俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第7話自家栽培とやり残した事
どうやらこの世界にも野菜などといったものや魚類もあるらしい。しかし野菜類は自家栽培もすることができるが、魚類に関してはどうすればいいのだろうか。
「それならわたくしからいい案があります」
「お、セレス。久しぶりの登場だな」
「比較的裏の仕事ばかりしていますから、なかなか出番がないんですよ」
何だかすごくメタな発言をしたような気がするのはスルーということで。
「その文句は俺に言わないでくれ。それでいい案ってなんだ?」
「実はわたくしの知り合いの口で漁業関係のお仕事をしている方がいるんです。その方に頼めばもしかしたら手伝ってもらえるかも知れないです」
「おお、ナイスアイディアじゃないか。早速頼んだぞ」
「はい」
どうやらそこの問題は、セレスに任せて問題なさそうだ。で、次は野菜だが流石に自家栽培だけじゃ足らないし、もうちょっと増やせる方法はないのだろうか。試しにその事をココネに相談してみることにする。
「城で使っている食材だけじゃ……流石に足らないよな」
「だったら自分達の足で取りに行くしかないでしょ」
「いや、野菜とかはきのことかと違ってその辺に落ちていないからな」
そこら辺に落ちているようじゃ、安全性が極めて低いだろうし、そればかりは望めないと思っていたが、どうやらココネには一つ考えがあるらしい。
「じ・つ・は、それがありえちゃうのよ。この世界では」
「は?」
翌日、俺はココネに連れられてある場所にやって来ていた。
「ここって農場とかじゃないのか?」
「いいえ。そうじゃないわ。自然とできたものばかりよ」
「まじか!」
俺の視界を埋め尽くすのは、辺り一面に広がる野菜の数々。簡単に言うと畑に近いものがここにあるって感じだ。これだけの量があれば確かに色々と問題が解決しそうな気がするが、
「これ取っても問題ないのか?」
「何度かここに取りに来たことがあるから安全性には問題ないわ。ただし問題があるとしたら…」
「ここまでの交通手段だな」
ここまで来るのに何だかんだ徒歩で一時間かかった。流石にここに来るためにわざわざ一時間もかけてくるのは厳しい。それがほぼ毎日としたらそれは大変だ。
「こういう野菜って種とかはないのか?」
「ある事にはあるけど、それをどうするつもりなの?」
「とりあえず今日はここからある程度の量は持って行くけど、後は自分たちで育てるぞ」
毎日歩いてここに来るよりかはいくらかマシになる。本当に足りなくなった時は、また取りに来ればいいし、その辺は臨機応変に対応していけば多分問題ないと思う。
「え? わざわざ自分達の手で育てるの?」
「当たり前だ。毎日のようにここまで歩くのは大変だろ?」
「それはそうだけど……」
ちなみに育て方に関しては、無知に近いレベルなので、その勉強を始める必要がある。
「とりあえず持ってくぞ」
「う、うん」
ある程度の野菜を城から持ってきたタンカー(みたいなもの)に積み、それを二人で引っ張りながら運ぶ。
で二人で城に戻る道中、ココネがこんな事を聞いてきた。
「ねえ」
「ん?」
「いきなりこんな世界に来させられたとき、あんたどう思った?」
「また唐突の質問だな。そりゃあ成人になり立てでこれからの人生が色々楽しみだったのに、いきなりこんな目に合わされてすごく嫌だったよ」
成人と言ったら色々な事ができるようになるキッカケでもあるというのに、この世界に来させられたせいで、その楽しみができなくなってしまった。
「それは今も変わらないの?」
「うーん、未だに帰りたいって気持ちはあるけど、ほんのちょっとだけこの世界も面白いかなって、思い始めた自分がいたりするんだよ」
「ふーん」
二週間、ここで暮らして俺の感情は少しだけ変化していた。最初はあんなに帰りたがっていたのに、ほんの少しだけこの世界にいても面白いんじゃないかって思っていたりする。
特にここにいる姫は今まで会ってきた人物の中で、最もやっかいなパターンの人間だ。けど、それにも慣れてくるとなんというか……難癖がある姫だけど、普通に可愛いし、性格さえ直せば問題がなくなるくらいだ。
「とにかく、しばらくは世話になるから頼んだぞ」
「面倒くさいけど、仕方がないわね」
「呼んだのはそっちなんだから責任はちゃんと取ってくれよな」
「分かってるわよ。その代わり、あんたもちゃんと働きなさいよ」
「へいへい」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
持って帰ってきた野菜は、販売用と使用用に分け、早速俺は自家栽培を始めた。そして始めて一週間後、大体の準備が終わり育てていくだけの状態になった。
「ねえねえ、あんた全く勉強してないけど大丈夫なの? ちゃんとテストはするわよ」
「馬鹿、俺が何も考えずにやってると思うか?」
「思ってる」
「随分ひどい言われようだけど、これでも両立してやっているんだからな」
この三週間、何もしていないように見えるがしっかりと勉強している。この前ようやく一冊分を覚え切れた位だ。
「ふうん、まあそれはテストの結果を見れば分かることだし、後は頑張ってねー」
なに食わぬ顔でどこかへ行こうとするココネを勿論俺は引き止める。
「待て待て待て、お前も手伝うんだよ」
「どうして?」
「どうしてじゃねえよ。他に仕事があるならともかく、お前は何もしてないだろ」
「ちゃんとしてるわよ。……昼寝とか」
「それを働くという奴は、この世界でお前ぐらいしかいないだろうな」
どこに昼寝を仕事たまと言う奴がいる?
「痛い痛い、耳を引っ張らないで」
あまりにぐうたらな彼女の耳を無理やり引っ張り連れ戻す。
「だったらさっさと手伝え。このサボり姫が」
「誰がサボリ姫よ」
こいつは本当に自覚していないことばかりだよな……。自分のその考えが周りに迷惑をかけているというのに、それすらも自覚していない。だからいろいろな意味でこの先怖いのだが、果たして彼女は本当に変われるのだろうか?
(この性格を周りが受け入れるのは、絶対に時間がかかるよな)
だからこそ俺が彼女を支えなければいけないのだが、どれほどの時間がかかるか分からない。今でさえまともじゃないのに……。
「ていうかこれ一人で全部あなたがやったの?」
ほぼ完成型になった農場を見ながらココネが言う。耕しや種まきはまだ終わり切っていないのだが、もう少し頑張れば近いうちには完成しそうだ。
「ああ。どっかの誰かさんが手伝おうとしないからな」
「その誰かさんとは誰よ」
「さあ誰だろうな」
ほとんどやる気がないココネに手伝ってもらいながら、着々と作業を進めていく。一週間でほとんどの耕しも終わり、そろそろ本格的に国づくりができそうな所まで来ていた。
「ねえまた一つ聞いていいかしら」
「何だよ」
「もうすぐこの世界にやってきて、一ヶ月ぐらいになるけど、その……ホームシックになったりしないの?」
「ホームシック? そりゃあたまにはなったりするかもな」
親に心配かけてないかとか、お味噌汁が飲みたくなったりすることが度々ある。生活環境が一日で一気に変わったから、やっぱり本来の世界が恋しくなる。
「やっぱりなったりするんだ」
「いきなりこの世界に連れてこられたんだし、結構思い残したことあるんだよ。それに大切な人を置いてきぼりにしちゃったから、たまに会いたくなったりする」
「大切な人? そんな人いたの?」
「ああ。ずっとふさぎ込んでいた俺に手を差し伸べてくれた人がいたんだよ。そいつは俺にとって恩人であり、大切な人でもある。そしてあの日、俺は彼女に大切な話をしようと思っていた。だけど……」
それは叶わなかった。こんな当てつけな形で異世界に呼ばれ、今はこうして畑を耕している。一ヶ月も会わないとなると今どうしているか心配になる。そして向こうも俺の事を心配してくれているかもしれないが、すぐにでも会いたいけど勿論それは叶えられない。
彼女は今どうしているのだろうか?
「何か……申し訳ないことしちゃったかな……」
「ん? 何か言ったか?」
「何でもないわよ!」
「それならわたくしからいい案があります」
「お、セレス。久しぶりの登場だな」
「比較的裏の仕事ばかりしていますから、なかなか出番がないんですよ」
何だかすごくメタな発言をしたような気がするのはスルーということで。
「その文句は俺に言わないでくれ。それでいい案ってなんだ?」
「実はわたくしの知り合いの口で漁業関係のお仕事をしている方がいるんです。その方に頼めばもしかしたら手伝ってもらえるかも知れないです」
「おお、ナイスアイディアじゃないか。早速頼んだぞ」
「はい」
どうやらそこの問題は、セレスに任せて問題なさそうだ。で、次は野菜だが流石に自家栽培だけじゃ足らないし、もうちょっと増やせる方法はないのだろうか。試しにその事をココネに相談してみることにする。
「城で使っている食材だけじゃ……流石に足らないよな」
「だったら自分達の足で取りに行くしかないでしょ」
「いや、野菜とかはきのことかと違ってその辺に落ちていないからな」
そこら辺に落ちているようじゃ、安全性が極めて低いだろうし、そればかりは望めないと思っていたが、どうやらココネには一つ考えがあるらしい。
「じ・つ・は、それがありえちゃうのよ。この世界では」
「は?」
翌日、俺はココネに連れられてある場所にやって来ていた。
「ここって農場とかじゃないのか?」
「いいえ。そうじゃないわ。自然とできたものばかりよ」
「まじか!」
俺の視界を埋め尽くすのは、辺り一面に広がる野菜の数々。簡単に言うと畑に近いものがここにあるって感じだ。これだけの量があれば確かに色々と問題が解決しそうな気がするが、
「これ取っても問題ないのか?」
「何度かここに取りに来たことがあるから安全性には問題ないわ。ただし問題があるとしたら…」
「ここまでの交通手段だな」
ここまで来るのに何だかんだ徒歩で一時間かかった。流石にここに来るためにわざわざ一時間もかけてくるのは厳しい。それがほぼ毎日としたらそれは大変だ。
「こういう野菜って種とかはないのか?」
「ある事にはあるけど、それをどうするつもりなの?」
「とりあえず今日はここからある程度の量は持って行くけど、後は自分たちで育てるぞ」
毎日歩いてここに来るよりかはいくらかマシになる。本当に足りなくなった時は、また取りに来ればいいし、その辺は臨機応変に対応していけば多分問題ないと思う。
「え? わざわざ自分達の手で育てるの?」
「当たり前だ。毎日のようにここまで歩くのは大変だろ?」
「それはそうだけど……」
ちなみに育て方に関しては、無知に近いレベルなので、その勉強を始める必要がある。
「とりあえず持ってくぞ」
「う、うん」
ある程度の野菜を城から持ってきたタンカー(みたいなもの)に積み、それを二人で引っ張りながら運ぶ。
で二人で城に戻る道中、ココネがこんな事を聞いてきた。
「ねえ」
「ん?」
「いきなりこんな世界に来させられたとき、あんたどう思った?」
「また唐突の質問だな。そりゃあ成人になり立てでこれからの人生が色々楽しみだったのに、いきなりこんな目に合わされてすごく嫌だったよ」
成人と言ったら色々な事ができるようになるキッカケでもあるというのに、この世界に来させられたせいで、その楽しみができなくなってしまった。
「それは今も変わらないの?」
「うーん、未だに帰りたいって気持ちはあるけど、ほんのちょっとだけこの世界も面白いかなって、思い始めた自分がいたりするんだよ」
「ふーん」
二週間、ここで暮らして俺の感情は少しだけ変化していた。最初はあんなに帰りたがっていたのに、ほんの少しだけこの世界にいても面白いんじゃないかって思っていたりする。
特にここにいる姫は今まで会ってきた人物の中で、最もやっかいなパターンの人間だ。けど、それにも慣れてくるとなんというか……難癖がある姫だけど、普通に可愛いし、性格さえ直せば問題がなくなるくらいだ。
「とにかく、しばらくは世話になるから頼んだぞ」
「面倒くさいけど、仕方がないわね」
「呼んだのはそっちなんだから責任はちゃんと取ってくれよな」
「分かってるわよ。その代わり、あんたもちゃんと働きなさいよ」
「へいへい」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
持って帰ってきた野菜は、販売用と使用用に分け、早速俺は自家栽培を始めた。そして始めて一週間後、大体の準備が終わり育てていくだけの状態になった。
「ねえねえ、あんた全く勉強してないけど大丈夫なの? ちゃんとテストはするわよ」
「馬鹿、俺が何も考えずにやってると思うか?」
「思ってる」
「随分ひどい言われようだけど、これでも両立してやっているんだからな」
この三週間、何もしていないように見えるがしっかりと勉強している。この前ようやく一冊分を覚え切れた位だ。
「ふうん、まあそれはテストの結果を見れば分かることだし、後は頑張ってねー」
なに食わぬ顔でどこかへ行こうとするココネを勿論俺は引き止める。
「待て待て待て、お前も手伝うんだよ」
「どうして?」
「どうしてじゃねえよ。他に仕事があるならともかく、お前は何もしてないだろ」
「ちゃんとしてるわよ。……昼寝とか」
「それを働くという奴は、この世界でお前ぐらいしかいないだろうな」
どこに昼寝を仕事たまと言う奴がいる?
「痛い痛い、耳を引っ張らないで」
あまりにぐうたらな彼女の耳を無理やり引っ張り連れ戻す。
「だったらさっさと手伝え。このサボり姫が」
「誰がサボリ姫よ」
こいつは本当に自覚していないことばかりだよな……。自分のその考えが周りに迷惑をかけているというのに、それすらも自覚していない。だからいろいろな意味でこの先怖いのだが、果たして彼女は本当に変われるのだろうか?
(この性格を周りが受け入れるのは、絶対に時間がかかるよな)
だからこそ俺が彼女を支えなければいけないのだが、どれほどの時間がかかるか分からない。今でさえまともじゃないのに……。
「ていうかこれ一人で全部あなたがやったの?」
ほぼ完成型になった農場を見ながらココネが言う。耕しや種まきはまだ終わり切っていないのだが、もう少し頑張れば近いうちには完成しそうだ。
「ああ。どっかの誰かさんが手伝おうとしないからな」
「その誰かさんとは誰よ」
「さあ誰だろうな」
ほとんどやる気がないココネに手伝ってもらいながら、着々と作業を進めていく。一週間でほとんどの耕しも終わり、そろそろ本格的に国づくりができそうな所まで来ていた。
「ねえまた一つ聞いていいかしら」
「何だよ」
「もうすぐこの世界にやってきて、一ヶ月ぐらいになるけど、その……ホームシックになったりしないの?」
「ホームシック? そりゃあたまにはなったりするかもな」
親に心配かけてないかとか、お味噌汁が飲みたくなったりすることが度々ある。生活環境が一日で一気に変わったから、やっぱり本来の世界が恋しくなる。
「やっぱりなったりするんだ」
「いきなりこの世界に連れてこられたんだし、結構思い残したことあるんだよ。それに大切な人を置いてきぼりにしちゃったから、たまに会いたくなったりする」
「大切な人? そんな人いたの?」
「ああ。ずっとふさぎ込んでいた俺に手を差し伸べてくれた人がいたんだよ。そいつは俺にとって恩人であり、大切な人でもある。そしてあの日、俺は彼女に大切な話をしようと思っていた。だけど……」
それは叶わなかった。こんな当てつけな形で異世界に呼ばれ、今はこうして畑を耕している。一ヶ月も会わないとなると今どうしているか心配になる。そして向こうも俺の事を心配してくれているかもしれないが、すぐにでも会いたいけど勿論それは叶えられない。
彼女は今どうしているのだろうか?
「何か……申し訳ないことしちゃったかな……」
「ん? 何か言ったか?」
「何でもないわよ!」
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