最強は絶対、弓矢だろ!
あ?進まないって?
☆☆☆
翌朝のことである。
不眠のために重たい瞼を開けたまま、グルグルと辺りを見回す。
直ぐ隣には整備された道があり、俺たちは川の近くにある気が何本か生えた茂みにいた。
燃えカスしかない火の元の近くで気持ち良さげに肩を並べてシールとエルフィアが眠っている。
ディースは器用なことに人一人が座れるくらいの岩の上に胡座をかいた姿勢で眠っていた。
レシアもかなりギリギリまで起きていたのだが、ハニーが眠ったのを見ると同時に限界を迎えたようで木に背を預け、自身の相棒である剣を抱えて寝ている。
そして、問題のハニー・ハニー・ロンドスタッフは日の出始めに起き、寝ずの番をしていた俺を見るや否やコロコロと笑って言った。
「ほほほ。優しいのじゃなーお主は」
急に何だと、俺は眉を寄せた。
ハニーはそれでもコロコロと笑って見せ、そこに意味がないと分かった。優しいと言ったハニーの言葉は、何の変哲もない。ただの世辞だ。
だから俺は肩を竦めて言った。
「だろ?だから感謝しろよな」
ふっとドヤ顔で言うと、ハニーはキョトンとしてから大笑いした。
くだらねぇことこの上ない。
俺は釘を刺す意味を含めて、昨日の話を混じえてさらに続けた。
「てめぇがエルフィアの先生で、エルフィアの危機を知ってこうやって駆け付けたっていうてめぇの話を信じるにせよだ。俺にはそれだけにゃあ感じねぇな」
「……ふぅむ」
ハニーは腕を組んで考え込む素振りを見せる。俯いた表情が何を浮かべているのかは伺えない。
ハニーを注視していると、ハニーは安心しろとばかりにエルフィアを優しげな眼差しで見つめながら口を開く。
「儂は、なーんにも考えてないのじゃよ。エルから王位継承争いで、伝説の武器の収集を始めたと聞いたのは半年前の話じゃ……。エルは昔から王宮では肩身の狭い思いしておってのぉ、上の二人のどちらかが王となるのが前提として、いつどこの誰に嫁がせるか……そんな話ばかりがエルの下に舞い込んだものじゃ」
そう話すハニーの拳ハニーは強く握りしめられ、言葉にした後に下唇を噛んでいた。その表情に偽りはなく、悔しさや嫌悪を感じた。
だが、やがてハニーは全身から力をふっと抜いて自分の片腕を抱くようにして続ける。
「じゃが、現国王が王位継承に伝説の武器の収集を条件にしおった。そのせいで、エルにも国王となれる機会が出てきおった……」
「が、エルフィアは傀儡王としては意志がしっかりし過ぎた。良き王としてはカリスマ的な能力もねぇ……だから結局王宮内では味方もいねぇまま、戦いが始まったわけだな」
俺が言うと、ハニーは肩を竦めるだけで何も答えはしなかった。
だが、大体分かったことがある。ハニー・ハニー・ロンドスタッフは八割方敵じゃない。レシアが眠りこけるくらいには……。
ふと、レシアへ目を向けると長く綺麗な金髪の隙間からレシアの光る瞳が垣間見えた。
起きてたかよ……。
ハニーはエルフィアに目を向けたまま口を開いた。
「お主の言う通りじゃよ。エルは王としての資質はほとんど持ち合わせていない割に、理想は高く頑固なものじゃ」
「昔からか?」
「うむ。それはもう手に負えんかったー。正直、後悔しておるよ。この国を離れず、ずっとエルの側についておれば……とな」
「なんで離れたんだ?」
ふと気になって尋ねる。早朝の張り詰めた空気を切り裂くように、その問いはハニーにとってはかなり苦しいものだったようだ。
ハニーは苦渋面で答えた。
「あんの忌々しい大臣共が、エルの近くにおる儂が邪魔だったのじゃろーな……儂を亡き者にしようと影でコソコソと策を練っていたようじゃ」
「じゃ、その様子なら大丈夫だったみてぇだな」
「当然じゃ!儂は泣く子も笑う大魔法使いじゃよ〜?」
「良い魔法使いだな」
「じゃろ?もっと褒めてもいいのじゃよ?」
「アホか」
調子のいい奴だ。
☆☆☆
レシアが寝たふりから起き上がると、それに続くようにしてディースとシールも目を覚ます。そして、最後にお寝坊なエルフィアをシールが優しく肩を揺すって起こしてやると、エルフィアは目をこすりながら起き上がった。
「うぅん……おはよう、みんな……あれ?」
と、一人増えていることに気がついたようでエルフィアは眠気が飛んだのか目を見開いてハニーのことを見ている。
ハニーは少し照れ臭そうに頬を掻きながら、はにかみながら言った。
「ほほほ。やーやー久しぶりじゃの〜エル〜」
「え……その、呼び方……それにその喋り方……もしかして、せ先生?」
「うむ〜エルの大好きな先生じゃっ!?」
ハニーがまた調子のいいことを言うなぁと、呆れ果てて見ていたところでエルフィアが唐突にハニーの胸に飛び込み、胸に挟まるように顔を埋め、胸に顔を押し当てるようにハニーに抱き着いた。
それに俺とディースが目ざとく反応するとレシアに睨まれたので口笛を吹いて誤魔化した。
別にやましいことなんて考えちゃいない。うん、師弟の再会って感動的だぜぇ……な?
 
俺は視線だけシールに向けて同意を求めると、シールは困ったように笑う。
「先生!お会いしたかった…。ずっとずっと会いたかったです!急にいなくなってしまうから……大臣達が先生はもういないって言われて……」
「そんな世迷言を信じたのかえ?儂があんな下衆にどうこうされると?」
「そんなことありません!先生は必ず生きていっしゃると信じていました!」
エルフィアは涙目でハニーを見上げるようにその顔を見つめる。ハニーはそんなエルフィアの反応がどこか擽ったいのか、嬉しいようにはにかんでいた。
俺は仲睦まじくしている二人を見て、レシアへ視線を移す。レシアも二人を写していた瞳を俺に移し、頷いた。
エルフィアの様子を見て、信用できると考えたのだろう。実力も申し分ないことは知っている。
 
「うむ!なんだか知らぬが、とても良い話であるな!ガッハッハッハッ!」
「うぅ……お嬢様、よかったですね……」
ディースは笑い、シールは嬉し泣き……なんか混沌としてきた。
俺は場を仕切り直すつもりで咳を払い、全員の注目を俺に向けてから口火を切った。
「まあ、なんでもいいがな。こんなとこでいつまでも居らんねぇだろ。このまま道沿いに王都に行くんだな?」
「うん。そのつもり」
エルフィアはハニーから離れ、目尻に浮かぶ涙を拭きつつ答えた。だが、それを遮るようにしてハニーが口を開く。
「待つのじゃ。この先道沿いに王都へ向かうのは良くないと思うのじゃが」
「どうしてですか?先生」
「うむ。儂は王都からここへ来たのじゃがな。そもそも、儂がこっちへ来たのはエルフィア達がこっちに居るという話を聞いたからじゃ」
ハニーの話を聞き、俺はレシアと顔を見合わせる。
なるほどな。
つまり、俺たちがこのまま王都へ向かうと第一王子か第二王子派閥の人間が待ち構えているって話か。だが、どちらにしても俺たちがしる限りではザオスにしても、アルファスにしても早すぎる。
早馬で行ったとして、ハニーがそれを知って俺たちのところまでやって来て出会った時間を考えてギリギリか。
「何か特別な連絡手段があんのか……」
「或いは、特別な移動法でしょう」
どちらにしても厄介だ。
俺とレシアは互いに視線をハニーへと向ける。ハニーは俺たちの視線を受け、察したようにして言った。
「転移魔法じゃろーな……刻印魔法ならば誰でもお手軽に超高難易度という転移魔法が扱えるようになるからのぉ〜。じゃが、転移魔法の刻印を記せるのは転移魔法が使える魔法使いだけじゃ」
ハニーがそこまで言うと、レシアが割って入るように口を挟む。
「王国で転移魔法が使えるのは王宮魔法使いのシャンバリン様だけです。シャンバリン様は……第一王子殿下の派閥です」
「アルファス……だな?」
あのジィさん……用意周到じゃねぇか。さすがとしか言えねぇ。
俺の答えにレシアが頷き、それに続いてシールが問いかけた。
「それじゃあ……王都に行けないっていうこと?」
首を傾げて問いかけるシールに対し、レシアは首を振って答える。
「いえ。街道を逸れたところにフィジン大森林という森があります。そこ抜けて西へ向かうと王都の東門に」
「張られてんなら、どっから入っても仕方なくねぇか?」
レシアの言葉にそう返すと、ディースがいつもの大笑いをしながら言った。
「ガッハッハッハッ!とはいえ、このまま行っても仕方がないのである。ここは行くのが吉であるぞ!ロア殿!」
「そうじゃな〜。どーせ、ここにいても始まるまいて〜」
「えっと……僕もレシアと同じこと考えてたからさ。それが一番だと思う」
「シールと先生がそう言うなら、私もいいと思うの」
「では決まりで」
ディースに続いて、俺以外の奴らが全員賛同した。
いや待て、俺の意見を聞いてないだろ。
「おいおいおい?俺の意見はどーなってんだ?」
「……一応聞きましょう」
一応ってなんだ。
俺は頬を引攣らせ、レシアを睨む。だがレシアは素知らぬ振りで、俺はイラっとしつつも落ち着いて我が崇高なる策を放った。
「ここは絶対、正面突破だろ!」
…………。
「それではフィジン大森林へ向かいましょう」
「了解なのじゃ〜」
「腕が鳴るのである!」
「ではお嬢様は僕の後ろへ」
「うん。ありがとう、シール」
てめぇらマジで覚えてろよ……。
翌朝のことである。
不眠のために重たい瞼を開けたまま、グルグルと辺りを見回す。
直ぐ隣には整備された道があり、俺たちは川の近くにある気が何本か生えた茂みにいた。
燃えカスしかない火の元の近くで気持ち良さげに肩を並べてシールとエルフィアが眠っている。
ディースは器用なことに人一人が座れるくらいの岩の上に胡座をかいた姿勢で眠っていた。
レシアもかなりギリギリまで起きていたのだが、ハニーが眠ったのを見ると同時に限界を迎えたようで木に背を預け、自身の相棒である剣を抱えて寝ている。
そして、問題のハニー・ハニー・ロンドスタッフは日の出始めに起き、寝ずの番をしていた俺を見るや否やコロコロと笑って言った。
「ほほほ。優しいのじゃなーお主は」
急に何だと、俺は眉を寄せた。
ハニーはそれでもコロコロと笑って見せ、そこに意味がないと分かった。優しいと言ったハニーの言葉は、何の変哲もない。ただの世辞だ。
だから俺は肩を竦めて言った。
「だろ?だから感謝しろよな」
ふっとドヤ顔で言うと、ハニーはキョトンとしてから大笑いした。
くだらねぇことこの上ない。
俺は釘を刺す意味を含めて、昨日の話を混じえてさらに続けた。
「てめぇがエルフィアの先生で、エルフィアの危機を知ってこうやって駆け付けたっていうてめぇの話を信じるにせよだ。俺にはそれだけにゃあ感じねぇな」
「……ふぅむ」
ハニーは腕を組んで考え込む素振りを見せる。俯いた表情が何を浮かべているのかは伺えない。
ハニーを注視していると、ハニーは安心しろとばかりにエルフィアを優しげな眼差しで見つめながら口を開く。
「儂は、なーんにも考えてないのじゃよ。エルから王位継承争いで、伝説の武器の収集を始めたと聞いたのは半年前の話じゃ……。エルは昔から王宮では肩身の狭い思いしておってのぉ、上の二人のどちらかが王となるのが前提として、いつどこの誰に嫁がせるか……そんな話ばかりがエルの下に舞い込んだものじゃ」
そう話すハニーの拳ハニーは強く握りしめられ、言葉にした後に下唇を噛んでいた。その表情に偽りはなく、悔しさや嫌悪を感じた。
だが、やがてハニーは全身から力をふっと抜いて自分の片腕を抱くようにして続ける。
「じゃが、現国王が王位継承に伝説の武器の収集を条件にしおった。そのせいで、エルにも国王となれる機会が出てきおった……」
「が、エルフィアは傀儡王としては意志がしっかりし過ぎた。良き王としてはカリスマ的な能力もねぇ……だから結局王宮内では味方もいねぇまま、戦いが始まったわけだな」
俺が言うと、ハニーは肩を竦めるだけで何も答えはしなかった。
だが、大体分かったことがある。ハニー・ハニー・ロンドスタッフは八割方敵じゃない。レシアが眠りこけるくらいには……。
ふと、レシアへ目を向けると長く綺麗な金髪の隙間からレシアの光る瞳が垣間見えた。
起きてたかよ……。
ハニーはエルフィアに目を向けたまま口を開いた。
「お主の言う通りじゃよ。エルは王としての資質はほとんど持ち合わせていない割に、理想は高く頑固なものじゃ」
「昔からか?」
「うむ。それはもう手に負えんかったー。正直、後悔しておるよ。この国を離れず、ずっとエルの側についておれば……とな」
「なんで離れたんだ?」
ふと気になって尋ねる。早朝の張り詰めた空気を切り裂くように、その問いはハニーにとってはかなり苦しいものだったようだ。
ハニーは苦渋面で答えた。
「あんの忌々しい大臣共が、エルの近くにおる儂が邪魔だったのじゃろーな……儂を亡き者にしようと影でコソコソと策を練っていたようじゃ」
「じゃ、その様子なら大丈夫だったみてぇだな」
「当然じゃ!儂は泣く子も笑う大魔法使いじゃよ〜?」
「良い魔法使いだな」
「じゃろ?もっと褒めてもいいのじゃよ?」
「アホか」
調子のいい奴だ。
☆☆☆
レシアが寝たふりから起き上がると、それに続くようにしてディースとシールも目を覚ます。そして、最後にお寝坊なエルフィアをシールが優しく肩を揺すって起こしてやると、エルフィアは目をこすりながら起き上がった。
「うぅん……おはよう、みんな……あれ?」
と、一人増えていることに気がついたようでエルフィアは眠気が飛んだのか目を見開いてハニーのことを見ている。
ハニーは少し照れ臭そうに頬を掻きながら、はにかみながら言った。
「ほほほ。やーやー久しぶりじゃの〜エル〜」
「え……その、呼び方……それにその喋り方……もしかして、せ先生?」
「うむ〜エルの大好きな先生じゃっ!?」
ハニーがまた調子のいいことを言うなぁと、呆れ果てて見ていたところでエルフィアが唐突にハニーの胸に飛び込み、胸に挟まるように顔を埋め、胸に顔を押し当てるようにハニーに抱き着いた。
それに俺とディースが目ざとく反応するとレシアに睨まれたので口笛を吹いて誤魔化した。
別にやましいことなんて考えちゃいない。うん、師弟の再会って感動的だぜぇ……な?
 
俺は視線だけシールに向けて同意を求めると、シールは困ったように笑う。
「先生!お会いしたかった…。ずっとずっと会いたかったです!急にいなくなってしまうから……大臣達が先生はもういないって言われて……」
「そんな世迷言を信じたのかえ?儂があんな下衆にどうこうされると?」
「そんなことありません!先生は必ず生きていっしゃると信じていました!」
エルフィアは涙目でハニーを見上げるようにその顔を見つめる。ハニーはそんなエルフィアの反応がどこか擽ったいのか、嬉しいようにはにかんでいた。
俺は仲睦まじくしている二人を見て、レシアへ視線を移す。レシアも二人を写していた瞳を俺に移し、頷いた。
エルフィアの様子を見て、信用できると考えたのだろう。実力も申し分ないことは知っている。
 
「うむ!なんだか知らぬが、とても良い話であるな!ガッハッハッハッ!」
「うぅ……お嬢様、よかったですね……」
ディースは笑い、シールは嬉し泣き……なんか混沌としてきた。
俺は場を仕切り直すつもりで咳を払い、全員の注目を俺に向けてから口火を切った。
「まあ、なんでもいいがな。こんなとこでいつまでも居らんねぇだろ。このまま道沿いに王都に行くんだな?」
「うん。そのつもり」
エルフィアはハニーから離れ、目尻に浮かぶ涙を拭きつつ答えた。だが、それを遮るようにしてハニーが口を開く。
「待つのじゃ。この先道沿いに王都へ向かうのは良くないと思うのじゃが」
「どうしてですか?先生」
「うむ。儂は王都からここへ来たのじゃがな。そもそも、儂がこっちへ来たのはエルフィア達がこっちに居るという話を聞いたからじゃ」
ハニーの話を聞き、俺はレシアと顔を見合わせる。
なるほどな。
つまり、俺たちがこのまま王都へ向かうと第一王子か第二王子派閥の人間が待ち構えているって話か。だが、どちらにしても俺たちがしる限りではザオスにしても、アルファスにしても早すぎる。
早馬で行ったとして、ハニーがそれを知って俺たちのところまでやって来て出会った時間を考えてギリギリか。
「何か特別な連絡手段があんのか……」
「或いは、特別な移動法でしょう」
どちらにしても厄介だ。
俺とレシアは互いに視線をハニーへと向ける。ハニーは俺たちの視線を受け、察したようにして言った。
「転移魔法じゃろーな……刻印魔法ならば誰でもお手軽に超高難易度という転移魔法が扱えるようになるからのぉ〜。じゃが、転移魔法の刻印を記せるのは転移魔法が使える魔法使いだけじゃ」
ハニーがそこまで言うと、レシアが割って入るように口を挟む。
「王国で転移魔法が使えるのは王宮魔法使いのシャンバリン様だけです。シャンバリン様は……第一王子殿下の派閥です」
「アルファス……だな?」
あのジィさん……用意周到じゃねぇか。さすがとしか言えねぇ。
俺の答えにレシアが頷き、それに続いてシールが問いかけた。
「それじゃあ……王都に行けないっていうこと?」
首を傾げて問いかけるシールに対し、レシアは首を振って答える。
「いえ。街道を逸れたところにフィジン大森林という森があります。そこ抜けて西へ向かうと王都の東門に」
「張られてんなら、どっから入っても仕方なくねぇか?」
レシアの言葉にそう返すと、ディースがいつもの大笑いをしながら言った。
「ガッハッハッハッ!とはいえ、このまま行っても仕方がないのである。ここは行くのが吉であるぞ!ロア殿!」
「そうじゃな〜。どーせ、ここにいても始まるまいて〜」
「えっと……僕もレシアと同じこと考えてたからさ。それが一番だと思う」
「シールと先生がそう言うなら、私もいいと思うの」
「では決まりで」
ディースに続いて、俺以外の奴らが全員賛同した。
いや待て、俺の意見を聞いてないだろ。
「おいおいおい?俺の意見はどーなってんだ?」
「……一応聞きましょう」
一応ってなんだ。
俺は頬を引攣らせ、レシアを睨む。だがレシアは素知らぬ振りで、俺はイラっとしつつも落ち着いて我が崇高なる策を放った。
「ここは絶対、正面突破だろ!」
…………。
「それではフィジン大森林へ向かいましょう」
「了解なのじゃ〜」
「腕が鳴るのである!」
「ではお嬢様は僕の後ろへ」
「うん。ありがとう、シール」
てめぇらマジで覚えてろよ……。
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