ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
58話ー万事休す
「待たせたな、例のものは回収できたか?」
「当たり前だ。何のために我が同胞を犠牲にしてきたと思ってる。方舟の奴らに見つかったのはまずかったが……。余計な犠牲を増やしてしまった」
「トカゲの尻尾は」
「切った。捕らえられたとしても偽の情報をうまく流してくれるだろう」
澪と奏太と呼ばれる本土軍の兵士二人のことだろうが……仲間の命を切り捨ててまで得ようとしたものは……。
「見せろ」
「直接触れるなよ。抜け殻とはいえ、汚染されるぞ」
そう言ってずた袋を引き剥がし、その中のものを露出させた。
現れたのは漆を思わせるほど黒く長い髪だった。
「おい。聞いていた話とは違うぞ。“ステイシス”は白髪のはずだ」
「抜け殻と言ったろう。元々得体の知れん生体兵器だ。外見が変化していてもおかしくはない。さっさと脱出するぞ……この施設が水没するまで時間がない」
(あの機械から出てきたのはあのドミネーターだけじゃなかったのか……?)
自分が今抱えているガーネットは間違いなく本人だ。だとすればあの黒髪の女性はその気配からして同一人物であり、6年後の彼女ということになるが……。
(……!!)
浸水する中潜水艇の様子を見ていたのだが、足になにかぬめりとしたものが巻き付いたのに気付き水面下を覗こうとするが……。
「ぶっ……」
抗って浮いていられないほどの力で水中に引き込まれてしまった。
暗い水中の中、水底に目を向けると無数の赤い光が点在している。
まだ肥大を続ける成れの果ての触腕が自分を水中に引き込んだのだと理解するのに時間はかからなかった。
突然水中に引きずり込まれたため息ができず、海水を飲んでしまったガーネットが驚いて大量の空気を吐いてしまった。
慌てて取り出した小型酸素ボンベだったが、パニックに陥って暴れたガーネットの手に当たり取り落としてしまう。
ステイシスデータ内の重要事項によると、ガーネットは水中でも一時間は息を止めて活動できるとあったが……流石に水を気管に入れてしまうと苦しいのだろう。
雛樹はより深く水中に引きずり込まれながらもガーネットの頭を抱えるようにして押さえ込む。
「……」
ある程度そのままでいると落ち着いてきたのか、雛樹の成すがままになっていた。
視界の端で本土軍の潜水艇が急速潜行していくのが確認できた。
逃してはならないとわかってはいるがあの高速潜水艇を現状追うのは間違いなく不可能だ。
現在進行形で採掘シャフトに海水が満たされていっているため、水圧が己の体を蝕んでいく。
息もそろそろ限界だ……万事休すか。
そう考えそうになったその時。
黒い装甲が頭上から投下されたのを確認した。
(ベリオノイズ……!)
フォトンノイドではなく、グレアノイドコアを載せた夜刀神PMC自慢のポンコツ二脚機甲。
それが海中に飛び込んできたのだ。
「当たり前だ。何のために我が同胞を犠牲にしてきたと思ってる。方舟の奴らに見つかったのはまずかったが……。余計な犠牲を増やしてしまった」
「トカゲの尻尾は」
「切った。捕らえられたとしても偽の情報をうまく流してくれるだろう」
澪と奏太と呼ばれる本土軍の兵士二人のことだろうが……仲間の命を切り捨ててまで得ようとしたものは……。
「見せろ」
「直接触れるなよ。抜け殻とはいえ、汚染されるぞ」
そう言ってずた袋を引き剥がし、その中のものを露出させた。
現れたのは漆を思わせるほど黒く長い髪だった。
「おい。聞いていた話とは違うぞ。“ステイシス”は白髪のはずだ」
「抜け殻と言ったろう。元々得体の知れん生体兵器だ。外見が変化していてもおかしくはない。さっさと脱出するぞ……この施設が水没するまで時間がない」
(あの機械から出てきたのはあのドミネーターだけじゃなかったのか……?)
自分が今抱えているガーネットは間違いなく本人だ。だとすればあの黒髪の女性はその気配からして同一人物であり、6年後の彼女ということになるが……。
(……!!)
浸水する中潜水艇の様子を見ていたのだが、足になにかぬめりとしたものが巻き付いたのに気付き水面下を覗こうとするが……。
「ぶっ……」
抗って浮いていられないほどの力で水中に引き込まれてしまった。
暗い水中の中、水底に目を向けると無数の赤い光が点在している。
まだ肥大を続ける成れの果ての触腕が自分を水中に引き込んだのだと理解するのに時間はかからなかった。
突然水中に引きずり込まれたため息ができず、海水を飲んでしまったガーネットが驚いて大量の空気を吐いてしまった。
慌てて取り出した小型酸素ボンベだったが、パニックに陥って暴れたガーネットの手に当たり取り落としてしまう。
ステイシスデータ内の重要事項によると、ガーネットは水中でも一時間は息を止めて活動できるとあったが……流石に水を気管に入れてしまうと苦しいのだろう。
雛樹はより深く水中に引きずり込まれながらもガーネットの頭を抱えるようにして押さえ込む。
「……」
ある程度そのままでいると落ち着いてきたのか、雛樹の成すがままになっていた。
視界の端で本土軍の潜水艇が急速潜行していくのが確認できた。
逃してはならないとわかってはいるがあの高速潜水艇を現状追うのは間違いなく不可能だ。
現在進行形で採掘シャフトに海水が満たされていっているため、水圧が己の体を蝕んでいく。
息もそろそろ限界だ……万事休すか。
そう考えそうになったその時。
黒い装甲が頭上から投下されたのを確認した。
(ベリオノイズ……!)
フォトンノイドではなく、グレアノイドコアを載せた夜刀神PMC自慢のポンコツ二脚機甲。
それが海中に飛び込んできたのだ。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
52
-
-
34
-
-
52
-
-
20
-
-
0
-
-
157
-
-
1978
-
-
75
-
-
969
コメント