ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第4部22部ー旧式機対現行機ー
操縦桿を握る自分の手の上に重ねるように、ガーネットの手が置かれて操縦をアシストしてくれていた。
随分と上手く動かさせてくれるものだ。力を抜いてガーネットの動きに身を任せていると、機体がまるで生きているかのように自然に動いていく。
「変に力入れないことぉ。ほら、バランス崩しそうだからってそんな力入れちゃ転けるわよぅ。これ、古いからオートバランサーなんてついてないんだからぁ」
そう、この雛樹の機体には自動姿勢制御システムが搭載されていない。全ての動きはパイロット自身で決定するものであり、現行機のようにシステムアシストが加わり、パイロットの操縦を助ける機能が付いていないのだ。
そのため、操縦を間違えば瞬く間に転倒する。段差に躓く、ライフルを撃つのにも、照準アシストがつかないのだ。
全てパイロット依存の機体のため、扱いが難しい。
「思ったより難しいんだな……。お前がいてよかったよ。ガーネット」
「はぁー? あによういきなりぃ。もーほんと頼りない男ぉ。ばぁか」
と、言いつつどこか自慢げで嬉しそうだ。こんな状態でもなければ頭を撫でてやりたかったが……そうもいかない。
外付けのレーダーに反応が1。ここへ上陸していた他企業の二脚機甲のようだ。
「なぁに。味方ぁ?」
「だとしても、なんの用なんだ? まっすぐこっちへ向かってきてるようだけど……」
「通信繋ごうとしてもだめねぇ。……様子がおかしいわぁ」
森の中をまっすぐ、こちらへ向かって進んできている。敵か味方かの識別コードは、この機体にインプットされていないため何者かわからない。
念のため、ガーネットは向かってくる二脚機甲と向き合うように機体を操縦した。
木々を倒しながら、まっすぐ向かってきているその向こうから、幾つかのマズルフラッシュ。
「ぐわぁ!!」
ガーネットが無言で機体を無理やり操縦した。
側面のスラスターを使用しての横滑り回避。
とんでもない重力負荷が、気を抜いていた雛樹にかかり、操縦席の壁で頭を打ち付けてしまった。
向かってきた二脚機甲から放たれた銃弾は雛樹の機体に直撃することなく、背後の木々に当たり、そのゴツい幹を爆ぜさせた。
「なぁに、やる気ぃ?」
「なっ、なんなんだいきなり!」
「撃ってきたわよぉ、あいつ!!」
回避した機体を狙って、銃撃を加えてきた。ガーネットが握る雛樹の手に力が入る。
異常な出力を持つ、この機体の推進機関をもってすれば、回避することはたやすい。
安物の実弾銃など、当たるわけがない。
「しどぉ、やっちゃうわよぉ、あれぇ」
「ああ。迎え撃つしかなさそうだッ」
突然の襲撃に、ガーネットは全く焦る様子を見せず、モニターに搭載兵器を表示させた。
「戦闘に特化したシステムに切り替えるわよぉ? ちゃんとやり方覚えなさぁい」
「いや……切り替えるならもっとふつうのやり方で!!」
「とろとろしてらんないわ。これくらいできるようになりなさいよぅ」
コクピットにある機器をいじり、あらゆるシステムを戦闘に有利なよう設定していく。
レーダー範囲を極限まで縮小し、反応速度を向上。原動機の出力を上げて、スラスターへ回せるエネルギーの底上げ。
搭載兵器への弾薬供給やエネルギー供給など、複数の設定を手動で……しかも一瞬で終わらせてしまった。
と、いうのも、己の髪を赤い物質化光へ変え、まるで己の手のように操り本来ならばありえないほどの処理速度を実現していたのだ。
「なんか……蜘蛛みたいだな」
「キモいものにたとえないでよぅ。あとでビンタぁ」
随分と上手く動かさせてくれるものだ。力を抜いてガーネットの動きに身を任せていると、機体がまるで生きているかのように自然に動いていく。
「変に力入れないことぉ。ほら、バランス崩しそうだからってそんな力入れちゃ転けるわよぅ。これ、古いからオートバランサーなんてついてないんだからぁ」
そう、この雛樹の機体には自動姿勢制御システムが搭載されていない。全ての動きはパイロット自身で決定するものであり、現行機のようにシステムアシストが加わり、パイロットの操縦を助ける機能が付いていないのだ。
そのため、操縦を間違えば瞬く間に転倒する。段差に躓く、ライフルを撃つのにも、照準アシストがつかないのだ。
全てパイロット依存の機体のため、扱いが難しい。
「思ったより難しいんだな……。お前がいてよかったよ。ガーネット」
「はぁー? あによういきなりぃ。もーほんと頼りない男ぉ。ばぁか」
と、言いつつどこか自慢げで嬉しそうだ。こんな状態でもなければ頭を撫でてやりたかったが……そうもいかない。
外付けのレーダーに反応が1。ここへ上陸していた他企業の二脚機甲のようだ。
「なぁに。味方ぁ?」
「だとしても、なんの用なんだ? まっすぐこっちへ向かってきてるようだけど……」
「通信繋ごうとしてもだめねぇ。……様子がおかしいわぁ」
森の中をまっすぐ、こちらへ向かって進んできている。敵か味方かの識別コードは、この機体にインプットされていないため何者かわからない。
念のため、ガーネットは向かってくる二脚機甲と向き合うように機体を操縦した。
木々を倒しながら、まっすぐ向かってきているその向こうから、幾つかのマズルフラッシュ。
「ぐわぁ!!」
ガーネットが無言で機体を無理やり操縦した。
側面のスラスターを使用しての横滑り回避。
とんでもない重力負荷が、気を抜いていた雛樹にかかり、操縦席の壁で頭を打ち付けてしまった。
向かってきた二脚機甲から放たれた銃弾は雛樹の機体に直撃することなく、背後の木々に当たり、そのゴツい幹を爆ぜさせた。
「なぁに、やる気ぃ?」
「なっ、なんなんだいきなり!」
「撃ってきたわよぉ、あいつ!!」
回避した機体を狙って、銃撃を加えてきた。ガーネットが握る雛樹の手に力が入る。
異常な出力を持つ、この機体の推進機関をもってすれば、回避することはたやすい。
安物の実弾銃など、当たるわけがない。
「しどぉ、やっちゃうわよぉ、あれぇ」
「ああ。迎え撃つしかなさそうだッ」
突然の襲撃に、ガーネットは全く焦る様子を見せず、モニターに搭載兵器を表示させた。
「戦闘に特化したシステムに切り替えるわよぉ? ちゃんとやり方覚えなさぁい」
「いや……切り替えるならもっとふつうのやり方で!!」
「とろとろしてらんないわ。これくらいできるようになりなさいよぅ」
コクピットにある機器をいじり、あらゆるシステムを戦闘に有利なよう設定していく。
レーダー範囲を極限まで縮小し、反応速度を向上。原動機の出力を上げて、スラスターへ回せるエネルギーの底上げ。
搭載兵器への弾薬供給やエネルギー供給など、複数の設定を手動で……しかも一瞬で終わらせてしまった。
と、いうのも、己の髪を赤い物質化光へ変え、まるで己の手のように操り本来ならばありえないほどの処理速度を実現していたのだ。
「なんか……蜘蛛みたいだな」
「キモいものにたとえないでよぅ。あとでビンタぁ」
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