むかしばなし
解呪方法はとても簡単でも悪女には無縁のもの
シエラ嬢の生活の殆どはセイレンが行なっている。
当初は城に閉じ込めた憎き錬金術師の人形ということで嫌っていたが、いざ指図すればなんでもいうことを聞いてくれたので今では重宝し、生活に欠かせない使用人となっている。
城を破壊しろといえば素直に城壁を壊すし、城門もいとも容易くぶち破った。
もちろんゴーレムなので城外に出ることもできる。
最初はそれで城の外に出れると思っていたが、壁は時が戻る様に修復され、城門も切れ目がない様に戻っていった。
目を丸くしていたシエラ嬢…シエラにセイレンが説明した。
どうやらあの錬金術師は霊の記憶とやらを軸にしてこの城の結界を強固なものにしてしまっているらしい。セイレンが言うにはその記憶の通りに城の結界は維持、つまりこうであるべきだと認識されて時間が止まった状態になっていると言う。
そしてセイレンも森の外には出れない様にされている。
これで脱出は不可能ということがわかり悲観したが、その際にセイレンがある事を言った。
それはあの錬金術師が施した解呪法だ。
『我が創造主は言いました。「貴公が狂人から聖人になり、人の心を取り戻して己よりも困った者を癒せればそれだけで霊達の執着も森の迷いもその全てから貴公が解放される』と、つまりは改心すれば良いだけです』
たったそれだけ。
たったそれだけでシエラは救われ、この城から出ることが出来た。
それなのにシエラは二百余年もの間それらしき行為を行ってはいなかった。
森に迷って城に入り込む者は大勢いた。
旅人、詩人、村人、狩人、商人、奴隷、騎士、子供、貴族、宣教師、歩兵、鍛冶屋、職人、研究者、哲学者、妊婦、売女、修道女、船乗り………。
その全てを1人も逃さず愛刀で斬り殺してきた。
そしてその血肉を食べて晩食を過ごす。
彼女は錬金術師が示した解呪法など一切試していなかった。
なぜならシエラは人を労ったことも誰かに褒められることなどしたことがなかったからだ。
シエラはいつもそうだった。
その美しさ故に誰もが許し、死すらも受け入れるとそう考えて生きてきた。
事実、父も使用人の家族も領民も雇った悪人達も、全員が全員その美しさの前に怨念すら消して化けて出ることもない。
逆にこの美貌を城の中に閉じ込めてしまうんだからそれこそシエラの考えを肯定している様であった。
そしてこの城に迷い込んだ者達も全員が等しくその美貌の前に死を受け入れ、死してもなお成仏もする筈もなくこうしてこの城で同じ様に城の結界に一役を買っていた。
反省の無い悪女シエラ。
その美貌の前に死んで言った者達の霊力でさらに強固になる城の結界。
これが今の現状だった。
シエラは自分の業をどんどん重くし、その結果現在この城から出ることが霊が増えたことでより困難になっていた。
自分のベッドに座り込み、いつも通り見慣れた天井を見ながらシエラは退屈そうに足をぶらつかせる
。
不死になっても時間の経過は同じなのでセイレンが夕食を作ったと報告するまでこうして時間を潰しているのだ。
「………ひーまー」
シエラはそれにも飽きて一層の事寝ようとベッドに倒れこんだ。
腰にいつも下げていた剣も邪魔と思って外しベッドの隅に置く。
そうしているうちに眠くなり、彼女はそのまま寝てしまった。
当初は城に閉じ込めた憎き錬金術師の人形ということで嫌っていたが、いざ指図すればなんでもいうことを聞いてくれたので今では重宝し、生活に欠かせない使用人となっている。
城を破壊しろといえば素直に城壁を壊すし、城門もいとも容易くぶち破った。
もちろんゴーレムなので城外に出ることもできる。
最初はそれで城の外に出れると思っていたが、壁は時が戻る様に修復され、城門も切れ目がない様に戻っていった。
目を丸くしていたシエラ嬢…シエラにセイレンが説明した。
どうやらあの錬金術師は霊の記憶とやらを軸にしてこの城の結界を強固なものにしてしまっているらしい。セイレンが言うにはその記憶の通りに城の結界は維持、つまりこうであるべきだと認識されて時間が止まった状態になっていると言う。
そしてセイレンも森の外には出れない様にされている。
これで脱出は不可能ということがわかり悲観したが、その際にセイレンがある事を言った。
それはあの錬金術師が施した解呪法だ。
『我が創造主は言いました。「貴公が狂人から聖人になり、人の心を取り戻して己よりも困った者を癒せればそれだけで霊達の執着も森の迷いもその全てから貴公が解放される』と、つまりは改心すれば良いだけです』
たったそれだけ。
たったそれだけでシエラは救われ、この城から出ることが出来た。
それなのにシエラは二百余年もの間それらしき行為を行ってはいなかった。
森に迷って城に入り込む者は大勢いた。
旅人、詩人、村人、狩人、商人、奴隷、騎士、子供、貴族、宣教師、歩兵、鍛冶屋、職人、研究者、哲学者、妊婦、売女、修道女、船乗り………。
その全てを1人も逃さず愛刀で斬り殺してきた。
そしてその血肉を食べて晩食を過ごす。
彼女は錬金術師が示した解呪法など一切試していなかった。
なぜならシエラは人を労ったことも誰かに褒められることなどしたことがなかったからだ。
シエラはいつもそうだった。
その美しさ故に誰もが許し、死すらも受け入れるとそう考えて生きてきた。
事実、父も使用人の家族も領民も雇った悪人達も、全員が全員その美しさの前に怨念すら消して化けて出ることもない。
逆にこの美貌を城の中に閉じ込めてしまうんだからそれこそシエラの考えを肯定している様であった。
そしてこの城に迷い込んだ者達も全員が等しくその美貌の前に死を受け入れ、死してもなお成仏もする筈もなくこうしてこの城で同じ様に城の結界に一役を買っていた。
反省の無い悪女シエラ。
その美貌の前に死んで言った者達の霊力でさらに強固になる城の結界。
これが今の現状だった。
シエラは自分の業をどんどん重くし、その結果現在この城から出ることが霊が増えたことでより困難になっていた。
自分のベッドに座り込み、いつも通り見慣れた天井を見ながらシエラは退屈そうに足をぶらつかせる
。
不死になっても時間の経過は同じなのでセイレンが夕食を作ったと報告するまでこうして時間を潰しているのだ。
「………ひーまー」
シエラはそれにも飽きて一層の事寝ようとベッドに倒れこんだ。
腰にいつも下げていた剣も邪魔と思って外しベッドの隅に置く。
そうしているうちに眠くなり、彼女はそのまま寝てしまった。
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