俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第80話土下座と赦し
再び視界が開けた時には、既に遺跡やルナやカグヤの姿はなく、俺とココネはどこかで寝かされていた。勿論そこはルイヴァック島の中にある場所でもない。
(ここは?)
身体を起こす。隣では丁度目を覚ましたココネが寝ていた。
「ケイイチ、ここどこ?」
「俺も分からない。見たところによるとどこかの家みたいなんだけど」
二人して疑問符を浮かべていると、部屋の入り口からここの主が入ってきた。
「お二人とも、ようやくお目覚めになられましたか」
「せ、セレス?! な、何でお前がここに」
「何でも何も、ここが今の私の家ですから」
「いや、そうじゃなくて」
以前セレスと戦った後、彼女がどこへ消えたか分からなかったがどうやら生きてはいたらしい。いや、それ以前に彼女は裏切り者で……。
「セレス、どうして私達を助けたの? 裏切ったのに」
俺が何か聞こうとする前に、ココネが言葉を口にする。そういえばここが彼女の今の家ならば、彼女は俺達をここまで運んだ事になる。
(というか、いつ助けられたんだ俺達)
そもそもルイヴァック島の後から何がどうなっているか分からない。
「さあ、どうしてでしょうか。かなり重傷だったココネ様を見逃すことができなかったからなのかもしれません」
「重傷って、私もう傷なんて……」
そう言いながらココネはある事に気がつく。ルイヴァック島の時に治したはずの刺された傷跡が、まだ治っていない事を。それを腹部に巻かれていた包帯が意味をしていた。
「え? どうして私……」
「どうかされましたかココネ様」
「いや、実は」
ココネに代わって俺があの事をセリーナに説明する。
「確かにお二人とも、かなり長い間眠っておられましたが、夢だったとは言い難い話ですね」
「もし夢だとしたら、俺逹は夢の中で寝泊まりしていた事にもなる。それって絶対変だ。それに」
「私のお母さんが夢だったなんて、そんな事ない」
ココネの言う通りだった。あの遺跡にいたココロさんは絶対に夢の中の人物ではない。それはルナやカグヤだって同じだ。だとしたら、あれは一体何だったんだ。
「そうだ、ナルカディアは今どうなっているんだ。由奈やリタ達は今どうしている」
「ナルカディアは今、カグヤの手によって占拠されています。しかしナルカディアと同盟を組んでいた国々が、今総力を挙げて奪還しようとしています」
「やっぱりそうか」
これで確信付いた。あれは決して夢の中での事ではない。では何なのかとは説明できないが、ナルカディアが占拠されているなら、俺逹も黙ってはいられない。
「ココネ、怪我が治ったらナルカディアへ向かうぞ」
カグヤとは決着を今度こそつけなければならない。全てを取り戻すために。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「勿論。人に任せているだけじゃ駄目だもんね」
「お二人で向かうんですか? そんなの危険ですよ!」
勿論ココネはそれを了承。しかしセレスは、反対と言わんばかりに俺に詰め寄ってきた。
「お前に止める権利はないぞセレス。助けてもらったとはいえ、お前は一度俺逹を裏切っているんだからな」
助けてもらった事には一応感謝している。しかし彼女はココネをあんな目に合わせた元凶の一人でもある。だから彼女が何を言おうと止まらない。
「お二人がその気ならこちらだって」
「なんだやる気なのか」
あの時みたいにまた戦わなければならないと思い、身構えようとするがセレスが取った行動は違った。
「私をどうか許してください! お二人とも」
土下座。
彼女は俺逹に向かって土下座をしてきたのだ。
「許されない事だとは分かっています。しかし私は……ココネ様が深い傷を負っている姿を見て、いてもたってもいられませんでした。だからお二人を助けたんです」
「つまり、もう裏切ろうという気持ちはないって事なのか?」
「はい。罪を償うならいくらでもします。どうかお二人を裏切ってしまった私を許してください、お願いします!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら謝るセレス。その言葉には偽りも感じられない。本当に彼女はココネの事を思っているのだと改めて感じさせられる。
「駄目よ」
「ココネ様、私は……」
だがココネの言葉は辛辣だった。でもそれが普通の反応なのかもしれない。裏切っておいて、何を今更だと言いたいのだろう。
「私に許してほしいなら、ナルカディアが戻ってからもずっと私に仕えなさい。そうすれば、私もきっと許せると思うから」
「ココネ……様!」
まあ、ココネの本心は違うのは見透かしてたけど。今は許せないが、時間をかけていつかは許してあげる、それが彼女なりの優しさなのだろう。
(本当不器用だよなココネも)
こうしてセレスは再びココネに仕える事になり、ようやくいつもの三人に戻る事ができたのであった。
「ありがとうございます、ココネ様ぁ!」
「だ、抱きつかないでよ! は、恥ずかしい」
「面白いからいいじゃん」
「私は全然面白くないわよ!」
「本当は嬉しいくせに」
「ケイイチの馬鹿!」
「ココネ様ぁぁ」
だがまだこれは始まりにすぎない。ここから俺逹はナルカディアを奪還しなければならない使命がある。
俺逹とカグヤの決戦は、もう間もなく近い。
(ここは?)
身体を起こす。隣では丁度目を覚ましたココネが寝ていた。
「ケイイチ、ここどこ?」
「俺も分からない。見たところによるとどこかの家みたいなんだけど」
二人して疑問符を浮かべていると、部屋の入り口からここの主が入ってきた。
「お二人とも、ようやくお目覚めになられましたか」
「せ、セレス?! な、何でお前がここに」
「何でも何も、ここが今の私の家ですから」
「いや、そうじゃなくて」
以前セレスと戦った後、彼女がどこへ消えたか分からなかったがどうやら生きてはいたらしい。いや、それ以前に彼女は裏切り者で……。
「セレス、どうして私達を助けたの? 裏切ったのに」
俺が何か聞こうとする前に、ココネが言葉を口にする。そういえばここが彼女の今の家ならば、彼女は俺達をここまで運んだ事になる。
(というか、いつ助けられたんだ俺達)
そもそもルイヴァック島の後から何がどうなっているか分からない。
「さあ、どうしてでしょうか。かなり重傷だったココネ様を見逃すことができなかったからなのかもしれません」
「重傷って、私もう傷なんて……」
そう言いながらココネはある事に気がつく。ルイヴァック島の時に治したはずの刺された傷跡が、まだ治っていない事を。それを腹部に巻かれていた包帯が意味をしていた。
「え? どうして私……」
「どうかされましたかココネ様」
「いや、実は」
ココネに代わって俺があの事をセリーナに説明する。
「確かにお二人とも、かなり長い間眠っておられましたが、夢だったとは言い難い話ですね」
「もし夢だとしたら、俺逹は夢の中で寝泊まりしていた事にもなる。それって絶対変だ。それに」
「私のお母さんが夢だったなんて、そんな事ない」
ココネの言う通りだった。あの遺跡にいたココロさんは絶対に夢の中の人物ではない。それはルナやカグヤだって同じだ。だとしたら、あれは一体何だったんだ。
「そうだ、ナルカディアは今どうなっているんだ。由奈やリタ達は今どうしている」
「ナルカディアは今、カグヤの手によって占拠されています。しかしナルカディアと同盟を組んでいた国々が、今総力を挙げて奪還しようとしています」
「やっぱりそうか」
これで確信付いた。あれは決して夢の中での事ではない。では何なのかとは説明できないが、ナルカディアが占拠されているなら、俺逹も黙ってはいられない。
「ココネ、怪我が治ったらナルカディアへ向かうぞ」
カグヤとは決着を今度こそつけなければならない。全てを取り戻すために。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「勿論。人に任せているだけじゃ駄目だもんね」
「お二人で向かうんですか? そんなの危険ですよ!」
勿論ココネはそれを了承。しかしセレスは、反対と言わんばかりに俺に詰め寄ってきた。
「お前に止める権利はないぞセレス。助けてもらったとはいえ、お前は一度俺逹を裏切っているんだからな」
助けてもらった事には一応感謝している。しかし彼女はココネをあんな目に合わせた元凶の一人でもある。だから彼女が何を言おうと止まらない。
「お二人がその気ならこちらだって」
「なんだやる気なのか」
あの時みたいにまた戦わなければならないと思い、身構えようとするがセレスが取った行動は違った。
「私をどうか許してください! お二人とも」
土下座。
彼女は俺逹に向かって土下座をしてきたのだ。
「許されない事だとは分かっています。しかし私は……ココネ様が深い傷を負っている姿を見て、いてもたってもいられませんでした。だからお二人を助けたんです」
「つまり、もう裏切ろうという気持ちはないって事なのか?」
「はい。罪を償うならいくらでもします。どうかお二人を裏切ってしまった私を許してください、お願いします!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら謝るセレス。その言葉には偽りも感じられない。本当に彼女はココネの事を思っているのだと改めて感じさせられる。
「駄目よ」
「ココネ様、私は……」
だがココネの言葉は辛辣だった。でもそれが普通の反応なのかもしれない。裏切っておいて、何を今更だと言いたいのだろう。
「私に許してほしいなら、ナルカディアが戻ってからもずっと私に仕えなさい。そうすれば、私もきっと許せると思うから」
「ココネ……様!」
まあ、ココネの本心は違うのは見透かしてたけど。今は許せないが、時間をかけていつかは許してあげる、それが彼女なりの優しさなのだろう。
(本当不器用だよなココネも)
こうしてセレスは再びココネに仕える事になり、ようやくいつもの三人に戻る事ができたのであった。
「ありがとうございます、ココネ様ぁ!」
「だ、抱きつかないでよ! は、恥ずかしい」
「面白いからいいじゃん」
「私は全然面白くないわよ!」
「本当は嬉しいくせに」
「ケイイチの馬鹿!」
「ココネ様ぁぁ」
だがまだこれは始まりにすぎない。ここから俺逹はナルカディアを奪還しなければならない使命がある。
俺逹とカグヤの決戦は、もう間もなく近い。
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