ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

番外編:かわいいものはかわいい・その2

[クロノ]
レオ「わぁ…カッコイイ…。」
アリアージュのオーナー、シレイノ。カッコイイ系の女性。
シレイノ「本来は店のスタッフが解決するはずなのですが…」
クロノ「いや、こっちこそ勝手に関わりにいって変な事件にしちゃいましたし…」
シレイノ「お詫びと感謝の気持ちとして、お代は結構でございますので…」
クロノ「いやいや、それはなんか申し訳ないですよ。」
いやいや、いやいやと遠慮の応酬。
ふと、レオの顔を見ると、店員の服に目が釘付けになっている。
シレイノも気づいたようだ。
シレイノ「…ご試着、なさいますか?」
レオ「え⁉︎でも…」
レオがこちらを見る。
クロノ「気になるならさせてもらったらどうだ?店からのお礼はそれにしてもらうってことで。」
レオ「い、いいんですか⁉︎」
シレイノ「ええ。その前に、ケーキが来ましたよ。」
先ほど頼んだケーキがやってくる。
見た目はすごく美味しそうだ。

うん、400円のケーキにしては美味しかった。あれなら500円でも良かっただろう。あまり食わんから相場は知らんが。
食べ終わったのを見てシレイノが来る。
シレイノ「どうでしたか?当店のケーキは。」
レオ「すごく美味しかったです!」
クロノ「美味しかったです。家から近ければ常連になってたかもしんないですね。」
ギルドからは少し遠いんだよなぁ…。徒歩30分だもの。自転車かオートバイでもあればなぁ…。
シレイノ「それでは、店の奥に案内いたしますね。」
レオの目の輝きが増していくのが分かる。

店の奥への扉をくぐり、もう一人の店員と服の置いてある部屋へと向かう。
レオともう一人の方の店員が2人で会話しているので、自然とシレイノと2人のペアになる。
シレイノ「…息子さんですか?」
クロノ「いえ、知り合いの子ど…え?今なんて?」
シレイノ「いえ、見たところ年が離れていてそれでいてとても仲が良かったですし、親子なのかなと思ったのですが…。」
クロノ「いやそこじゃなくて…。なぜ男だと…?」
シレイノ「私はこの店のオーナーとして、可愛いものを見る目には自信があります。レオくんの女装はとても完璧ですし、仕草も女の子そのものですが、隠しきれぬオーラというものがあるのです。私の目はごまかせないのですよ。」
ウヘヘと背景に書かれそうな顔している。
クロノ「…ヨダレ……出てますよ…。」
シレイノ「お気になさらず…。」
気にするわ。あの視線の理由はそういうことだったのか…。
まぁ、男の娘を嫌うような人じゃなくて良かった。
クロノ「珍しいですね。子どものこととはいえ、女装するような男の子が好きだなんて。」
シレイノ「可愛いものなら何でも好き…と言えば聞こえは悪いですが、愛しているからこそ、可愛いと言えるものが好きなのです。あなたもそうなのでは?」
うっ…。
クロノ「否定はしませんけどね…。」
服が並んでいる部屋に着いた。部屋に入るとそれはもう様々な種類の服がある。
クロノ「定期的に服を変えて変化を楽しむってことですか。」
シレイノ「はい。これらの服のデザインは全てオリジナルなんです。」
クロノ「オーナーさんが?」
シレイノ「はい。私がデザインしています。」
なんてセンスだ。この人ならうちの世界でもメイド喫茶のメイド服のデザインとかで生きていけそうだ。
レオが声にならないほどの歓喜の声を上げる。
シレイノ「どれでも好きなものを選んでいいですよ?」
レオ「ほんと⁉︎どれでも⁉︎」
シレイノ「ええ、いくらでも。」
とりあえず片っ端から手に取り試着室に入る。
着方が特殊だというのでシレイノも試着室に入るが、大丈夫だろうか。
レオが男だと気付いているのはシレイノだけだし、自分はこの服の着せ方を知らないから手伝えないから仕方ないが、あのシレイノのレオを見る目は明らかに野獣か何かだった。
さすがに問題を起こしはしないだろうが…。
レオが試着室から出てくる。顔を赤らめている。そういえばレオのことがバレてるのをレオはまだ知らなかったっけ。
しかし、随分とご機嫌のようだ。クルクル回っている。
シレイノ「…クロノさんも…似合いそうですね…。」
はい?何言ってんの、あんた?まさか俺にも着せようとしてる?
シレイノ「ものは試しと言うじゃないですか…。」
レオ「いいじゃん!お兄ちゃんも似合うと思うよ!」
一緒に服を選ぼうと腕をぐいぐい引っ張ってくる。
レオ「あの人、僕が男だって知ってたの?」
ヒソヒソ声で言ってくる。
クロノ「あぁ、あの人は女装程度じゃあすぐに見抜けるらしいぞ。そういうのも好きな人らしいが。」
レオ「う、うん…。」
服選びに戻る。
レオが服を持ってくる。THE メイド服という感じの服だ。
シレイノ「では試着室に…。」
ちょっと待て、あんたも入ってくる気か。
クロノ「い、いえ、1人で着れますよ⁉︎」
シレイノ「この服は少し特殊な形をしておりますので、1人で着るのは難しいんです…」
目が怖いんだよ。
クロノ「じゃ、じゃあ着ないの方向で…」
レオ「そんなぁ!それはダメだよぉ!」
ウソだろ…

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