引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
そりゃロニンに魔王は務まらないよな
さて。
これからどうするか。
ディストを背負いながら、シュンは今後のことに思いを馳せた。
二人を会わせた末、ロニンはどんな決断をするか。
二人で魔王城へと戻るのか。自身の住居に戻るのか。
すこし寂しい気持ちもあるが、それが一番良いだろう。
もともと、シュンとロニンがくっついていること自体がおかしい。
特に、村人たちがロニンの正体に気づくと相当まずいことになる。
そうなる前に、元の生活に戻るのが一番だと思う。
ーーやれやれ、俺もお人好しになったもんだな……
うっすらとした笑みを浮かべつつ、シュンが故郷に向けて歩いていると。
「……村人よ」
唐突に、背中のディストが話しかけてきた。
「貴様はロニン様のことをどこまで知っている?」
「ん? んー、コッペパンが好きなことしか知らねえな」
「コッペパン? なんだそれは」
ディストは不愉快そうに顔を歪めると、さっさと話題を戻した。
「……ロニン様は魔王様のお子だ。もちろん、時期魔王はロニン様が継ぐことになる」
「……なんだ、そんなことかよ」
「話を最後まで聞け」
ディストはまたも不快そうな声を発すると、話を続けた。
「しかしモンスター幹部たちはそうは考えておらん。奴らは自分の子を時期魔王にしようと必死なのだ。みずからの地位を上げるためにな」
シュンはため息をついた。
よくあるお偉いさんの話か。モンスターでもそんな内部争いがあるんだな。
「そんななかで、ひとり有力候補がいてな。そいつは強い。ロニン様よりもずっとな」
「……へぇ」
ディストいわく。
モンスターの世界は弱肉強食。
強い者が頂点に立つ世界。
なのに、その有力候補よりもロニンが時期の魔王になるーー
このことに異を唱える者が多数いるらしい。
魔王自身も、ろくに戦うこともできない娘に嫌気が差してきた節がある。
いまや、モンスターたちの支持はその有力候補に傾いているという。 
「まあ、そりゃそうだろうよ。あのおてんば娘に王が務まるとは思えないぜ?」
「村人よ。これは笑い事ではない」
そして次の瞬間、ディストは驚愕の発言をした。
「いまやロニン様の敵は人間だけではない。あの魔王様すらも、ロニン様の敵なのだ」
「なに……?」
「王族は利権の塊だ。ロニン様の派閥と、有力候補の派閥。そのせいで内部争いが耐えない。魔王はいまも心の休まらない生活をしている。だから……勇者に、殺してもらおうとしたのさ」
「…………」
シュンはなにも答えられなかった。
たしかに、思い当たる節がないこともない。
たとえば、先の勇者との戦い。
魔王はロニンが殺されないために策を講じていたらしいが、それはあまりにガバガバだった。実際にも、ロニンは勇者によって殺されかけていたのだから。
それだけではない。
本当に娘を殺されたくないならば、有能な部下に手助けでもさせてやればいいのだ。
なぜそうしなかったのか。
それはディストの言う通り、戦死に見せかけたかったのだろう。 
王たる者が、堂々と子殺しするわけにはいかない。
だから一番穏当な、戦死を狙ったのだと。
ディストは続けた。
「だから俺は……魔王の手が及ぶ前に、ロニン様を保護したかった。そうする以外に手がなかった」 
つまり、ディストの襲撃は魔王の命令によるものではなく。
ロニンを守るためだけに、独断で、村に訪れようとしただけだったと。
「村人よ。貴様がもし本当に心ある者ならば……お願いしたい。ロニン様を……モンスターの手から、守ってくれ……」
これからどうするか。
ディストを背負いながら、シュンは今後のことに思いを馳せた。
二人を会わせた末、ロニンはどんな決断をするか。
二人で魔王城へと戻るのか。自身の住居に戻るのか。
すこし寂しい気持ちもあるが、それが一番良いだろう。
もともと、シュンとロニンがくっついていること自体がおかしい。
特に、村人たちがロニンの正体に気づくと相当まずいことになる。
そうなる前に、元の生活に戻るのが一番だと思う。
ーーやれやれ、俺もお人好しになったもんだな……
うっすらとした笑みを浮かべつつ、シュンが故郷に向けて歩いていると。
「……村人よ」
唐突に、背中のディストが話しかけてきた。
「貴様はロニン様のことをどこまで知っている?」
「ん? んー、コッペパンが好きなことしか知らねえな」
「コッペパン? なんだそれは」
ディストは不愉快そうに顔を歪めると、さっさと話題を戻した。
「……ロニン様は魔王様のお子だ。もちろん、時期魔王はロニン様が継ぐことになる」
「……なんだ、そんなことかよ」
「話を最後まで聞け」
ディストはまたも不快そうな声を発すると、話を続けた。
「しかしモンスター幹部たちはそうは考えておらん。奴らは自分の子を時期魔王にしようと必死なのだ。みずからの地位を上げるためにな」
シュンはため息をついた。
よくあるお偉いさんの話か。モンスターでもそんな内部争いがあるんだな。
「そんななかで、ひとり有力候補がいてな。そいつは強い。ロニン様よりもずっとな」
「……へぇ」
ディストいわく。
モンスターの世界は弱肉強食。
強い者が頂点に立つ世界。
なのに、その有力候補よりもロニンが時期の魔王になるーー
このことに異を唱える者が多数いるらしい。
魔王自身も、ろくに戦うこともできない娘に嫌気が差してきた節がある。
いまや、モンスターたちの支持はその有力候補に傾いているという。 
「まあ、そりゃそうだろうよ。あのおてんば娘に王が務まるとは思えないぜ?」
「村人よ。これは笑い事ではない」
そして次の瞬間、ディストは驚愕の発言をした。
「いまやロニン様の敵は人間だけではない。あの魔王様すらも、ロニン様の敵なのだ」
「なに……?」
「王族は利権の塊だ。ロニン様の派閥と、有力候補の派閥。そのせいで内部争いが耐えない。魔王はいまも心の休まらない生活をしている。だから……勇者に、殺してもらおうとしたのさ」
「…………」
シュンはなにも答えられなかった。
たしかに、思い当たる節がないこともない。
たとえば、先の勇者との戦い。
魔王はロニンが殺されないために策を講じていたらしいが、それはあまりにガバガバだった。実際にも、ロニンは勇者によって殺されかけていたのだから。
それだけではない。
本当に娘を殺されたくないならば、有能な部下に手助けでもさせてやればいいのだ。
なぜそうしなかったのか。
それはディストの言う通り、戦死に見せかけたかったのだろう。 
王たる者が、堂々と子殺しするわけにはいかない。
だから一番穏当な、戦死を狙ったのだと。
ディストは続けた。
「だから俺は……魔王の手が及ぶ前に、ロニン様を保護したかった。そうする以外に手がなかった」 
つまり、ディストの襲撃は魔王の命令によるものではなく。
ロニンを守るためだけに、独断で、村に訪れようとしただけだったと。
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