ヒーローライクヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その1・シスコンとあとブラコン

[クロノ]
ハゼットがエリエテの街に遠征に行った。
『闇』というのは厄介な相手らしく、同行しようかと思ったが、さすがにこればかりは連れていけないと断られてしまった。
まぁ、またどっかの機会で会えるだろう。
会うべきではないらしいが。

フレアとアクアは任務の為、外出。マキノは相変わらず研究で自宅に引きこもり。なので、今ギルドにいるのはエリーとレオ、そして自分の3人である。
クロノ「入団はしたものの…やることないなぁ。」
エリー「やることないことはないですよぉ?あの森からはたまに魔獣が出てきたりするから、魔獣退治に行かないといけないですし。」
クロノ「国軍の仕事ではないんですか…?」
ガイア「国軍はあくまでアリアンテの防衛が仕事だからな。わざわざ森の中の方まで魔獣退治には行かないのだ。」
いつの間にかガイアがギルドに入ってきてた。
レオ「ガイアさん!こんにちは!」
ガイア「あぁ、昨日ぶりだな。」
クロノ「ガイアさん、いつの間に…。」
ガイア「今入ってきたばっかりだ。妹が故郷からこっちに来るというからな。ここ最近働きすぎだと上司やら友人やらに言われたので1週間休みをもらった。」
軍なのに働きすぎで突っ込まれるとか相当だろオイ。軍に働きすぎってあんのかよ。というか、1週間休みとれるってのもすごい職場だな。
クロノ「よく休めましたね…軍なのに。」
ガイア「うちの街は平和だからな、治安はともかく。軍というよりは自警団とか…。ギルドがより職業らしくなった感じだ。」
軍じゃなくていいじゃん。
ガイア「その代わり街に危険が近づいたときはしっかり役目は果たすさ。ギルドはある意味毎日が休みみたいなものだろ。」
エリー「依頼があまりない日は暇ですからねぇ。」
ガイア「ギルドが街に迫る危機を事前に予防し、軍が街の防衛、又は治安の維持。両者が協力してアリアンテを平和にしているのだ。」
クロノ「軍は外には出ないんですか?」
ガイア「アリアンテの軍はあくまで防衛の為の軍だから外に出るのはあまり良くない。他の国を攻める為の偵察と思われかねないからな。それに、ギルドの奴らの方が戦闘力が高い。軍が外で活動するよりギルドがする方が確実な予防になるのだ。軍は数だけはあるから、国内の治安維持が主な活動だ。」
なるほど、まぁザコ魔獣程度にわざわざ軍を動かすのもなぁ。
クロノ「治安維持ってやることあるんですか?なんかあまり治安悪くなさそうだけど。」
ガイア「悪くならないようにあちこちに軍を置いてるからな。この辺はギルドがあるから軍が手を出さなくても自然と良くなっているのだろう。中央の方は意外と悪めではあるが、酷くても店の商品を盗むとかその程度だな。」
まぁ、頻繁に殺人事件が起こされても困るか。
エリー「妹さんはいつ頃来られるのですか?」
ガイア「昼頃に着くように出たと手紙に書いてあったからそろそろだとは思うが…」
クロノ「ガイアさんの自宅に行ってるゆんじゃ?」
ガイア「いや、ギルドに来ると言っていた。来るまでここで待っててもいいか?」
エリー「ええ、いいですよ。どうせ暇ですし。何か飲み物持ってきますね。」
レオ「私も手伝う!」
レオくんは一人称が僕だったり私だったりバラバラだけど気分かな?

ガイアと2人きりになってしまった。
まずい、話す話題がないぞ…。
ガイア「ギルドには慣れたか?」
新人にする質問の王道が飛んでくる。
クロノ「えぇ、ハゼットさんやエリーさんや、優しい先輩方が手伝ってくれるので。」
ガイア「そうか…。ここは変人まみれだからな。慣れるのは大変だったろう。」
変人か…。そんな感じはしなかったが、まだ本性をあらわにしていないのだろう。
コンコン。
ドアがノックされる。入ってくればいいのに。
クロノ「はーい、開いてますから、入っていいですよ~。」
ガチャリ。
入ってきたのは、若い女の子だ。日焼けして小麦色の肌。短い髪。白いワンピースをしていて、いかにも夏の少女という感じだ。今は冬が過ぎたころだが。まさかこの子が例の妹さんかな?
部屋を見渡し、ガイアを見つけると、
少女「お兄ちゃああああああああん‼︎」
嬉しそうな声で叫びながら走り出し、ガイアに飛びつく。やはり妹だったか。
ガイア「落ち着け、アリシア。はしたないぞ。」
エリー「あらあら、アリシアちゃんいらっしゃい。」
レオ「アリシアちゃん、いらっしゃい!」
ガイアが少女を引き剥がす。
少女「エリーさん、レオちゃん、こんにちは!」
レオはちゃん付けか。
少女がこっちを見る。
少女「この人知り合い?」
ガイア「あぁ、ここの新入りだ。」
少女「へぇー!私、アリシア・フォレスト!兄がいつもお世話になってます!」
元気な女の子だ。

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