俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第17話姫のプライド
「い、い、いきなり何言い出すのよ! この変態!」
「変態呼ばわりするな! 俺もまさかこんな言葉が出てくるなんて思っていなかったんだよ」
何とも衝撃的な告白をしてしまった直後、ココネは俺を変態呼ばわり、俺はすぐさまさっきの発言を撤回した。
(まさか好きだなんて言葉が出てくるなんて……)
本来この言葉は、こんな奴に贈る言葉なんかじゃない。俺にはちゃんとした想い人がいる。だからそんな簡単にこの言葉が出てくるわけないんだけどな……。
「まあ、今のはちょっとした冗談だから気にするな」
「冗談で言っていいことじゃないわよねそれ! それにそれが答えじゃないなら、他に答えがあるんでしょ?」
「確かにそうだな」
でも関係がなくないって言える理由で、王である以外の感情で表すとどうしてもそれしか浮かんでこない。単純に守りたいとか、そう言った理由じゃなくて、俺の中には別の何かが浮かんでいた。
「うーん、やっぱり言葉が他に出てこないんだよな」
「そんなふざけた言葉で誰が納得するのよ」
「別にふざけてないっての」
「だ、だって、す、好きだなんておかしいじゃない」
「そんなにおかしいことなのか?」
「そ、そうよ!」
「まあそれならいいんだけどさ」
「ああもう、何が何だか分からなくなってきたじゃない!人が真剣な話をしていたのに、責任くらい取りなさいよ」
「本当理不尽だよなお前は……」
もうそんなのはどうでもいいんだけどな。
「とにかくあんたには私達の罪を背負わなくていいのよ! たとえあんたが王だとしても、そこまでは私達は望まないから」
「そうは言ってもな……」
一度決めてしまったことはなかなか撤回できないし、何を言われようともその気持ちは変わらないと思う。それが今の俺にできることだ。
「じゃあこうしよう。その罪を俺が必ず解決してみせる。皆に信じてもらうためには、自分たちの手で信頼を作っていけばいい。そうすれば次第に認めてくれるようになるだろうし、罪を少しずつ償えられる。同時に国の復興だってできるんだし、悪くない話だろ?」
「そんな方法で解決できるのかしら。 私の罪は重いのよ」
「やってみせる。お前がずっと抱え続けなくたっていいんだ。それを滅ぼしていけばいつしかその罪は消えてくれる。その手伝いをどれだけの時間をかけようが俺が手伝う。罪の重さなんて関係ない」
「誰もそんな事頼んでないわよ。お願いから私を困らせないで!」
いい条件だと思って提案したのだが、それでも拒むココネ。それに対して俺は……。
「いつも俺を困らせているのはどこのどいつだ? 自分から何もしようとせずに人を頼ってばかりなのはどこのどいつだ? そんな奴が今更何を言ってんだ!」
「っ!」
少しきつめに彼女に言ってやることにした。もうこの世界にいて二ヶ月以上が経つ。それまでの間に彼女は何度俺を頼っただろうか? 恐らく数え切れないくらいだろうし、これからもそれが続く可能性だってある。なのに、それだというのに……。
「こっちはお前が何でも抱えようとしているその性格が大嫌いで直そうとしているんだよ。確かにお前が他を頼りたくないという気持ちは分かる。ましてや異世界の人間だから尚更だろ」
姫のプライドとして、異世界の人間を頼るのは嫌だという気持ちは分かる。けどそれだったらどうして、扉を使ってまで俺を呼び出した? そんなのは決まっている。
「けどな、分かるんだよ。お前は本当は他人を頼りたくて、一人じゃどうしようもなくなっていて……。でもプライドがあるから頼れない、そうだろ?」
こいつは常に誰かに助けを求めているからだ。本当は自分の罪に押しつぶされそうなくらい精神が追い込まれていて、ちょっとでも崩れたら一気に崩れ出してしまうくらい脆い。
だけど助けを求めようなら、そのプライドがどうしても邪魔をしてしまう。本当はこんなにも弱い人間なのに。ただ一言、助けてって言えば解決する。それなのに……。
「私……そんな事ない。私は誰も頼らなくていいのよ!」
己を否定するココネ。何が彼女をここまでにしたんだろう。それは俺には分からない。だけれど、そこまで拒もうとするなら俺にだってする事がある。
「そうか……じゃあもう、諦めるか」
「ええ、そうしてほしいわ」
「んじゃ、国づくり一人で頑張れよ」
「当たり前じゃない……って、え?」
「誰も頼らないんだろ? だったら国づくりも何もかも一人でやりな。俺は適当に過ごすからさ」
それはこの国から出て行くこと。もう何も考えずに、元の世界に戻れるその時まで、ゆったり過ごす。それがベストだ。
「そんなの自分勝手すぎよ! 私一人じゃできるわけないじゃない」
「じゃあどうするんだ? 俺に頼らないんだろ? 他のやつ探してこいよ」
「これとそれとは違うわよ」
「違くないな。そもそもお前は何で異世界から俺を呼び出した? 猫の手も借りたいくらい困っていて、もっと他の頼りたかったからじゃないのか?」
「そ、それは……」
「ほら否定できない。それがお前の本心なんだよ。何でも一人でやろうとしてできないけど、他を頼るのは自分のプライドが許せなかった。そうじゃないのか? だから部屋もあんな状況だったし、国の復興も何一つ出来ていなかった。結婚の話だってそうだ」
「私は……」
最初から分かっていたことだが、ココネは自分の犯した罪は自分で解決しようとしてずっと空回りし続けてきたのだろう。全てにおいて彼女は一人でこなそうとし、失敗に終わる。それはこの二ヶ月の間過ごしてきた俺でも分かることだった。
「だがな、もうお前は一人じゃないんだよ。セレスとかだってずっとおまえを見捨てないでくれていたんだろ?それはお前がそういう性格だって皆が知っていたからだ。さっきの話の中でもあったように、この城の人はお前にもっと頼って欲しいと思っている。それは俺も同じだ。だから俺を……いや俺達を頼れ!」
まさか自分がこんな事を言うなんて思ってもいなかったが、彼女をその気にさせるにはここまでするしかなかった。あとをどうするかは本人次第だ。
「私……あんたを頼ってもいいの?」
少し間を空けたあと、ココネはそんな事を聞いてきた。
「ああ、当たり前だ。どんどん頼ってくれ」
「本当に……いいの?」
「セレスたちは既にそれをやってくれているんだ、何度も聞くな」
「う、う、う、うわぁぁぁぁぁん」
何かをずっと我慢していたのか、ココネは大泣きした。まるで子供のようにずっと泣き続け、俺はそれをずっと見守っていてあげた。
(本当は気が弱いんだな……)
普段はあんな性格をしているけど、本当はすごく脆くて、まるで子供のような姫なんだこいつは……。
(これで一件落着か……な)
一旦は彼女の問題は解決したが、それ以上の問題が山積みである。果たしてこれら全てを解決できるのだろうか?
(まあ、やるって決めたんだし、頑張るしかないか……)
そんな事は全く気にせんと言わんばかりに俺は、静かに心の中でそう決意をするのであった。
■□■□■□
 そして月日は流れこの世界にやって来て半年以上がが経とうとしていた。
「よし、これで収穫は終わりだな」
「ええ。いよいよね」
 今日はここまで育ててきた野菜達の収穫日。あとはこれを、最近完成した商店街で販売を始めれば少しずつお客を増やすことができるかもしれない。
「いいか? ヘマだけはするなよ」
「あんたこそ」
 相変わらず俺とココネの喧嘩は止まないが、以前よりかは減った気がする。それもこれもあれがキッカケだったのかもしれない。
 そしてもう一つ、カグヤの方なのだが相変わらず口数が少なく、この先どうすればいいかと真面目に考え始めていた。
「おはようカグヤ」
「……おはよう」
 少しだけ会話はできるようになったが、相変わらず記憶は戻らず。何か一つでも思い出せればこっちも助かるのだが、その雰囲気すらない。はて、この先どうすればいいのやら。
「なぁに、またくだらない事考えてるの? 圭ちゃん」
 そんな事をココネの部屋で考えていると、どこかで聞いたことがあるような声が部屋の入口から聞こえたような気がした。
「うるせえな由奈、お前はいつもいつも俺を……って」
 俺はその声に対して、その人物の名を言いながら振り返る。そこに立っていたのは……。
「お久しぶり圭ちゃん」
  茶色の髪の毛でポニーテールを引き下げた俺の腐れ縁とでも言うべき人物、坂本由奈だった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ?」
 本来居るべきでないその存在に、俺は思わず悲鳴に近い声を上げてしまう。
「は、ちょ、何でお前が」
「私もついてきちゃった」
「ついてきちゃったぁぁぁ?」
 い、一体何が起きているんだここは。
      こうして俺の異世界奮闘記は、彼女の登場により新たな局面をが迎えることになったのであった。
「変態呼ばわりするな! 俺もまさかこんな言葉が出てくるなんて思っていなかったんだよ」
何とも衝撃的な告白をしてしまった直後、ココネは俺を変態呼ばわり、俺はすぐさまさっきの発言を撤回した。
(まさか好きだなんて言葉が出てくるなんて……)
本来この言葉は、こんな奴に贈る言葉なんかじゃない。俺にはちゃんとした想い人がいる。だからそんな簡単にこの言葉が出てくるわけないんだけどな……。
「まあ、今のはちょっとした冗談だから気にするな」
「冗談で言っていいことじゃないわよねそれ! それにそれが答えじゃないなら、他に答えがあるんでしょ?」
「確かにそうだな」
でも関係がなくないって言える理由で、王である以外の感情で表すとどうしてもそれしか浮かんでこない。単純に守りたいとか、そう言った理由じゃなくて、俺の中には別の何かが浮かんでいた。
「うーん、やっぱり言葉が他に出てこないんだよな」
「そんなふざけた言葉で誰が納得するのよ」
「別にふざけてないっての」
「だ、だって、す、好きだなんておかしいじゃない」
「そんなにおかしいことなのか?」
「そ、そうよ!」
「まあそれならいいんだけどさ」
「ああもう、何が何だか分からなくなってきたじゃない!人が真剣な話をしていたのに、責任くらい取りなさいよ」
「本当理不尽だよなお前は……」
もうそんなのはどうでもいいんだけどな。
「とにかくあんたには私達の罪を背負わなくていいのよ! たとえあんたが王だとしても、そこまでは私達は望まないから」
「そうは言ってもな……」
一度決めてしまったことはなかなか撤回できないし、何を言われようともその気持ちは変わらないと思う。それが今の俺にできることだ。
「じゃあこうしよう。その罪を俺が必ず解決してみせる。皆に信じてもらうためには、自分たちの手で信頼を作っていけばいい。そうすれば次第に認めてくれるようになるだろうし、罪を少しずつ償えられる。同時に国の復興だってできるんだし、悪くない話だろ?」
「そんな方法で解決できるのかしら。 私の罪は重いのよ」
「やってみせる。お前がずっと抱え続けなくたっていいんだ。それを滅ぼしていけばいつしかその罪は消えてくれる。その手伝いをどれだけの時間をかけようが俺が手伝う。罪の重さなんて関係ない」
「誰もそんな事頼んでないわよ。お願いから私を困らせないで!」
いい条件だと思って提案したのだが、それでも拒むココネ。それに対して俺は……。
「いつも俺を困らせているのはどこのどいつだ? 自分から何もしようとせずに人を頼ってばかりなのはどこのどいつだ? そんな奴が今更何を言ってんだ!」
「っ!」
少しきつめに彼女に言ってやることにした。もうこの世界にいて二ヶ月以上が経つ。それまでの間に彼女は何度俺を頼っただろうか? 恐らく数え切れないくらいだろうし、これからもそれが続く可能性だってある。なのに、それだというのに……。
「こっちはお前が何でも抱えようとしているその性格が大嫌いで直そうとしているんだよ。確かにお前が他を頼りたくないという気持ちは分かる。ましてや異世界の人間だから尚更だろ」
姫のプライドとして、異世界の人間を頼るのは嫌だという気持ちは分かる。けどそれだったらどうして、扉を使ってまで俺を呼び出した? そんなのは決まっている。
「けどな、分かるんだよ。お前は本当は他人を頼りたくて、一人じゃどうしようもなくなっていて……。でもプライドがあるから頼れない、そうだろ?」
こいつは常に誰かに助けを求めているからだ。本当は自分の罪に押しつぶされそうなくらい精神が追い込まれていて、ちょっとでも崩れたら一気に崩れ出してしまうくらい脆い。
だけど助けを求めようなら、そのプライドがどうしても邪魔をしてしまう。本当はこんなにも弱い人間なのに。ただ一言、助けてって言えば解決する。それなのに……。
「私……そんな事ない。私は誰も頼らなくていいのよ!」
己を否定するココネ。何が彼女をここまでにしたんだろう。それは俺には分からない。だけれど、そこまで拒もうとするなら俺にだってする事がある。
「そうか……じゃあもう、諦めるか」
「ええ、そうしてほしいわ」
「んじゃ、国づくり一人で頑張れよ」
「当たり前じゃない……って、え?」
「誰も頼らないんだろ? だったら国づくりも何もかも一人でやりな。俺は適当に過ごすからさ」
それはこの国から出て行くこと。もう何も考えずに、元の世界に戻れるその時まで、ゆったり過ごす。それがベストだ。
「そんなの自分勝手すぎよ! 私一人じゃできるわけないじゃない」
「じゃあどうするんだ? 俺に頼らないんだろ? 他のやつ探してこいよ」
「これとそれとは違うわよ」
「違くないな。そもそもお前は何で異世界から俺を呼び出した? 猫の手も借りたいくらい困っていて、もっと他の頼りたかったからじゃないのか?」
「そ、それは……」
「ほら否定できない。それがお前の本心なんだよ。何でも一人でやろうとしてできないけど、他を頼るのは自分のプライドが許せなかった。そうじゃないのか? だから部屋もあんな状況だったし、国の復興も何一つ出来ていなかった。結婚の話だってそうだ」
「私は……」
最初から分かっていたことだが、ココネは自分の犯した罪は自分で解決しようとしてずっと空回りし続けてきたのだろう。全てにおいて彼女は一人でこなそうとし、失敗に終わる。それはこの二ヶ月の間過ごしてきた俺でも分かることだった。
「だがな、もうお前は一人じゃないんだよ。セレスとかだってずっとおまえを見捨てないでくれていたんだろ?それはお前がそういう性格だって皆が知っていたからだ。さっきの話の中でもあったように、この城の人はお前にもっと頼って欲しいと思っている。それは俺も同じだ。だから俺を……いや俺達を頼れ!」
まさか自分がこんな事を言うなんて思ってもいなかったが、彼女をその気にさせるにはここまでするしかなかった。あとをどうするかは本人次第だ。
「私……あんたを頼ってもいいの?」
少し間を空けたあと、ココネはそんな事を聞いてきた。
「ああ、当たり前だ。どんどん頼ってくれ」
「本当に……いいの?」
「セレスたちは既にそれをやってくれているんだ、何度も聞くな」
「う、う、う、うわぁぁぁぁぁん」
何かをずっと我慢していたのか、ココネは大泣きした。まるで子供のようにずっと泣き続け、俺はそれをずっと見守っていてあげた。
(本当は気が弱いんだな……)
普段はあんな性格をしているけど、本当はすごく脆くて、まるで子供のような姫なんだこいつは……。
(これで一件落着か……な)
一旦は彼女の問題は解決したが、それ以上の問題が山積みである。果たしてこれら全てを解決できるのだろうか?
(まあ、やるって決めたんだし、頑張るしかないか……)
そんな事は全く気にせんと言わんばかりに俺は、静かに心の中でそう決意をするのであった。
■□■□■□
 そして月日は流れこの世界にやって来て半年以上がが経とうとしていた。
「よし、これで収穫は終わりだな」
「ええ。いよいよね」
 今日はここまで育ててきた野菜達の収穫日。あとはこれを、最近完成した商店街で販売を始めれば少しずつお客を増やすことができるかもしれない。
「いいか? ヘマだけはするなよ」
「あんたこそ」
 相変わらず俺とココネの喧嘩は止まないが、以前よりかは減った気がする。それもこれもあれがキッカケだったのかもしれない。
 そしてもう一つ、カグヤの方なのだが相変わらず口数が少なく、この先どうすればいいかと真面目に考え始めていた。
「おはようカグヤ」
「……おはよう」
 少しだけ会話はできるようになったが、相変わらず記憶は戻らず。何か一つでも思い出せればこっちも助かるのだが、その雰囲気すらない。はて、この先どうすればいいのやら。
「なぁに、またくだらない事考えてるの? 圭ちゃん」
 そんな事をココネの部屋で考えていると、どこかで聞いたことがあるような声が部屋の入口から聞こえたような気がした。
「うるせえな由奈、お前はいつもいつも俺を……って」
 俺はその声に対して、その人物の名を言いながら振り返る。そこに立っていたのは……。
「お久しぶり圭ちゃん」
  茶色の髪の毛でポニーテールを引き下げた俺の腐れ縁とでも言うべき人物、坂本由奈だった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ?」
 本来居るべきでないその存在に、俺は思わず悲鳴に近い声を上げてしまう。
「は、ちょ、何でお前が」
「私もついてきちゃった」
「ついてきちゃったぁぁぁ?」
 い、一体何が起きているんだここは。
      こうして俺の異世界奮闘記は、彼女の登場により新たな局面をが迎えることになったのであった。
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