引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
国王シュン
ロニンはこれまで、怠ることなく《修行》を行ってきた。
前代魔王を倒した後も、定期的に一人の時間を作ることで、自身のステータスアップをはかってきた。その結果、シュンには及ばないまでも、魔王の名に恥じない強さを手に入れたと自負している。
なのに。
圧倒的な強さを得た魔王ロニンでさえ、いまこの瞬間、鳥肌が禁じえなかった。
ディストが放った威圧感。
まさに人の域を超えた、狂気的な霊気。
ロニンは思わずベンチから立ち上がった。ディストから距離を取り、警戒心を最大限にまで高める。
「嘘……でしょ? アルスをあんなふうにしたのは貴方だったの?」
するとディストはどこから取り出したのか、銀縁の眼鏡を装着した。
長髪に眼鏡。そして現在なぜか白衣をまとっているディストは、どこか教師然とした雰囲気を放っている。
「ふふ、本来はまだ黙っておくつもりだったのだがね。ここでバラしておくのも一興だろう」
「い、一興……?」
「そう。アルスの記憶を操作したのは私だよ。まあ……最初に声をかけたときはかなり警戒されていたがね」
当然だとロニンは思った。
あのときはセレスティア率いる《人間軍》と《モンスター軍》の戦争が終わったばかりだ。当時、ディストはその強さで人間軍を多く蹴散らしていた。身構えられるのも当然だ。
「でも……どうして……なんでアルスはあんなに強くなってたの……? 私もシュンさんも驚いたよ……」
「おや、まだわからないのかな?」
ディストは眼鏡の中央部を指で持ち上げた。
「君の息子が不思議がっていただろう。ステータスというシステム――そしてスキルというシステムを」
「…………!」
思わずロニンは息を呑んだ。
なぜディストがそれを知っている。
「この世界は作られたものなのさ……我々《創造神》の手によってね」
「そ、創造神……」
「しかり。《ステータス》の生みの親たる我々にとり、他者のステータスをいじくることは朝飯前なのだよ」
ステータスをいじくる……だと……?
もし本当にそれが可能なのであれば、いますぐにでも全生物のステータスを0にすることもできる――ということになる。
無茶苦茶だ。これまで相対してきた敵とは、まるで次元が違う。
「あなたが……いじくったってわけ? アルスのステータスを」
「ご名答。トルフィン君といい感じの試合ができるよう、絶妙な強さにしておいたのさ。おかげで良いものが見られたよ」
そこで再び、ディストは眼鏡の中央を持ち上げた。
「ふふ……トルフィン君もなかなかの逸材だ。アルスの記憶が操作されていたことも見抜いていたようだね。さすがは前世でゲーム脳だったことはある」
「…………」
――トルフィンが転生者であることも知っているとは。
ロニンはもうなにも言えなかった。
いや、相手は神だ。転生者をロニンの身体に授けたこと自体、狙われていたのかもしれない。
「だが、お遊びも今日までだ。世界の秩序を守るため、これからすべての者のステータスを1にさせてもらおう」
「えっ……なにを……」
「なあに。事は一瞬さ。なにも怖くない」
そう言って片手を突きだしてくるディストに、ロニンは数歩引いた。
――嫌。
せっかくこれまで築き上げてきた強さを、なくしてしまうなんて……
その瞬間だった。
「おいこら、なにしてんだてめぇ」
国王シュンが、背後からディスト肩を掴んだ。
~第4章 【学園・武術大会編】 完~
前代魔王を倒した後も、定期的に一人の時間を作ることで、自身のステータスアップをはかってきた。その結果、シュンには及ばないまでも、魔王の名に恥じない強さを手に入れたと自負している。
なのに。
圧倒的な強さを得た魔王ロニンでさえ、いまこの瞬間、鳥肌が禁じえなかった。
ディストが放った威圧感。
まさに人の域を超えた、狂気的な霊気。
ロニンは思わずベンチから立ち上がった。ディストから距離を取り、警戒心を最大限にまで高める。
「嘘……でしょ? アルスをあんなふうにしたのは貴方だったの?」
するとディストはどこから取り出したのか、銀縁の眼鏡を装着した。
長髪に眼鏡。そして現在なぜか白衣をまとっているディストは、どこか教師然とした雰囲気を放っている。
「ふふ、本来はまだ黙っておくつもりだったのだがね。ここでバラしておくのも一興だろう」
「い、一興……?」
「そう。アルスの記憶を操作したのは私だよ。まあ……最初に声をかけたときはかなり警戒されていたがね」
当然だとロニンは思った。
あのときはセレスティア率いる《人間軍》と《モンスター軍》の戦争が終わったばかりだ。当時、ディストはその強さで人間軍を多く蹴散らしていた。身構えられるのも当然だ。
「でも……どうして……なんでアルスはあんなに強くなってたの……? 私もシュンさんも驚いたよ……」
「おや、まだわからないのかな?」
ディストは眼鏡の中央部を指で持ち上げた。
「君の息子が不思議がっていただろう。ステータスというシステム――そしてスキルというシステムを」
「…………!」
思わずロニンは息を呑んだ。
なぜディストがそれを知っている。
「この世界は作られたものなのさ……我々《創造神》の手によってね」
「そ、創造神……」
「しかり。《ステータス》の生みの親たる我々にとり、他者のステータスをいじくることは朝飯前なのだよ」
ステータスをいじくる……だと……?
もし本当にそれが可能なのであれば、いますぐにでも全生物のステータスを0にすることもできる――ということになる。
無茶苦茶だ。これまで相対してきた敵とは、まるで次元が違う。
「あなたが……いじくったってわけ? アルスのステータスを」
「ご名答。トルフィン君といい感じの試合ができるよう、絶妙な強さにしておいたのさ。おかげで良いものが見られたよ」
そこで再び、ディストは眼鏡の中央を持ち上げた。
「ふふ……トルフィン君もなかなかの逸材だ。アルスの記憶が操作されていたことも見抜いていたようだね。さすがは前世でゲーム脳だったことはある」
「…………」
――トルフィンが転生者であることも知っているとは。
ロニンはもうなにも言えなかった。
いや、相手は神だ。転生者をロニンの身体に授けたこと自体、狙われていたのかもしれない。
「だが、お遊びも今日までだ。世界の秩序を守るため、これからすべての者のステータスを1にさせてもらおう」
「えっ……なにを……」
「なあに。事は一瞬さ。なにも怖くない」
そう言って片手を突きだしてくるディストに、ロニンは数歩引いた。
――嫌。
せっかくこれまで築き上げてきた強さを、なくしてしまうなんて……
その瞬間だった。
「おいこら、なにしてんだてめぇ」
国王シュンが、背後からディスト肩を掴んだ。
~第4章 【学園・武術大会編】 完~
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