天女×天姫×天使…天華統一

ハタケシロ

第27話 幻獣

「そういえば大和さま?少しお聞きしてもいいですか?」

「ん?どうした?トイレなら茂みに隠れてそっとやれよ。あと、マーキングはすんなよ。敵にバレるかもしれないからな」

「トイレなら城を出る前にちゃんと済ましてきましたよっ!」

なんだ。違うのか。てっきり小便がしたいのかと思ったぜ。
つか、アマも一応女なのなら大きな声でそんな事言うな。

「それに、茂みに隠れてそっとなんて……なんだか興奮しちゃいますね!」

「さーてと。あともうひとふんばりだな」

「完全スルーですか!?」

大国に攻める部隊を編成した俺達は、すぐに大国に攻め入るため浮遊城「フォルテ」を後にした。
総勢一万人。だが、全部が全部使うってわけじゃない。俺とパールできれば二人だけでかたをつけたい。
戦力は残していた方がいいしな。

俺達本体は部隊の先頭に立ち、道を進んでいた。
パールがああだこうだと小言を言っていたが、危なくなったら助けてくれと耳打ちしたらおとなしくなった。
俺がパールを信頼しているとうのが伝わったんだろ。
嬉しかったのか凄く顔を真っ赤にしていたな。

「んん。で聞きたいのはですね?大和さま。小国の勧告についてなのですが」

「そのことか?軍議室でも言ったろ?勧告は済んだし、小国も受け入れたって」

「いえ、そのことではなく、どうやって勧告をおこなったのですか?使者を送ったようには見え無かったのですけど…」

「それについては我からも疑問がある。いつのまに大和は勧告をやっていたのだ?」

隣で黙って俺とアマの会話を聞いていたパールも会話に参加してきた。
二人ともとてつもなく疑問に満ちた表情をしている。
あれ?そういやこいつらには言ってなかったけ?俺がフォルテを出て勧告しに言ってくるって言うこと。
そういや、あんときはめんどくさくなって言うの忘れていた気がするな。

「あぁそれはな。俺が直接小国の大名のとこに行って伝えたんだ。アークを使って」

「えぇ!?」

「はぁ!?」

「おい。大きな声を出すな。神風がおびえるだろうが」

ちなみに、今回の移動手段は馬を使っている。
地上が経路のため…いや、普通は地上が経路か。さすがにアークで空を飛んでくわけにもいかず、疲労その他もろもろを考えたら馬が最適となった。
時折揺れる心地よさがまたいい。
そして、神風とは俺の愛馬のことだ。名前が神風。
戦国の馬と言えば松風が有名だが、その松風の風をもらい、どうせならかっこよくしたいというのもあって神をつけた。これが名前の由来だ。

勧告をしにいったとき、アークで大空飛んでいると両翼の翼で翔けていたのを見つけた。
真っ白な体に頭の先に生えた一本の角。そして、翼。綺麗だと思った。そして気高いとも。
あとで、アマに色々聞いたのは神風は幻獣ユニコーンと、同じく幻獣ペガサスのハイブリット。
つまり、お互いの利点となる部分だけを引き継いだ最強の馬だと。

『本来なら、ユニコーン、ペガサスどちらも遭遇なんてめったに出来ないんですけど、まさかその両方の利点を受け継いだ超幻獣の馬に出会うなんてやっぱり大和さんは…』

なんてアマは言ってたな。俺は運がいいのかもな。そんな馬に出会えるなんて。
つかなアマ。最期まで言えよ。言いたいことがあるんなら。じゃないとまた漏らしたときに大変なことになるぞ?

つか、神風も飛べるんだよな。……飛ぶか。なんてな。

「あぅあわわ。ごごごごめんね?神風ちゃん!」

「す、すまぬ神風」

別に神風にほんとに謝る必要なんてないんだが、俺の乗る馬には主同様接するとか何とかで二人とも謝るらしい。
呼び方はさまづけはいいからという俺の命令のもとそれぞれの呼び方で呼んでもらっている。さすがに馬にまで様付はな。

「そういえば…神風ちゃんが来た日って急に大和さまが居なくなった日だったような」

「うむ。たしかに。まさか…大和」

「おう。勧告しに行ってる途中で見つけてそのまんま人懐っこいのか俺に近づいて来たからそのまんま連れて帰ってきた。ちなみに、途中からアークじゃなく神風に乗り換えて小国にまで行ったな」

「なんというか」

「さすが大和だな」

アマとパールは乾いた笑いとともに、どこか冷ややかな目をしていた。

「でもこれで疑問がなくなりました!」

「うむ。胸のモヤモヤが取れたな」

「まさか、勧告と神風ちゃんを連れてきたのが同じ日だったとは思わなかったですけどね」

「我もだ」

でもやっぱり大和さまらしいですね!とアマは続けた。なんだ。俺らしさって。家族思いのところか?
決してシスコンではないからな。



「だめですぞ!姫様!大和殿の戦に参戦するなど!」

「嫌よっ!!私は行くったら行くの!」

大和が勧告をしに行った小国では、老兵とその国の大名である姫と呼ばれる人物が言い争っていた。

老兵は戦闘服ではなく和服で姫と呼ばれる人物は、戦国時代より前、邪馬台国があった時代の服装によく似ていた。

「我々が参戦しても足でまといになるだけですぞ!ここはどうか引いて下され!」

「うっ……確かに足でまといになるかも……だけど!私は王子様の力になりたいのっ!」

「ですから、力となる前に足でまといに!」

「ならせめて情報だけでも伝えたい!王子様が攻めようとしている国のルシファーのこととか!」

「たしかに情報を伝えるだけなら良いかもしれませぬが……」

「じゃいいでしょ?!私行くからね!」

姫と呼ばれる人物は老兵の説得虚しく部屋を飛び出し、王子様が待っているであろう大国へと走り出した。

「待っててね!私の白馬の王子様♡」

神風に乗って現れた大和を自分の運命の相手だと思い込んだ少女はひたすら白馬の王子様もとい大和の元へと駆け出す。

この姫と呼ばれ、大和を運命の相手。白馬に乗った王子様と思い込んでる少女こそ。
小国を納める大名、卑弥呼である。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品