引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
めんどくさい駆け引き
「シュンくん。これは笑い事じゃないのよ」
セレスティアが鋭い視線を国王に向ける。
「この会談を断ったら、たぶん私や他の人間たちを返せって言われるわ。建国の初期投資は王都が受け持ったんだから、それくらいは応じないとーーお父様との関係が悪くなる」
「……はぁ」
シュンは大仰にため息をついた。
理屈では、セレスティアの言わんとしていることはわかる。
でも。
ーーせっかく平和な国をつくったのに、途端にこれかよ。
そう考えると、沈鬱な気分にならざるをえない。
シュンはもともと、人間とモンスターを共存させ、《平和な世界》をつくるために国をつくった。そしてそれは成功した。人間とモンスターの絶妙な労働によって、国は著しい発展を遂げた。
けれど。
他の国が、それを許さないというのだ。
王との会談に応じなければ、シュロン国の人間たちを撤退させると……
シュンはふっと鼻で笑った。
「会談か。いったいなにを話すんだろうな」
「……きっと、シュロン国に不平等な協定でも結ぶんでしょうね。初期投資に協力したことを言いがかりにして」
「やっぱりそうだよなぁ……」
セレスティアの父王が権力の分散を嫌うのであれば、シュロン国の繁栄を打ち止めにかかってくるのは目に見えている。
だから会談には行きたくない。
だがそれでは、きっと、セレスティアたち人間が撤退を命じられる。
「ふぅ……」
もう一度、シュンは大仰なため息をついた。
正直いって、めんどくさい。
引きこもり時代に戻りたくもなる。
だが、このような苦労も王としての勤めだ。すべて俺がやらねばならない。頼れる者はいない。
「ごめんね」
ふいにセレスティアが呟いた。
「なんか……私、足引っ張ってるね……」
「馬鹿いうな。おまえのせいじゃねェだろが」
「だけど……」
「気にするな。おまえがいなきゃこの国も成立しなかったんだぜ?」
「…………」
「あーもう。元気出せよこのクソったれめ」
シュンは優しくセレスティアの額をこづいた。気丈な皇女様は、小さく、こくりと頷いた。
「シュンくんのステータスはすごく強い。だけどーー今回は力の強さで勝敗が決まるわけじゃない。大変だと思うけど……」
「気にすんな。俺やァ国王だぜ?」
セレスティアに向けて微笑みかけると、シュンは一旦、部屋を出た。
セレスティアが鋭い視線を国王に向ける。
「この会談を断ったら、たぶん私や他の人間たちを返せって言われるわ。建国の初期投資は王都が受け持ったんだから、それくらいは応じないとーーお父様との関係が悪くなる」
「……はぁ」
シュンは大仰にため息をついた。
理屈では、セレスティアの言わんとしていることはわかる。
でも。
ーーせっかく平和な国をつくったのに、途端にこれかよ。
そう考えると、沈鬱な気分にならざるをえない。
シュンはもともと、人間とモンスターを共存させ、《平和な世界》をつくるために国をつくった。そしてそれは成功した。人間とモンスターの絶妙な労働によって、国は著しい発展を遂げた。
けれど。
他の国が、それを許さないというのだ。
王との会談に応じなければ、シュロン国の人間たちを撤退させると……
シュンはふっと鼻で笑った。
「会談か。いったいなにを話すんだろうな」
「……きっと、シュロン国に不平等な協定でも結ぶんでしょうね。初期投資に協力したことを言いがかりにして」
「やっぱりそうだよなぁ……」
セレスティアの父王が権力の分散を嫌うのであれば、シュロン国の繁栄を打ち止めにかかってくるのは目に見えている。
だから会談には行きたくない。
だがそれでは、きっと、セレスティアたち人間が撤退を命じられる。
「ふぅ……」
もう一度、シュンは大仰なため息をついた。
正直いって、めんどくさい。
引きこもり時代に戻りたくもなる。
だが、このような苦労も王としての勤めだ。すべて俺がやらねばならない。頼れる者はいない。
「ごめんね」
ふいにセレスティアが呟いた。
「なんか……私、足引っ張ってるね……」
「馬鹿いうな。おまえのせいじゃねェだろが」
「だけど……」
「気にするな。おまえがいなきゃこの国も成立しなかったんだぜ?」
「…………」
「あーもう。元気出せよこのクソったれめ」
シュンは優しくセレスティアの額をこづいた。気丈な皇女様は、小さく、こくりと頷いた。
「シュンくんのステータスはすごく強い。だけどーー今回は力の強さで勝敗が決まるわけじゃない。大変だと思うけど……」
「気にすんな。俺やァ国王だぜ?」
セレスティアに向けて微笑みかけると、シュンは一旦、部屋を出た。
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