むかしばなし
9年の月日
シエラとベオのお互いの心情を明かしたあの日。
それから永い時が経った。
悠久、不死ではそのようなものは一瞬でもある。
しかし、シエラは一瞬の悠久の時を、大切な夢ある時として彼とあの子のために過ごした。
長かった。
不死となってもこんな時がくるなんて。
いや、そもそもシエラが狂気に陥っていたのに…か。
彼女は想像もできなかった。
自身がそういった人間になる事に。
人間じゃない自分に、心はないと思っていた。
それでも今、なんとも眩しい……手にするはずもなかった未来が起きた現在を眺めながら紅茶を啜る。
「おかーさま、今日のお紅茶のお味はどうですかー?」
「えぇ…今日も変わらずお父さんが作ってくれた紅茶は美味しいわ」
「やったー!お父さまそれ聞いたら今日も喜ぶぞー!でもセイレンも手伝ってたんですよー?」
「そうね、セイレンにもお礼を言わないとね」
城の庭にあるティーテーブルの対面に座りながら、はしゃぎ笑う自分と彼の顔の良いところを受け継いだ可愛らしくて華らしい、大切なシエラの子。
それに対して、本当の女神のように優しさのある慈しみの笑みを向けるシエラ。
あの時、あの出会いからもう9年。
化け物はもう、かつての化け物ではなかった。
それはもう1人の親であり、愛する者を得た人間。
年の取らず見た目も変わらない、それでも成長した彼女の姿がそこにあった。
それから永い時が経った。
悠久、不死ではそのようなものは一瞬でもある。
しかし、シエラは一瞬の悠久の時を、大切な夢ある時として彼とあの子のために過ごした。
長かった。
不死となってもこんな時がくるなんて。
いや、そもそもシエラが狂気に陥っていたのに…か。
彼女は想像もできなかった。
自身がそういった人間になる事に。
人間じゃない自分に、心はないと思っていた。
それでも今、なんとも眩しい……手にするはずもなかった未来が起きた現在を眺めながら紅茶を啜る。
「おかーさま、今日のお紅茶のお味はどうですかー?」
「えぇ…今日も変わらずお父さんが作ってくれた紅茶は美味しいわ」
「やったー!お父さまそれ聞いたら今日も喜ぶぞー!でもセイレンも手伝ってたんですよー?」
「そうね、セイレンにもお礼を言わないとね」
城の庭にあるティーテーブルの対面に座りながら、はしゃぎ笑う自分と彼の顔の良いところを受け継いだ可愛らしくて華らしい、大切なシエラの子。
それに対して、本当の女神のように優しさのある慈しみの笑みを向けるシエラ。
あの時、あの出会いからもう9年。
化け物はもう、かつての化け物ではなかった。
それはもう1人の親であり、愛する者を得た人間。
年の取らず見た目も変わらない、それでも成長した彼女の姿がそこにあった。
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