世界を滅ぼせ太郎

極大級マイソン

第6話「デスソース使いの男」

「俺が仕入れた情報によると、三条正樹はこの辺りでよく出没するらしい。佐藤、武器のデスソースと納豆ドリンクは持っているか?」
「いや絶対ムリだって馬鹿だろうお前!? 何で俺がお前の喧嘩の代わりをしなくちゃならないんだよ!?」
「お前やってくれるって行ってくれたじゃん。後からギャーギャー文句言うなよ男が廃るぞ」
「知らねえよそんなの。俺は学校の先生なんだよ、生徒と喧嘩はできん」
「今更遅いぜ。もう例の相手が見えてきた」
「なに、もうか!?」
 何の覚悟も決まってない状況で、佐藤は取り敢えず、その不良の様子をこっそり確認することにした。
 石垣が指し示した方角には、2人の高校生がいた。一人は茶髪でチャラそうな男、もう一人はいかにも地味そうなメガネを掛けた男だった。
 二人は人通りを歩きながら雑談をしているようだ。

    ***

「……なあナス、デスソースをがぶ飲みしたことってあるか?」
 飄々としてそうな茶髪の男が、小柄の地味系メガネの少年にそんなことを聞いていた。
「……辛党ってのは存在するとは思うけど、そんなものを直飲みする人は聞いたことないかな」
「俺さ、時々思うんだ。自分と同じ趣味を持つ奴が一人でも知り合いにいたら、こんな素晴らしいことはないってさ」
「マサキの趣味って……、そんな奇特な趣味を持つ人がこの界隈に後もう一人でもいるとは思えないんだけど」
「ところがそうでもないんだ。最近風の噂で聞いた話なんだが、どうもこの近辺に、デスソースを使って暴れるイかれた野郎が出没するそうなんだ。……その話を聞いた時、俺はピンときた。こいつは、俺と同じ波長の持ち主だってな」
「マサキとその手の話題に噛み合う人とか、どう考えても異常者だよ、普通じゃない」
「それは俺が普通じゃないと言いたいのか?」
「普通だと思ってるの? 自分のこと」
「まあ昔はやんちゃしていた時期もあったけど、今は比較的優等生だろ。喧嘩も売ってないし、部活も真面目に参加している。俺が言うのも何だが、ここまで自分自身がまともな人間になるとは思ってもいなかった」
「……ふぅん、僕は昔のマサキをよく知らないから、その辺について触れることはできないけど、だとしても今のマサキも大概だと思うけど。あと、喧嘩を売ってないってのは嘘だ」
「売ってはないだろう、買っているだけだ」
「僕みたいな奴からしてみれば、どっちでも大差ないんだよなぁ〜」
「話を戻すけど、そのデスソースの男は、どうもこの辺りのワル共を次々と蹴散らしているようなんだ。昨日も昔馴染みに頼まれたんだよ、そいつを探して倒すのを手伝ってくれってな」
「そんなにやばい人なの? そのデスソースの男って」
「そいつに出会った連中が片っ端からやられていっているらしい。チームに関係無く襲われいるそうだから、多分無差別の犯行。ワルを見つけ次第成敗するっていう、正義の味方気取りの馬鹿なんだろう」
「なんだ良い人じゃん。悪い奴が懲らしめられて、また世界が綺麗になる」
「社会のゴミでも、今でもあいつらは俺の仲間だ。放っておくわけにはいかねえ」
「探すの? そのデスソースの男」
「だが俺の情報網でも、そいつに関する痕跡が見つからねえんだ。まるで神出鬼没の幽霊みたいに、だからお前なら調べられると思ったんだ」
「……え、つまり何? 僕にその男を探せって言うの?」
「お前なら、きっとそいつを見つけられるはずだ。助けてくれよ」
「イヤイヤ、無理言うなよマサキ。僕にそんな能力は持ってないから!」
「怪奇現象に詳しいだろ」
「それと謎の男を探すのに、どう言う関係性があるんだよ! そもそも僕はその男について何も知らないんだ!」
「うーん、確かに俺もそいつの顔は知らないんだよなぁ。一度会って見たかったんだがデスソース使い」
「そもそもデスソースを使ってどうやって戦うんだよ。……あ、やっぱりいい聞きたくない」

    ***

 佐藤と石垣は、二人の高校生を追跡していた。
 二人は楽しそうに何事か話していたが、なんの話をしているのかはこの距離では聞き取れなかった。
「あの茶髪の方が三条正樹か。もう一人の地味な方は誰だ?」
「うーん、分かんねえな。多分俺の中学とは別だった奴だ。……まあ、あいつの事はどうでもいい。行くぜ佐藤!!」
「あ、おい!!」
 佐藤の制止を待たずに、石垣は通りを歩く三条たちに向かって駆け出していった。

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