ODD
第三十七話 守りたい人
「バルト・イルファ!」
「私もいるわよ」
「ロマ・イルファ。お前らもここに来ていたとはな……」
 
フルは剣を構える。
バルト・イルファはそれを待ちかまえていたかのように、笑い出す。そして、言う。
 
「やはり、君は気づいてないようだね」
「なんだと?」
 
バルト・イルファがまた、ニヤリと笑う。
 
「君は本当に知らないんだね。まあ、いいだろう……」
「なにが言いたい!!」
「別に、何でもないさ。かかってくるがいいよ」
バルト・イルファは指を曲げる。まるで、フルの攻撃を待っているかのように。
 
「……」
 
ヒュン
一瞬の沈黙を破り、フルはバルト・イルファに攻撃を仕掛けた。
10m、5m、3m……距離はどんどん短くなる。だのに、バルト・イルファは防御を、いや、避ける気すらもないようだ。
そして、
ガキン
「シルフェの剣」がバルト・イルファに命中した。
しかし、これと同時に、
パキン
「!?」
 
簡単に「シルフェの剣」が折れてしまった。
 
「なんで!? 万物をも切れるという「究極の剣」が!?」
「まさか……偽物!?」
「やっと、気づいたか。でも、もう遅い」
 
気づくと、バルト・イルファの手の中には剣があった。
それは確かに「シルフェの剣」そのものだった。
 
「いったい、どこで……」
「タイソン・アルバを知っているだろう?」
 
タイソン・アルバ。
リュージュから捜索を依頼されたお尋ね人の錬金術師。
思えば、リュージュの正体を知ったのも、この男が言ったからだ。
 
「それが……どうした」
「タイソン・アルバ。彼はリュージュ様の計画には用済みでねえ……」
 
バルト・イルファは何かを取り出す。
 
「! それは……!!」
 
バルト・イルファが持っていたのはタイソンが被っていた帽子だった。
船長が被る帽子はいつだって離してはならない。
メアリーいわく「それを取られたら、船長はその役目を担うことができない」らしい。
 
「そうだよ。君らは分かっているかもしれないけどさ。タイソン・アルバの船に僕は入っていたんだよ。そして船を燃やし『裏切り者』を消し去った……」
「そして、その時、ちょいと君を弄ぼうと思ってね、この『シルフェの剣』? だっけ? これをすり替えたのさ。かなり厳密にね」
「そんなことはありえない! お前の炎をこの剣は守ってくれた……」
「ハハハ、そんなの造作もない。あれは『知恵の木の実』を利用して作ったにすぎない。バリアだって、僕が木の実を使ってやったまでだよ」
バルト・イルファはフハハと笑った。まるで、RPGのラスボスのように。
「大丈夫だよ。フル、下がってて」
 
ルーシーはまだ頭を抱えているフルに言った。
 
「……わかった。ありがとう」
 
フルはさっと後ろに下がる。
 
「フル」
 
パン
メアリーは手を叩き、大地にあてる。 
同時にフルの周りに土のシールドが広がる。
 
「そんな! メアリー! ルーシー!」
「……あなたは予言の勇者なんでしょ? ここで死んじゃ駄目じゃない」
 
メアリーが言った。
 
「そんな…………」
 
ついにはシールドが完全にふさがった。
 
「さあ、行くわよ。ルーシー」
「うん、メアリー」
「2対2ですか……我々もだいぶなめられたものですね」
「ええ。お兄様」
「「なぶり殺しにしてやろう!!」」
「私もいるわよ」
「ロマ・イルファ。お前らもここに来ていたとはな……」
 
フルは剣を構える。
バルト・イルファはそれを待ちかまえていたかのように、笑い出す。そして、言う。
 
「やはり、君は気づいてないようだね」
「なんだと?」
 
バルト・イルファがまた、ニヤリと笑う。
 
「君は本当に知らないんだね。まあ、いいだろう……」
「なにが言いたい!!」
「別に、何でもないさ。かかってくるがいいよ」
バルト・イルファは指を曲げる。まるで、フルの攻撃を待っているかのように。
 
「……」
 
ヒュン
一瞬の沈黙を破り、フルはバルト・イルファに攻撃を仕掛けた。
10m、5m、3m……距離はどんどん短くなる。だのに、バルト・イルファは防御を、いや、避ける気すらもないようだ。
そして、
ガキン
「シルフェの剣」がバルト・イルファに命中した。
しかし、これと同時に、
パキン
「!?」
 
簡単に「シルフェの剣」が折れてしまった。
 
「なんで!? 万物をも切れるという「究極の剣」が!?」
「まさか……偽物!?」
「やっと、気づいたか。でも、もう遅い」
 
気づくと、バルト・イルファの手の中には剣があった。
それは確かに「シルフェの剣」そのものだった。
 
「いったい、どこで……」
「タイソン・アルバを知っているだろう?」
 
タイソン・アルバ。
リュージュから捜索を依頼されたお尋ね人の錬金術師。
思えば、リュージュの正体を知ったのも、この男が言ったからだ。
 
「それが……どうした」
「タイソン・アルバ。彼はリュージュ様の計画には用済みでねえ……」
 
バルト・イルファは何かを取り出す。
 
「! それは……!!」
 
バルト・イルファが持っていたのはタイソンが被っていた帽子だった。
船長が被る帽子はいつだって離してはならない。
メアリーいわく「それを取られたら、船長はその役目を担うことができない」らしい。
 
「そうだよ。君らは分かっているかもしれないけどさ。タイソン・アルバの船に僕は入っていたんだよ。そして船を燃やし『裏切り者』を消し去った……」
「そして、その時、ちょいと君を弄ぼうと思ってね、この『シルフェの剣』? だっけ? これをすり替えたのさ。かなり厳密にね」
「そんなことはありえない! お前の炎をこの剣は守ってくれた……」
「ハハハ、そんなの造作もない。あれは『知恵の木の実』を利用して作ったにすぎない。バリアだって、僕が木の実を使ってやったまでだよ」
バルト・イルファはフハハと笑った。まるで、RPGのラスボスのように。
「大丈夫だよ。フル、下がってて」
 
ルーシーはまだ頭を抱えているフルに言った。
 
「……わかった。ありがとう」
 
フルはさっと後ろに下がる。
 
「フル」
 
パン
メアリーは手を叩き、大地にあてる。 
同時にフルの周りに土のシールドが広がる。
 
「そんな! メアリー! ルーシー!」
「……あなたは予言の勇者なんでしょ? ここで死んじゃ駄目じゃない」
 
メアリーが言った。
 
「そんな…………」
 
ついにはシールドが完全にふさがった。
 
「さあ、行くわよ。ルーシー」
「うん、メアリー」
「2対2ですか……我々もだいぶなめられたものですね」
「ええ。お兄様」
「「なぶり殺しにしてやろう!!」」
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