世界を滅ぼせ太郎

極大級マイソン

第2話「デスソースと輸血」

「だからやめるんだ石垣! 何度も言ってるだろう!? デスソースを輸血しても、血液の代わりにはならないって!!」
「うるせえ佐藤! このままじゃ内田が死んじまう、何か血の代わりになるものが必要なんだよ、似てるだろうデスソースと血液!!」
「確かに似てるけど、だからってデスソースをいれなくても良いだろうガチで死ぬぞ!? それで輸血するくらいだったらまだ水道水の方がマシだ!!」
「水道水だけじゃダメだ! せめて鉄か何かをスライスして入れないと!!」
「鉄分は大事だもんな! ああでもクソ、何でこんな事になっちまったんだ!」
「佐藤が電動ノコギリ持って『ジェイソンのまね〜』って騒ぎながら暴れたせいだろう!?」
「あれは石垣がドロップキックしたのが悪いんじゃないか! ちょっと脅かすだけだったのに本気で怖がりやがって、ノコギリのスイッチも入ってなかっただろう!」
「はっ!? 怖がってねえし! 何かムカついたから蹴っ飛ばしただけだし!!」
「その拍子にスイッチが入って、近くに居た内田が切り刻まれたんだぞ!!」
「俺悪くねえし。悪いのは佐藤だし」
「俺だって悪くねえし!」
「……つまり誰も悪くないてことか?」
「そうだな、俺達は何一つ非はない」
「争いは何も生み出さないって言うし、ここは一先ず休戦といくか」
「そうだなそうしよう」
「……それで、内田の奴どうする? まだ息はあるみたいだけど」
「もうめんどくさいし、適当にホルマリン漬けにでもしとくか」
「佐藤そんなこと出来んの!?」
「……お前、俺の担当忘れてんの? 生物学の先生だぞ」
「あ、悪りい。先生だって事自体忘れてたわ」
「カエルのホルマリン漬け見せんぞこの野郎」

 それから、この学校には一つの噂が広がった。
 それは、化学準備室で夜な夜な男子生徒の霊が現れると言うものだった。
 男子生徒は夜の学校を徘徊し、出会う人間の生気を奪うそうだ。
 目撃証言も多数あり、この噂を発端に、幽霊の存在は真実味を帯びてきたという。

    ***

「……それじゃあ、今から出席を取る。有本」
「はい」
「飯塚」
「はい」
「石垣」
「うーっす」
「ちゃんと『はい』って言え馬鹿野郎。えーっと次は……内田」
『はーい』
「内田。今日で幽霊になって1週間だが、調子はどうだ?」
『先生のおかげで新たな可能性に目覚めました。これからは新時代の人類として生きていこうと思います!』
「まあ死んでるんだけどな」
『ははっ。……ところで先生、一つ気になることがあります。あの僕を漬けたホルマリン、妙に赤黒かったんですけど、本当にホルマリンだったんですか?」
「ああ、あれは俺の特製ホルマリンだ。通常のホルマリンの成分の他に、デスソースの原料も含まれている。そう、タバスコだ」
『なるほど、結果的に石垣さんの要望には答えたわけですね。何だかんだいって、先生も甘いですね』
「……偶々だ」
『ふふっ、そう言う事にしておきましょう』
 内田の指摘に、自然と顔を逸らすと石垣と目がぶつかった。
 朝っぱらから呆けたような表情の彼女を眺めて、佐藤はまた目を逸らした。

「……別に、あいつの為じゃねえよ」
『そうですか。いやね実は僕、タバスコの液体に浸かって現在進行系で四苦八苦しているんです。全身激痛、地獄のような痛みが襲って僕、怨んで先生の前に化けて出ちゃうかも?』
「すまん、やっぱりあいつの為だわ。そう、あいつの願いを叶えたんだから俺は何一つ悪くない。だから化けて出るならあいつだけにしてくれよ、内田」

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