ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第2節4部ー復帰、出社ー
ひらひらと袖を振って見せたステイシスに、葉月はさらに驚愕の言葉を発すが雛樹は聞き取れないでいた。ひどい取り乱しようだ。
ただ、兵器局局長からの話を聞いて急いで連絡をしてきたということだけはわかったのだが……。
ひとしきり騒いだ後、葉月は企業連から送られてきたであろう依頼の発注画面を、展開したホログラムモニターでヒナキに見せた。
《ほんとうに受注してもいいの!?》
「ん、高部さんとは話ししてあるし……もうすでに依頼を受けたも同然だからさ」
それを聞くと、葉月は受注アイコンをタッチし、依頼は正式に受理されたこととなった。この時点で、事務所地下にある機体の補修は可能となった。話によると、修繕費用が整った場合、センチュリオンノアのグレアノイド研究機関にて、漏れ出たグレアノイドによる侵食箇所を除去、動力源であるグレアノイドジェネレーターをオーバーホールさせる算段らしい。
機体の修繕とは別に費用がかかるが、それも兵器局から出されるとのことだ。
《うん、修繕の目処がついたわ。棚から牡丹餅……というには少し酷な状況ではあるけれど、資金面では楽できそうね》
「そりゃよかった。でも一つ問題ができたな」
《何?》
「こいつはとんでもない箱入りだったみたいで、一人でお留守番させられない」
「あー、バカにしてるぅ。捥ぐわよぅ?」
へらへらと笑いながらソファーに寝転がっているステイシスにそんなことを言われたものだから、雛樹は警戒し、どこか構えた様子で葉月と話す。
《でもそうね……ステイシスをこちらに預けるということだから、一緒に来てもらっても構わないわよね。でも、その容姿と格好じゃどうしても目立っちゃうから……》
「……?」
目立つからどうしろというのか。雛樹が明日から出勤できると言うと、葉月は「じゃあ用意して待ってるわ」とだけ言った。
何を用意するのかは知らないが、とにかくこれでステイシスを夜刀神民間軍事会社へ連れていくことはできるようになったみたいだ。
…………………………
そして、翌日。雛樹とステイシスは朝10時にこの家を出た。
小さな車庫に収められていた、二人乗り用のスクーターに乗って。
本土で暮らしていた雛樹は下手に空を飛ぶ乗り物より、タイヤで走る乗り物の方が扱いやすいだろうということで高部総一郎が用意したのだろう。
少し湿った涼しい風と、それに乗ってやってくる牧草の香りがなんとも心地いい。舗装されていない道を走るのは慣れているため、雛樹はなんのためらいなくアクセルを回して丘陵地のど真ん中を走っていく。
「ねぇ、どこ行くのぉ? アルマ、まだねむいわよぅ……」
「それがたっぷり12時間寝た奴が言うセリフか! 昨日連絡を取ってた人のとこだ。会社だよ会社」
「かいしゃ……面白いとこぉ?」
「さぁ、どうだろうな」
ただ、兵器局局長からの話を聞いて急いで連絡をしてきたということだけはわかったのだが……。
ひとしきり騒いだ後、葉月は企業連から送られてきたであろう依頼の発注画面を、展開したホログラムモニターでヒナキに見せた。
《ほんとうに受注してもいいの!?》
「ん、高部さんとは話ししてあるし……もうすでに依頼を受けたも同然だからさ」
それを聞くと、葉月は受注アイコンをタッチし、依頼は正式に受理されたこととなった。この時点で、事務所地下にある機体の補修は可能となった。話によると、修繕費用が整った場合、センチュリオンノアのグレアノイド研究機関にて、漏れ出たグレアノイドによる侵食箇所を除去、動力源であるグレアノイドジェネレーターをオーバーホールさせる算段らしい。
機体の修繕とは別に費用がかかるが、それも兵器局から出されるとのことだ。
《うん、修繕の目処がついたわ。棚から牡丹餅……というには少し酷な状況ではあるけれど、資金面では楽できそうね》
「そりゃよかった。でも一つ問題ができたな」
《何?》
「こいつはとんでもない箱入りだったみたいで、一人でお留守番させられない」
「あー、バカにしてるぅ。捥ぐわよぅ?」
へらへらと笑いながらソファーに寝転がっているステイシスにそんなことを言われたものだから、雛樹は警戒し、どこか構えた様子で葉月と話す。
《でもそうね……ステイシスをこちらに預けるということだから、一緒に来てもらっても構わないわよね。でも、その容姿と格好じゃどうしても目立っちゃうから……》
「……?」
目立つからどうしろというのか。雛樹が明日から出勤できると言うと、葉月は「じゃあ用意して待ってるわ」とだけ言った。
何を用意するのかは知らないが、とにかくこれでステイシスを夜刀神民間軍事会社へ連れていくことはできるようになったみたいだ。
…………………………
そして、翌日。雛樹とステイシスは朝10時にこの家を出た。
小さな車庫に収められていた、二人乗り用のスクーターに乗って。
本土で暮らしていた雛樹は下手に空を飛ぶ乗り物より、タイヤで走る乗り物の方が扱いやすいだろうということで高部総一郎が用意したのだろう。
少し湿った涼しい風と、それに乗ってやってくる牧草の香りがなんとも心地いい。舗装されていない道を走るのは慣れているため、雛樹はなんのためらいなくアクセルを回して丘陵地のど真ん中を走っていく。
「ねぇ、どこ行くのぉ? アルマ、まだねむいわよぅ……」
「それがたっぷり12時間寝た奴が言うセリフか! 昨日連絡を取ってた人のとこだ。会社だよ会社」
「かいしゃ……面白いとこぉ?」
「さぁ、どうだろうな」
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