俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第60話もう一つの真実
「ふふっ、まさかこんなにも簡単に暴かれるなんて思ってもいませんでしたわ」
俺の核心ついた質問に、何故かメリアーナは笑みを浮かべていた。追い詰められているのにこの余裕、彼女はまだ何かを隠しているというのだろうか? そもそも何故彼女は、俺達にこんなにも重要なことを話してくれたのだろうか? 色々と分からない事ばかりだ。
「今あなたは何故私が、この国のことを教えてくれたのかと思いましたね?」
「ああ。正体を隠してまで何故話したのかさっぱり分からない」
「その答えは簡単ですよ。あなたにはこれら全てを知った上で、自分が置かれている状況を認識してもらいたかったんです」
「俺が今置かれている状況?」
「この世界には刻印を持つ者が確認されているだけでも、百人以上はいます。そしてその刻印が真の力を発揮した時、その百人によってこの世界は滅ぼされるのです」
「世界が滅ぶだと?!」
「小規模ではありますが、あなたも話だけは聞いたことがあるはずです。この刻印の真の力を」
刻印の真の力なんて聞き覚えがない。それを知ったのは今だし、具体的な内容なんて分からない。それなのに聞いたことがあるって、それはどういう事だ。
(まさか)
一つだけ心当たりがある。けどそれは、本来ならばココネが起こしてしまった事件であり、無関係のはずだ。
「どうやら心当たりがあるようですね」
「あれもお前達が仕組んだのか?」
「仕組んだ……というよりは、偶然起きたものですよ。まあ彼の協力がなければ、成功はしませんでしたけど」
何ということだ。全ては最近始まったものではなかったという事か。既にずっと前から、悪夢は始まり始めていた。それを知らないココネは計り知れないくらい傷ついた。国を担うものとしての責任、それがどれだけ彼女に重みを与えたか。
「許さねえ」
「何か言いましたか?」
「お前ら絶対に許さねえ」
今俺の頭の中にある考えはただ一つ。目の前にいるこいつを殴る。
(こいつらは、あいつを傷つけた。理由はそれだけで充分だ)
「女性を殴ろうとするなんて、随分性格が悪いんですね」
「誰かを守るためなら、誰であろうと容赦はしない!」
「いいですよ。かかってきてください」
「うぉぉぉぉ」
俺は溜まった怒りを彼女にぶつけるかのように全力でメリアーナに殴りかかった。
けど、それ止めた人がいた。
「やめて圭一君!」
それは由奈だった。体にしがみつかれ、俺は動きを封じられてしまう。
「何で邪魔するんだよ由奈! お前の刻印だってこいつらが原因なんだぞ」
「それでも……それでもやめて! そんな暴力で解決しようとするなんて卑怯だよ」
「卑怯だって何だっていい。こいつらは色々な人を傷つけた。許されるわけないだろ!」
意地でも離そうとしない由奈を、何とか振りほどこうとするが、その前にメリアーナが動き出してしまった。
「どうやらこの勝負は、お預けみたいですね」
「おい待て! まだ話は終わってない」
その場を立ち去ろうとするメリアーナを何としても止めようとするが、彼女はそれを無視してどんどん遠ざかっていく。
「あ、そういえば一つだけお伝えするのを忘れていた事がありました」
いよいよ姿が見えなくなるところで、メリアーナは何かを思い出したかのように、こちらに顔を向けた。
「ココネ姫のことですが、あなたと彼女の思い出深い地に連れ去りました。返してほしければ、そこまで来てください。全てが手遅れになる前に」
「思い出深い地?」
「それではー」
そう言い残すと、今度こそメリアーナはいなくなってしまった。
■□■□■□
メリアーナが去った後、ようやく由奈に振りほどいてもらった俺は、怒りのやり場がない事に、どうすればいいか分からなくなっていた。
「どうして止めたんだよ由奈。あいつを許していいのかよ」
「許されないことなのは分かっている。けど、暴力を振るったら圭一君がしている事も何も変わらないよ」
「あいつらはココネの気持ちを踏みにじったうえに、お前にこんな刻印を付けさせた。それに対して暴力じゃなく、何で解決すればいいんだよ。お前だって被害者なのに、黙っていられるのか?」
「圭一君の気持ちは分かる。分かるけど、そんな方法で解決なんかしてほしくない」
分からない。戦う以外の方法でこれまでの事件を解決する方法なんてどこにある。このままだと、ココネに何が起きるかわからないし、世界がどうにかなってしまうかもしれない。そんなのいいはずがない。戦わなければ始まらない。
「とにかくまずは、思い出深い地に向かおう。このまま城に居続けても駄目だ」
「私は……行かない。戦うこともできないし、リタちゃん達の事だってあるもん」
「じゃあ由奈は、俺達の帰る場所を守っていてくれ。いつ何が起きるか分からないから」
「でも圭一君一人で行くなんて、危ないよ」
「心配するな。俺だって考えなく行くわけじゃないから」
「え?」
一人で敵地に赴くような無謀な真似だけはしない。そんな事したら。あいつに何言われるか分からないし。
「俺には心強い味方がいるから心配するな」
俺の核心ついた質問に、何故かメリアーナは笑みを浮かべていた。追い詰められているのにこの余裕、彼女はまだ何かを隠しているというのだろうか? そもそも何故彼女は、俺達にこんなにも重要なことを話してくれたのだろうか? 色々と分からない事ばかりだ。
「今あなたは何故私が、この国のことを教えてくれたのかと思いましたね?」
「ああ。正体を隠してまで何故話したのかさっぱり分からない」
「その答えは簡単ですよ。あなたにはこれら全てを知った上で、自分が置かれている状況を認識してもらいたかったんです」
「俺が今置かれている状況?」
「この世界には刻印を持つ者が確認されているだけでも、百人以上はいます。そしてその刻印が真の力を発揮した時、その百人によってこの世界は滅ぼされるのです」
「世界が滅ぶだと?!」
「小規模ではありますが、あなたも話だけは聞いたことがあるはずです。この刻印の真の力を」
刻印の真の力なんて聞き覚えがない。それを知ったのは今だし、具体的な内容なんて分からない。それなのに聞いたことがあるって、それはどういう事だ。
(まさか)
一つだけ心当たりがある。けどそれは、本来ならばココネが起こしてしまった事件であり、無関係のはずだ。
「どうやら心当たりがあるようですね」
「あれもお前達が仕組んだのか?」
「仕組んだ……というよりは、偶然起きたものですよ。まあ彼の協力がなければ、成功はしませんでしたけど」
何ということだ。全ては最近始まったものではなかったという事か。既にずっと前から、悪夢は始まり始めていた。それを知らないココネは計り知れないくらい傷ついた。国を担うものとしての責任、それがどれだけ彼女に重みを与えたか。
「許さねえ」
「何か言いましたか?」
「お前ら絶対に許さねえ」
今俺の頭の中にある考えはただ一つ。目の前にいるこいつを殴る。
(こいつらは、あいつを傷つけた。理由はそれだけで充分だ)
「女性を殴ろうとするなんて、随分性格が悪いんですね」
「誰かを守るためなら、誰であろうと容赦はしない!」
「いいですよ。かかってきてください」
「うぉぉぉぉ」
俺は溜まった怒りを彼女にぶつけるかのように全力でメリアーナに殴りかかった。
けど、それ止めた人がいた。
「やめて圭一君!」
それは由奈だった。体にしがみつかれ、俺は動きを封じられてしまう。
「何で邪魔するんだよ由奈! お前の刻印だってこいつらが原因なんだぞ」
「それでも……それでもやめて! そんな暴力で解決しようとするなんて卑怯だよ」
「卑怯だって何だっていい。こいつらは色々な人を傷つけた。許されるわけないだろ!」
意地でも離そうとしない由奈を、何とか振りほどこうとするが、その前にメリアーナが動き出してしまった。
「どうやらこの勝負は、お預けみたいですね」
「おい待て! まだ話は終わってない」
その場を立ち去ろうとするメリアーナを何としても止めようとするが、彼女はそれを無視してどんどん遠ざかっていく。
「あ、そういえば一つだけお伝えするのを忘れていた事がありました」
いよいよ姿が見えなくなるところで、メリアーナは何かを思い出したかのように、こちらに顔を向けた。
「ココネ姫のことですが、あなたと彼女の思い出深い地に連れ去りました。返してほしければ、そこまで来てください。全てが手遅れになる前に」
「思い出深い地?」
「それではー」
そう言い残すと、今度こそメリアーナはいなくなってしまった。
■□■□■□
メリアーナが去った後、ようやく由奈に振りほどいてもらった俺は、怒りのやり場がない事に、どうすればいいか分からなくなっていた。
「どうして止めたんだよ由奈。あいつを許していいのかよ」
「許されないことなのは分かっている。けど、暴力を振るったら圭一君がしている事も何も変わらないよ」
「あいつらはココネの気持ちを踏みにじったうえに、お前にこんな刻印を付けさせた。それに対して暴力じゃなく、何で解決すればいいんだよ。お前だって被害者なのに、黙っていられるのか?」
「圭一君の気持ちは分かる。分かるけど、そんな方法で解決なんかしてほしくない」
分からない。戦う以外の方法でこれまでの事件を解決する方法なんてどこにある。このままだと、ココネに何が起きるかわからないし、世界がどうにかなってしまうかもしれない。そんなのいいはずがない。戦わなければ始まらない。
「とにかくまずは、思い出深い地に向かおう。このまま城に居続けても駄目だ」
「私は……行かない。戦うこともできないし、リタちゃん達の事だってあるもん」
「じゃあ由奈は、俺達の帰る場所を守っていてくれ。いつ何が起きるか分からないから」
「でも圭一君一人で行くなんて、危ないよ」
「心配するな。俺だって考えなく行くわけじゃないから」
「え?」
一人で敵地に赴くような無謀な真似だけはしない。そんな事したら。あいつに何言われるか分からないし。
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