引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

トルフィンの部 【いざ戦いの場へ】

 物理攻撃に特化したリュア。
 魔法攻撃に特化したセレスティア。
 そのどちらも使いこなせるトルフィン。

 バランスを考えれば、この三人は非常に動きやすいチームといえた。特にトルフィンとリュアは、ともに訓練してきただけあって息がぴったりである。シュンが武術大会を企画した甲斐もあるというものだ。

 またセレスティアも、長いこと騎士たちの戦いを援護してきた身である。ことサポートに関しては、これほど頼りになる味方はいまい。

 トルフィンは剣を柄におさめ、うなだれるネプトに視線を戻した。
「待たせたな。立てるか?」
「お、王子様……ありがとう……」
 こくんと頷き、ネプトはゆっくりと立ち上がる。念のためステータスを見させてもらったが、すべての数値が元に戻っているようだ。どうやらステータスを下げた犯人を倒すと自動的に回復するらしい。

 ネプトは涙目をごしごしと拭いながら言った。
「こ、怖かった……。急にあの人たちが襲ってきて……戦った人たちはみんな、みんな……」
 その先は言葉にならなかったようだ。ネプトは顔を隠してまたも泣きじゃくる。

 ――許せねェ。
 トルフィンのなかで怒りの炎が燃え上がった。
 どんな理由があるのか知らないが、ここまで人々を傷つけて、なにが神だというのか。俺はこんなもの認めない。認めてなるものか。

 創造神ディストは、現在どこにいて、なにをしているのか。それはわからないが、あいつは父に任せよう。俺は頼まれた通り、みんなを守っていくまでだ。

 トルフィンはざっと周囲を見渡す。ここにいた国民たちは残念ながら全滅させられてしまったらしい。天使たちの姿も見当たらない。

「ネプト。奴らが……天使どもがいまどこにいるかわかるか」
「え……と、たくさん人がいるほうに……たしか、シュロン学園っていうところに……」

 ――シュロン学園。
 その言葉を聞き、リュアが息を呑んだ。

「大変……! 早く助けなきゃ!」
「ああ、そうだな……」
 あそこにはレイア先生もいる。まだ殺されてないことを祈るしかあるまい。
 そうしてトルフィンたちが走り出そうとしたとき、
「あ、あの王子様!」
 とネプトが呼び止めた。
「助けてくれてありがとうございます! ど、どど、どうか死なないで!」

 本来、誰かのために戦うなんて、トルフィンの性分ではない。
 だがこのときばかりは、トルフィンは親指をぐいっと突き出し、「おう!」と元気よく返事したのであった。

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