ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第2節5部ー破壊姫ー
タンデムシートに跨ったステイシスは、時折立ったりシートに足を乗せてしゃがみ、後ろを向いてみたりと器用な落ち着きのなさを見せていた。
普通ならば落ちるのが怖いはずだが、彼女の身体能力はその程度、全くものともしないくらい高いらしい。
「街へ行ったら、ちゃんと寝巻きと下着買わないといけないな!」
「いらないわよぅ」
「いらないわけないだろ。そもそもなんで下着履いてないんだ? そんな露出度の高い服でさ!」
「これが普通だったしぃ」
今日の朝、起きた時に雛樹は絶句した。寝るときはしっかり別々のベッドに入ったはずだったのだが、何か重くて柔らかいものが上に乗っている苦しさで目覚めた時。
なんとステイシスが自分の上に覆いかぶさるようにして寝ていたのだ。
随分気持ちよさそうに涎を垂らしながら。
まあ、そこまではよかったのだ。家の中を見回る際にすら、後ろをピッタリついてきた彼女のことだ。何か心細さを感じてこっちのベッドにきたというのなら仕方のないことだ。
ただ、起床時間なので起こしてやると、ステイシスは眠たがりながらも上半身を起こした。その時、哀れにも乱れた拘束衣は、衣の役割を果たしておらず、まあ、色々とみえてしまったわけだ。
「見えたところで特に問題なかったしぃ」
「これからは問題だよ。下着くらいは履け」
「えぇ……めんどくさぁい」
そこからはもう何も言わせず、さっさと目的地へ向かった。小排気量かつ、小型のスクーターとはいえ、徒歩なんかよりは遥かに早い。20分程度で夜刀神PMC事務所へ到着してしまった。
「ここに入るのぉ?」
「そうだよ。ああ、気をつけろよその扉……」
とんでもない勢いで開く、厄介なものだからと言う前に、ステイシスは興味津々な様子で扉に手をかけていた。
そして、例外なく殺しにくる勢いでこちら側へ開いてきた扉が……。
「んっ」
大した反応も見せず、凄まじい速さで後ろ回し蹴りを放ったステイシスによって粉砕された。
呆気に取られた雛樹は自らに当たる扉の破片の痛みを感じつつ、ざまあと一言。
「くひひ、なぁにぃ? いきなり楽しませてくれるのぉ?」
愉快そうに笑いながら、事務所に入っていくステイシスの後を追うようにして、雛樹も急ぎ足で入っていった。
「っな、なになに!? なんで扉が……!」
「はろぉ。えーと、はづきだっけぇ?」
「うわあ! 本当にステイシスじゃない! 本当に来た! 本当に来たんだけど祠堂君!!」
「だから来るって言ってただろ。つってもただの露出狂だぞこいつ……」
「あっはぁ、ろしゅつきょーってなぁに?」
満面の笑みを浮かべ大きく腰を折って、下から見上げるような大勢で雛樹にそう問いかけたステイシスだったが、はぐらかされてむくれてしまった。
「あの暴力扉吹っ飛んだからもう直すしかないな。悪い」
「祠堂君、悪いと思ってるならもう少しそれらしい顔したほうがいいわよ……」
清々したという表情は謝罪には向かないが、実際あの扉には何度か世話になっているためにほくそ笑むのをやめられるわけがなかった。
普通ならば落ちるのが怖いはずだが、彼女の身体能力はその程度、全くものともしないくらい高いらしい。
「街へ行ったら、ちゃんと寝巻きと下着買わないといけないな!」
「いらないわよぅ」
「いらないわけないだろ。そもそもなんで下着履いてないんだ? そんな露出度の高い服でさ!」
「これが普通だったしぃ」
今日の朝、起きた時に雛樹は絶句した。寝るときはしっかり別々のベッドに入ったはずだったのだが、何か重くて柔らかいものが上に乗っている苦しさで目覚めた時。
なんとステイシスが自分の上に覆いかぶさるようにして寝ていたのだ。
随分気持ちよさそうに涎を垂らしながら。
まあ、そこまではよかったのだ。家の中を見回る際にすら、後ろをピッタリついてきた彼女のことだ。何か心細さを感じてこっちのベッドにきたというのなら仕方のないことだ。
ただ、起床時間なので起こしてやると、ステイシスは眠たがりながらも上半身を起こした。その時、哀れにも乱れた拘束衣は、衣の役割を果たしておらず、まあ、色々とみえてしまったわけだ。
「見えたところで特に問題なかったしぃ」
「これからは問題だよ。下着くらいは履け」
「えぇ……めんどくさぁい」
そこからはもう何も言わせず、さっさと目的地へ向かった。小排気量かつ、小型のスクーターとはいえ、徒歩なんかよりは遥かに早い。20分程度で夜刀神PMC事務所へ到着してしまった。
「ここに入るのぉ?」
「そうだよ。ああ、気をつけろよその扉……」
とんでもない勢いで開く、厄介なものだからと言う前に、ステイシスは興味津々な様子で扉に手をかけていた。
そして、例外なく殺しにくる勢いでこちら側へ開いてきた扉が……。
「んっ」
大した反応も見せず、凄まじい速さで後ろ回し蹴りを放ったステイシスによって粉砕された。
呆気に取られた雛樹は自らに当たる扉の破片の痛みを感じつつ、ざまあと一言。
「くひひ、なぁにぃ? いきなり楽しませてくれるのぉ?」
愉快そうに笑いながら、事務所に入っていくステイシスの後を追うようにして、雛樹も急ぎ足で入っていった。
「っな、なになに!? なんで扉が……!」
「はろぉ。えーと、はづきだっけぇ?」
「うわあ! 本当にステイシスじゃない! 本当に来た! 本当に来たんだけど祠堂君!!」
「だから来るって言ってただろ。つってもただの露出狂だぞこいつ……」
「あっはぁ、ろしゅつきょーってなぁに?」
満面の笑みを浮かべ大きく腰を折って、下から見上げるような大勢で雛樹にそう問いかけたステイシスだったが、はぐらかされてむくれてしまった。
「あの暴力扉吹っ飛んだからもう直すしかないな。悪い」
「祠堂君、悪いと思ってるならもう少しそれらしい顔したほうがいいわよ……」
清々したという表情は謝罪には向かないが、実際あの扉には何度か世話になっているためにほくそ笑むのをやめられるわけがなかった。
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