最強のFラン冒険者

なつめ猫

狂気を超えた修練

神代時代の宇宙移民管理実験センターに辿りついてからすでに2週間が経過していた。

「人間。体組織の修復とメディデータとしての魔力形成は終了している」

「回復してるな。また壊れるけど」

そう言って俺は外部に保存していると言われた魔力200億を一気に体に流し込む。体内の細胞が悲鳴を上げて血管が破裂する。体中が血まみれになった状態でメディカルルームで倒れこむ。

床に倒れこんだまま、ユウティーシアが本来保有する魔力で細胞内のミトコンドリアに命じて修復を開始する。それでも体中の組織が崩壊を始めたところでロボットが俺をメディカルカプセルに入れてくれた事で俺は意識を失う。

「また来たの?」

「ああ、今のままじゃ一人では勝てないからな」

意識を失う毎に現れる精神の調停者に俺は苦笑いで応じる。

「どうして人を頼ろうとしないの?草薙雄哉、私がいるのなら神衣を使っても大丈夫なのに」

「お前なら分かるだろ」

そう、俺が作ったなら多くを語らなくても分かるはずだ。俺は誰の手助けもいらない。俺は俺だけの力で戦って生きてそして死ぬ。誰かに依存するなんてそんなのはいらない。

「人間。これで93回目のメディカルカプセルの使用」

気がつけば、メディカルカプセルから体を出されていた。壊れていた体の修復はナノマシンにより修復が終わっていた。

「鑑定」

class:人間
name:ユウティーシア・フォン・シュトロハイム(草薙雄哉くさなぎゆうや
HP:98221/98221(50000000000/50000000000)※細胞変質時により異なる
MP:112879/112879(20000000000/20000000000)※細胞変質時により異なる
STR:9881(40000000)※細胞変質時により異なる
DEX:7877(40000000)※細胞変質時により異なる
CON:21661(40000000)※細胞変質時により異なる
WIS:98776(40000000)※細胞変質時により異なる
INT:422(40000000)※封印中
CHA:40000000

スキル:精神核魔法 MTARMS

「ステータスは上昇してるのに、スキルの表示が減りすぎだな……」

「人間。そろそろ時間」

「ああ、分かった。」

俺は、ロボットに担いでもらう。メディカルカプセルから出た直後だと体が重くて殆ど動かせないのだ。ここの人工システムの話だとミトコンドリアを魔力で無理矢理活性化させ細胞を破壊した部分を無理やりナノマシンで修復を為に、脳と神経の伝達が上手くいかないという副作用らしい。

俺の一日のメニューは、朝起きて宇宙食を食べて座禅し魔力回路と魔法式の瞬時の形成。昼には外部魔力を取り入れ細胞を一度破壊、魔力回路を作りなおし細胞の変質により修復を行い修復しきれない部分はメディカルカプセルに入れてもらい細胞の修復。
修復後は、体の神経系回路を脳が理解するまでは宇宙移民管理実験センターの知識をここの人工システムに教えてもらっている。

「人間。到着した」

俺はドームの中に下される。

―――今日の知識供与は重力論理学を説明します

―――――――――

――――――

―――

「はぁ…また来たのね」

「だな」

「人間。これで281回目のメディカルカプセルの――――――」


―――今回は、星の形成方法の供与をします。

「もう、そんなにしてまで何が楽しいの?」

「俺は一人で戦う為の力がほしいんだよ」

「人間――――――」

―――今回は

「また来たの?もう――――――」

「……」

「これで499回目の」

―――精神核エネルギーへの干渉方法を供与

―――――――――

――――――

―――

「鑑定!」

name:ユウティーシア・フォン・シュトロハイム(草薙雄哉くさなぎゆうや

いつの間にか何も表示されなくなっていた。

「人間。今日も訓練するのか?」

「いや、そろそろ此処を出ようと思ってる」

ここにずっと居てもいいかも知れないがやはり俺は、やられたら1やりかえしたい。それに今の自分がどのくらい強いかも知りたいからな。今まではロボットにおぶさって連れて行ってもらっていた人工システムのある部屋へ自分で歩いて向かい中に入ると人工システムの声がホールに響く。

―――草薙雄哉、貴方はまだ戦う術を知らない。軍事技術開発センターへ行くことを薦めます。

場所が表示される、そこは魔法帝国ジールの王城。

「ここも隠されてるのか?」

―――肯定。現在、メディデータ同士の戦争が発生してる事から軍事技術開発センターへは入場許可申請が下りません。メディデータ同士の戦争終結が確認され安全性が確認出来た時点で許可申請が下りる状態になっている模様です。

「なるほど、つまり戦争終結まで待ってればいいという事か?」

―――否定。ここの施設の上部に存在する次元が歪んでいる為にこの施設の一か月の時間が外の世界では1日にも満たない時間となっています。その為、戦争終結までにいるとすると数十年から数百年の時間経過が予想されます。

「なるほど……」

―――それと解析の結果。ドミニオンが送り込まれたのは草薙雄哉が存在していた地球のある座標からです。恐らくドミニオンを送り込んだ理由は草薙雄哉が持つ神核エネルギーを奪うためと推察されます。

「つまり、俺を転生させた奴があの巨人を送り込んだって事か?まったく……面白いな?」

こいつは何が何でもアルファを殴り飛ばさないとダメだな。そうなると神代遺跡巡りが必要か。

―――それと草薙雄哉、貴方は精神エネルギーを利用する魔術ではなく精神核エネルギーを利用する魔法を利用できる状態になっています。そのため、幻想系の魔法では人間の組織の修復はできません。

「つまりコボルトと同じで俺自身には回復魔法は使えない。修復するには細胞を修復するしかないと言う事でいいんだよな?」

―――肯定。

それだけ聞けば十分だ。

「それじゃまたくる!」

俺は人工システムがある部屋から出るとホールへの扉が閉まった。すぐに寄ってくるロボットに分かれを告げるとエレベーターに乗り上部へのボタンを押すと上昇を続け止まったところで俺はエレベーターから出る。回廊は一日立った影響からなのか俺の血が綺麗に消えている。

異界化、次元変数により物質変換されているからこそ形状を保つ事は不可能なのだろう。ただ、俺は右手を壁に叩きつけ壁を抉る。すでに右手は重炭素を合成した細胞で作られており傷一つ存在していない。そして抉った回廊の大理石を前方に投げつけた。

音速に近い速度で飛ぶ大理石は空中で弾け飛ぶ。
そこには勇者コルクと聖女アリアがいた。

「ようやく見つけたぞ、ユウティーシア!」

「一日も逃げるなんてさすがは戦女神、でももう逃げしません!」

人工システムが言った通り時間の進み方が違うようだ。
さて、どうするか?よく見ると俺が斬り飛ばした勇者の腕が完治している。

「ふむ……」

俺の態度に勇者コルクがブチ切れたようで聖女アリアに身体上昇の加護をもらって突っこんでくる。
そして俺に向けて腰から抜き放った神代移動兵器で斬りつけてくるが

「ダメです!やめなさいコルク!?」

「―――ばかな?」

俺は人差し指で止める。なるほどな、強くなりすぎてしまったようだ。




コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品