アリア、気絶してるレオナを退避させておいてください。ステータスを上昇させておいたので問題なく運べるはずです」

「わかりましたわ」

アリアがレオナを担いでいく姿をコルクは見て口笛を吹いているがこっちはこっちでやることがあるんだぞ?分かってるのか?

「コルク、手を差し出してください」

「あ、ああ」

俺は差し出されたコルクの手を握りしめて心の中で叫ぶ。


――――――神霊融合――――――


発動した神衣の力により世界の時が止まり俺とコルクの意識が交じり合い粒子よりも遥かに微小の音素に分解され神気により再構築されていく。今までレオナとは感じたことの無い心の中が燃え滾る炎により熱せられる感じが体を熱くしていく。
時が止まった世界の中で赤き光が集約していき体と心器を作り上げ余剰された神気は炎の形となり周囲の精神エネルギーを押し流す。

炎の渦の中から顕現したクサナギ・コルクの姿は、ユウティーシアを20歳まで成長させた美しき女性であった。

勇者コルクと同じ赤髪と赤い瞳をしているをしており、腰まである長い赤髪は頭の左右で纏め上げれており紅色のマーメイドドレスを身に纏い、その手には赤い雷光を纏う3メートルを超える槍を携えていた。







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