かみさま、殺してきました「テヘ♡」

なぁ~やん♡

第一プロローグ;神之思(1)

「知らないことがいっぱいあるね♪もし分かれば 楽しいかな?♪」
窓辺に手をかけ唄う少女。よく見ると、少女のいる部屋には物が散乱し、明かりもボロボロでやっとつくくらいだった。それでも少女は笑った。
「坂ノ橋神奈様に、感謝しなくちゃね♪」
今はまだ、少女は坂ノ橋神奈に頼っていた。だが、少女はこの後坂ノ橋神奈を恨むことを知らない。腰まで伸びた漆黒の髪は頷くように少し舞った。何も柄のない白いワンピースも、今は少し埃がかかっている。
「やっても やっても 取り切れない その原因は 性格なのかな♪忘れられない あの憎しみは 私を暗闇へ 突き落すんだ♪服についた この汚れは とっても取り切れない 取ろうとしてないから 性格の汚れは やがて違う ところに行って しまうんだ♪」
よく聞くと、これは少女が作った音楽だ。これは見ただけ神の領域。こんな曲を歌えるのは、極わずかしかいないだろう。何者だ―――――――――――――――?
「ねぇ、あの人がこんな風にしてくれたのに、あの人はどうして私を裏切ったのかな?」
美しい声に似合った綺麗な顔つき。少女はため息をついた。
「あの人は、もう友達でいてくれないの?一緒にいてくれないの?」
少女の純粋な心に憎みが生まれたのは、そのころだった。いけないことだとわかっても、無性に殺したくなる。無償にも・・・。あの人を殺さないで!少女の本能は叫んだ。少女は本能に囚われ、
「坂ノ橋神奈・・・!?」
自分でも何が起こっているかわからない。よく見ると、ワンピースの埃も消えている。少女は無性にある曲が歌いたくなった。
「もしものことが なんだけれど 誰かを殺すなら あなたはどうする? 昨日の夜の あの言葉は 心も全ても 殺してしまって あの人が憎い そんなのだめだよ わかっていても 止められないんだ」
少女の頬に涙が一筋。少女は頬を押さえた。
「殺したくない・・・!誰も殺したくない!」『殺して。坂ノ橋神奈だよ』「傷つけたくない!」『ボクの話を聞いて』「いやだ!」『じゃないと一生ここにいることになるよ』「え・・・?」『そうだよ。』
本能か何かわからないが、少年の声。
『あいつを殺して、坂ノ橋神奈も殺せばいいんだ』
少年の声は憎しみに満ちていた。私に仕返しをしてほしいらしい。どうしてだかわからないが、後程話すと少年は言っていた。
『まず』
少年は言った。
『ここから出るんだ。それからもボクの指示に従って。大丈夫だから。』
少女に寒気が走った。
「わかった!」
その寒気は、少年が怖いのではなく、坂ノ橋神奈に囚われていると頭が確定し、「従わないと囚われる」という思いが現れたのだ。「囚われたくない」それだけが少女の気持ちだった。
『名前は』
少年の静かな声は、少女の美しい声にぴったり。
「ティアラ・クリスタル!あだ名はオタク!あいつにつけられた!」
少年は「ちっ!」と言い、もう一度静かな声で、
『じゃあ、旅をしているうちに、新しいものを付けていこう。』
少年だけではなく、少女もこのあだ名が好きではなかった。裏切られた今は、聞きたくもないほどになった。少女は、
「あなたの名前は?」
と聞き返した。少年は、
『気にしなくてもいいのに。君の名前を知りたいのは・・・いや、何でもない。ボクの名前はセルステア・セレクト。あだ名はまだない。』
少女は鮮やかに笑い、
「じゃあ、セルステアも旅の途中につけてあげる!」
少女の「裏」まだ誰も知らないかな・・・?

ひそかに思う少年と、何も知らない少女——————。

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