俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第51話ココネの成長
という事で無事開催された王国祭。始まるなり、やってきたお客さん達は、わいわい騒ぎながら、各々向かいたい場所へと散っていった。
「さて、俺達も行くか」
「そんなに急ぐ必要あるかしら」
「残念ながらその必要があるみたいだぞ」
カレーが販売される所を指差す。そこには既に長蛇の列が。どうやら俺の思惑通り、皆新しいものには目がないようだ。
「あんたってそういう所だけは、やけに頭が回るわよね」
「褒め言葉としてとっておくよ」
小走りで俺達も販売所へ。どうしても開催式があってすぐにはつけないので、他の人に任せていたが、どうやらそれでもヒトデが足りないらしく、俺達が到着するなりココネは製造へ、俺は販売に移された。何だかこれだけ見ると、国王には見えないがそれが俺達のやり方なんだから、今更気にしない。
「いらっしゃいませー」
俺自身実はあまり接客には慣れていないのだが、周囲の人の手助けもあって、販売を始めて一時間が経つ頃には、ぎこちない動きもなくなり、接客業がすっかり身についていた。でもそんな事より、俺は驚かされたことがある。あんなに人を毛嫌っていたココネが、自ら作ったカレーを自分の手で売り出していたのだ。これは彼女が成長している証とでも言うべきだろう。その光景を見ているだけで、俺は涙が出てきそうになってしまった、
「な、何よ。私だって少しくらい接客してもいいでしょ?」
そんな俺を気持ち悪いと言わんばかりの目で見てくるココネ。
「別に悪いだなんて一言も言ってないだろ? それにお前がそこまでできるようになって俺はすごく嬉しいよ」
「絶対にそれ馬鹿にしているわよね? ま、まあ悪い気はしないからいいんだけど」
「よっ! ツンデレ姫」
「そのあだ名やめなさい!」
■□■□■□
そんな調子が続いた午前中は、本当に忙しく、ようやく休めたのがお昼過ぎ。へとへとになりながら、俺とココネは昼飯を食べていた。
「そして予想はしていたけど」
「やっぱりお昼はカレーなのね」
当然とでもいうべきか、俺達の昼飯はカレーライス。ここ連日カレーばかり食べていた俺達にとっては、それはまさに苦行とでも言うべきだろう。でもだからといって、食べないわけにもいかない。午後はまた別の場所で別の事をやる予定になっている。体を動かすだろうから、なにも食べずにはいられない。
「仕方がないけど、ここは我慢するしかないな」
「こんなお昼、二度とごめんだわ」
文句を言いながらもカレーを食べる。何回も食べているというのに、やはりこの味は変わっていない、あれだけ繁盛する理由もなんとなく分かる気がする。
「そういえばあんた、影で何かやろうとしているでしょ」
「何かって?」
「とぼけないで。由奈ちゃんと何か企んでいるのは、既に分かっているんだから」
どこからその情報を仕入れたのだろうか? 二人だけの秘密にしておいたというのに、ココネにはお見通しという事だろう。
「別に大したことをしようとはしていないよ。ただ、リタの為にちょっとした事をしようとしているだけだよ」
「あの引きこもりに?」
「お前と一緒にするなよ。リタはちゃんとした理由がある」
「わ、私だってちゃんと理由があったじゃない」
「何年も引きこもっていて理由もなにもないだろ」
「そ、それは……。と、とにかく何かをしようとしているなら変なこと起こさないように気をつけなさいよ」
「心配するな。閉じてしまった心の扉を、少し開けてあげるだけだから」
「分からないけど、くれぐれもミスしないでよね」
「任せておけって」
何だかんだココネもリタのことを心配しているらしい。ちなみに、俺がリタに何をしようとしているのかというと、
『え? リタちゃんを王国祭に?』
■□■□■□
昨日由奈に話しておいた内容はこのような感じだ。
「つまり、リタちゃんを王国祭に呼んで、一緒にカレーを作ってもらうの?」
「ああ。料理が好きな彼女には一番の策かなって」
「でも彼女は……」
「別に包丁を握れとは言っていない。ただ、料理を作るのを手伝うだけでいいんだ」
「うーん、なんとなく理屈は分かるんだけど、部屋に引きこもったままだよ?」
「だからお前に頼んだんだよ」
「え? もしかして頼みごとってリタちゃんをまず部屋から出すこと?」
「そういう事。男の俺なんかが行くよりは女のお前のほうがまだいいかなって思って。話せないことも同じ女性同士なら話せるだろ?」
「そうだけど……。私なんかにできるかな」
「できるさ。お前なら」
俺は由奈のことを信じていた。だからこそ彼女に重要な役割を頼んだのだ。リタを外に出させるという重要な仕事を。それさえ成功すれば、あとはこっちが何とかできる。
「ケイイチ、そろそろ時間よ」
「え、俺まだ食べ終わってないんだけど。てか、食べるの早いな!」
「あんたがいつまでもタラタラしているからよ。ほら、さっさと行くわよ」
「あ、おい!」
まだ食べ終わっていないカレーを残したまま俺はココネを追い、王国祭の午後のイベントの準備へと向かうのであった。
「さて、俺達も行くか」
「そんなに急ぐ必要あるかしら」
「残念ながらその必要があるみたいだぞ」
カレーが販売される所を指差す。そこには既に長蛇の列が。どうやら俺の思惑通り、皆新しいものには目がないようだ。
「あんたってそういう所だけは、やけに頭が回るわよね」
「褒め言葉としてとっておくよ」
小走りで俺達も販売所へ。どうしても開催式があってすぐにはつけないので、他の人に任せていたが、どうやらそれでもヒトデが足りないらしく、俺達が到着するなりココネは製造へ、俺は販売に移された。何だかこれだけ見ると、国王には見えないがそれが俺達のやり方なんだから、今更気にしない。
「いらっしゃいませー」
俺自身実はあまり接客には慣れていないのだが、周囲の人の手助けもあって、販売を始めて一時間が経つ頃には、ぎこちない動きもなくなり、接客業がすっかり身についていた。でもそんな事より、俺は驚かされたことがある。あんなに人を毛嫌っていたココネが、自ら作ったカレーを自分の手で売り出していたのだ。これは彼女が成長している証とでも言うべきだろう。その光景を見ているだけで、俺は涙が出てきそうになってしまった、
「な、何よ。私だって少しくらい接客してもいいでしょ?」
そんな俺を気持ち悪いと言わんばかりの目で見てくるココネ。
「別に悪いだなんて一言も言ってないだろ? それにお前がそこまでできるようになって俺はすごく嬉しいよ」
「絶対にそれ馬鹿にしているわよね? ま、まあ悪い気はしないからいいんだけど」
「よっ! ツンデレ姫」
「そのあだ名やめなさい!」
■□■□■□
そんな調子が続いた午前中は、本当に忙しく、ようやく休めたのがお昼過ぎ。へとへとになりながら、俺とココネは昼飯を食べていた。
「そして予想はしていたけど」
「やっぱりお昼はカレーなのね」
当然とでもいうべきか、俺達の昼飯はカレーライス。ここ連日カレーばかり食べていた俺達にとっては、それはまさに苦行とでも言うべきだろう。でもだからといって、食べないわけにもいかない。午後はまた別の場所で別の事をやる予定になっている。体を動かすだろうから、なにも食べずにはいられない。
「仕方がないけど、ここは我慢するしかないな」
「こんなお昼、二度とごめんだわ」
文句を言いながらもカレーを食べる。何回も食べているというのに、やはりこの味は変わっていない、あれだけ繁盛する理由もなんとなく分かる気がする。
「そういえばあんた、影で何かやろうとしているでしょ」
「何かって?」
「とぼけないで。由奈ちゃんと何か企んでいるのは、既に分かっているんだから」
どこからその情報を仕入れたのだろうか? 二人だけの秘密にしておいたというのに、ココネにはお見通しという事だろう。
「別に大したことをしようとはしていないよ。ただ、リタの為にちょっとした事をしようとしているだけだよ」
「あの引きこもりに?」
「お前と一緒にするなよ。リタはちゃんとした理由がある」
「わ、私だってちゃんと理由があったじゃない」
「何年も引きこもっていて理由もなにもないだろ」
「そ、それは……。と、とにかく何かをしようとしているなら変なこと起こさないように気をつけなさいよ」
「心配するな。閉じてしまった心の扉を、少し開けてあげるだけだから」
「分からないけど、くれぐれもミスしないでよね」
「任せておけって」
何だかんだココネもリタのことを心配しているらしい。ちなみに、俺がリタに何をしようとしているのかというと、
『え? リタちゃんを王国祭に?』
■□■□■□
昨日由奈に話しておいた内容はこのような感じだ。
「つまり、リタちゃんを王国祭に呼んで、一緒にカレーを作ってもらうの?」
「ああ。料理が好きな彼女には一番の策かなって」
「でも彼女は……」
「別に包丁を握れとは言っていない。ただ、料理を作るのを手伝うだけでいいんだ」
「うーん、なんとなく理屈は分かるんだけど、部屋に引きこもったままだよ?」
「だからお前に頼んだんだよ」
「え? もしかして頼みごとってリタちゃんをまず部屋から出すこと?」
「そういう事。男の俺なんかが行くよりは女のお前のほうがまだいいかなって思って。話せないことも同じ女性同士なら話せるだろ?」
「そうだけど……。私なんかにできるかな」
「できるさ。お前なら」
俺は由奈のことを信じていた。だからこそ彼女に重要な役割を頼んだのだ。リタを外に出させるという重要な仕事を。それさえ成功すれば、あとはこっちが何とかできる。
「ケイイチ、そろそろ時間よ」
「え、俺まだ食べ終わってないんだけど。てか、食べるの早いな!」
「あんたがいつまでもタラタラしているからよ。ほら、さっさと行くわよ」
「あ、おい!」
まだ食べ終わっていないカレーを残したまま俺はココネを追い、王国祭の午後のイベントの準備へと向かうのであった。
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