引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

真面目トルフィン VS 真性ロリコン

 大人たちが小難しい話を繰り広げているなか、リュアは睡魔が訪れたらしい。こっくこっくと、落ちかけては顔をあげている。

 そんな彼女に優しい言葉をかけたのはロニンだった。
「リュアちゃん大丈夫? 眠いの?」
「ふえっ!? だ、大丈夫、です……」
「無理しなくていいんだよ。子どもは寝る時間だもんね。トルフィン、部屋に連れていってあげて」
「えっ、僕がですか」
「お友達でしょ。それくらいやってあげなよ」
「で、でも、密室に男女二人きりってのは色々と――」

 そこまで言いかけて、トルフィンははっと口をつぐんだ。レイア先生が驚きの表情で見つめてきているからだ。

「い、いやぁなんでもありません。さあリュア、部屋に案内するからついてきてねー」
 慌てて後頭部をかき、トルフィンはリュアとともに部屋を出る。

 ――まずいまずい。
 トルフィンはあくまで六歳だ。性に目覚めるには早い年齢である。
 なにが密室に男女二人きりだ。
 やましいことはなにもない。
 あくまで寝かしつけるだけだ。
 たったそれだけ。それだけ……なのだ。

「さ、ここだ」

 心臓を高鳴らせつつも、トルフィンは目的地に到着した。

 客室。テーブルにベッド、それから風呂。一晩過ごすだけなら充分な調度品が揃えられている。リュアはちょこちょことベッドに潜り込むと、そのまま気持ちよさそうに毛布に入った。

「じゃ。俺はこれで……」
「待って。トルフィンくんは眠くないの?」
「き、昨日も言ったろ。俺は六歳じゃないの。こんなに早く眠れねえ」
「やだよ。怖いから一緒にいてよ」
「…………」

 ――いかんいかん。
 大人になるとはこういうことだ。リュアの発言が、いちいち卑猥に聞こえてしまう。もちろん当の本人にそんな気はまったくないだろう。まだ六歳なのだから。

「お、俺はまだメシ食い足りねえんだよ。さっさと戻る、ぞ」
 噛みっ噛みの自分を呪い殺してやりたかった。しかしリュアはなおも食い下がってくる。
「やだよ。一人は怖いよ。一緒に寝ようよ」

 ――心を菩薩にしろ。
 相手は六歳児だ。《一緒に寝る》というのもそのままの意味でしかない。俺の考えていることがおかしいんだ。男って汚らわしい。マジで。 

 一方で、真性ロリコンのトルフィンはまったく別のことも考えていた。

 ――これはまたとないチャンスである。リュアみたいな可愛い幼女と二人で寝ることができる。こんな機会は二度と起こりえないかもしれない。

 ならば、ここは引くべきではない。

 そうして結局、勝ったのは真性ロリコンのほうだった。

「そういや、まあ、眠くないこともないかな、うん」
 そう言いつつ、リュアの隣にダイブするのだった。

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