かみさま、殺してきました「テヘ♡」

なぁ~やん♡

第三プロローグ:決之意(1)

あぁ、セルステア。

貴方にひみつなどありませんでした・・・。

季節に合わず雨が激しくなる。雨に耐え、号泣して見つかってしまわないように・・・少女は歯を食いしばった。髪から水がポタボタ落ちる。少女は歯をかみしめ、歪な顔をして、憎んだ顔をして。
櫛をつかんだ。
「なに・・・・?」
あの人に会いたい。憎んでいたあの人に会いたい・・・。
なぜかさ・・・。そう思うんだよね。セルステアが裏切者だって、本当は思いたくない。
「クソっ!クソっ!くそぉっ!」
少女は歯を食いしばりながら壁を叩いて、無音に泣いた。
「あっ・・・どう・・・してっ・・・」
ただ単にここから出たいだけなのに、どうして?
「ねぇ、すべての原因が、坂ノ橋神奈だったりしてね・・・?」
降りしきる雨の中で、歯を食いしばり寒さに耐えながらもしっかりと出たその言葉。少女がコトバを口にするたびに出る息は真っ白で透明のかかるいきだった。
「難しい・・・・」
少女とはいえ、幼い。此処で起きた事実は、限りもなく少女の寿命を縮ませるのであった。
「うっ・・・」
少女は震えた。殺気立ち始めたその目と、憎み黒く染まり始めた心。もう退路はない。コロシガユルサレルコロナノダ。
少女は櫛をもっと強く握った。櫛とはいえ、その先端は尖っている。それは少女の握る力が強くなるたび、その美しい手に無数の穴をあける。寒さに耐え、狂気に耐え、淋しさに耐え、痛さにも耐え・・・そして泣き声をあげないように
・・・。
寒くても、心が狂気に満たされても、淋しくても、痛くても。少女はセルステアとの約束を守るのであった・・・。
「あのひとは・・・悪くなかった・・・?」
考えるたびに、また心に狂気が響く。考えたくない。でも・・・!

 セルステアが・・・あの頃が心に突き刺さるんだ!!!

「ああああああっ・・・」
耳をふさいで、少女は嘆いた。もし、魔法が使えるのなら、すべてを変えて、時間を戻せるのなら!
「ううっ!」
無数の考えが、少女の頭の中に這いずり回る。
「ああ!」
少女は頭を押さえた。朝になる。少女は涙を拭いて、体の横にあるパンを手に取った。あの頃と比べると、少女はかなり少食になっている。
「どうしよっかな・・・」
何年も経てば、セルステアは必ず迎えに来る。でも、待っていたくはない。
「よし、ここから出るぞっ!」
そしてパンにガブリつく。
そのころ、少女に体の中には、ジワッとしみるものがあった。
それは―――魔法だった。
「もう私に魔法は要らない。」
少女は手を胸に当てた。
(もう頼らない!)
でもその頃、魔法はもう彼女全体に響いていた―――。

 あぁ、セルステア。あなたに秘密は、ありました――――――――――――。

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