俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第61話I belive you
「それでこちらに来たという訳か」
一時間後、由奈を城に残して俺はライドア城に来ていた。
「はい。俺はあいつを……ココネを助けたいんです。これは自分の為ではなくて、国のため、いやこの世界のためでもあるんです」
理由は勿論、ココネを救出するための協力を得るため。今ここで何とかしないと、いずれは世界が滅びかねない事態に陥ってしまう。そんなことにならない為にも、今こそ国同士の協力が必要だ。
「世界のためとは?」
「実は……」
俺はタナトゥス国王に、メリアーナの話を含めて、今考えられる様々な可能性を話した。刻印が秘めている真の力というものが、どのようなものなのか明確には分からない。けど、メリアーナの発言を含めて考えると、それは世界を揺るがすものになる。そしてそれが、今まさに起きようとしているのだ。ココネを利用して。
「その話が本当なら、我々も協力しなければならないな。それに同盟を組んでいる間柄、ココネ姫を助けたいというその気持ちに、答えてあげなければな」
「ありがとうございます!」
こういう時にお互いが協力し合える関係を築き上げておくのは、国づくりの基本中の基本。一人で心細いときこそ、誰かがいれば何倍もの力になる。俺はそれを改めて実感したのであった。
「では今すぐにこちらは、騎士団を手配しよう。勿論ナルカディアの方の守りも手配する。少々待っていてくれ」
「はい」
■□■□■□
それから十分後、手配が済んだという事で俺は城の外へ。しばらく待っていると、数十人の鎧を着た兵士達がやってきた。その先頭に立っていた人が俺に挨拶をする。
「お初にお目にかかりますケイイチ国王。わたくしはライドア王国騎士団団長、ガルダーナと申します。以後よろしくお願いします」
「そんなに固くならなくていいよ。俺の方が協力してもらう立場なんだから」
かなり硬い挨拶に、苦笑いしながら俺は言う。相手が女性でないからか、こちらも話がしやすくて楽だ。
「では行こうか」
「あのつかぬ事お伺いしますが、目的地はどちらへ?」
「奴が言っていた思い出深い地。多分それは俺とココネが初めてデートした場所、ナルカディア南東部にある海だと思う。だから今から向かうのはそこだよ」
「海なんて、珍しいところに敵がいますね」
「元々あそこは魔物が多いらしいな。奴らにとってはそこが何かをするために最適な場所なんだよ」
「確かにあそこは、いい噂は聞きませんが、本当に大丈夫ですか?」
「行ってみないと始まらないわけだし、とにかく向かうぞ」
「は、はい!」
俺は騎士団を引き連れて歩き出す。
さあ、準備は整ったし、あとは戦いに向かうだけだ。
「というか歩きで行くのか?」
「これだけの人数が乗れる馬車がございませんから」
「いやそれはそうだけどさ」
時間がないっていうのに、呑気に歩いて向かって大丈夫か?
■□■□■□
目を開くと、私は暗い闇の中にいた。
光もなにもない無限に広がる闇、一体ここはどこなのだろうか?
(すごく怖い)
今までに感じたことのないほどの恐怖。でも何故だかその感覚に、私は身に覚えがあった。
(これはあの時の……)
そう。五年前に私自身が体験したあの感覚と、すごく似ていて体中がそれを拒んでいた。
(誰か助けて!)
叫ぼうとしても声にならない。私はどうすえば……。
『ココネ!』
どこか遠くであの馬鹿の声が聞こえる。私はいつからあいつのことを考えてしまう人間になったんだろう。あいつに出会ってから私は変わった。最初はうざいとしか思っていなかった説教も、最近は自分のいけない所だと認識できるようになってきた。そう、あいつがいたから私は変われたんだ。
(そっか。やっぱりあいつの言うとおりだったんだ)
誰だって変わりたいという意思があれば、変われるって始めの頃あいつが言っていた。今ならそれがはっきりと理解できる。
(それは私だけじゃない、この国のことだってそう)
自分の責任で、一度壊してしまったこの国も、少しずつではあるけど元の姿に戻り始めている。それは決して私一人じゃできないことだったと思う。あいつがいなかったら、ずっとなにも変わらないままだった。お父さんとお母さんが作り上げてくれたあの国を私は一度は捨てようとしていた。でもあいつは諦めようなんてしなかった。
(本当、変わったなぁ。何もかもが)
でもまだ一度も感謝の言葉を述べていない。本当はもっと前から言うべき言葉だったのに、私は言えていなかった。ありがとうって。
(でも今は、そんな場合じゃない……か)
今私は一人暗闇の中にいる。声も出せない。ただひたすらに祈ることしかできない。
誰かがきっと助けに来てくれるって。
いや、
絶対ケイイチが助けに来てくれるって。
だから祈り続けよう。彼が助けに来てくれるのを。
(助けて。ケイイチ!)
届くか分からないけど、それでもいい。信じ続ければきっと助けに来てくれる。絶望の淵から私を救ってくれたように、また助けに来てくれるのを。だから……、だから……。
(信じてるから、私)
一時間後、由奈を城に残して俺はライドア城に来ていた。
「はい。俺はあいつを……ココネを助けたいんです。これは自分の為ではなくて、国のため、いやこの世界のためでもあるんです」
理由は勿論、ココネを救出するための協力を得るため。今ここで何とかしないと、いずれは世界が滅びかねない事態に陥ってしまう。そんなことにならない為にも、今こそ国同士の協力が必要だ。
「世界のためとは?」
「実は……」
俺はタナトゥス国王に、メリアーナの話を含めて、今考えられる様々な可能性を話した。刻印が秘めている真の力というものが、どのようなものなのか明確には分からない。けど、メリアーナの発言を含めて考えると、それは世界を揺るがすものになる。そしてそれが、今まさに起きようとしているのだ。ココネを利用して。
「その話が本当なら、我々も協力しなければならないな。それに同盟を組んでいる間柄、ココネ姫を助けたいというその気持ちに、答えてあげなければな」
「ありがとうございます!」
こういう時にお互いが協力し合える関係を築き上げておくのは、国づくりの基本中の基本。一人で心細いときこそ、誰かがいれば何倍もの力になる。俺はそれを改めて実感したのであった。
「では今すぐにこちらは、騎士団を手配しよう。勿論ナルカディアの方の守りも手配する。少々待っていてくれ」
「はい」
■□■□■□
それから十分後、手配が済んだという事で俺は城の外へ。しばらく待っていると、数十人の鎧を着た兵士達がやってきた。その先頭に立っていた人が俺に挨拶をする。
「お初にお目にかかりますケイイチ国王。わたくしはライドア王国騎士団団長、ガルダーナと申します。以後よろしくお願いします」
「そんなに固くならなくていいよ。俺の方が協力してもらう立場なんだから」
かなり硬い挨拶に、苦笑いしながら俺は言う。相手が女性でないからか、こちらも話がしやすくて楽だ。
「では行こうか」
「あのつかぬ事お伺いしますが、目的地はどちらへ?」
「奴が言っていた思い出深い地。多分それは俺とココネが初めてデートした場所、ナルカディア南東部にある海だと思う。だから今から向かうのはそこだよ」
「海なんて、珍しいところに敵がいますね」
「元々あそこは魔物が多いらしいな。奴らにとってはそこが何かをするために最適な場所なんだよ」
「確かにあそこは、いい噂は聞きませんが、本当に大丈夫ですか?」
「行ってみないと始まらないわけだし、とにかく向かうぞ」
「は、はい!」
俺は騎士団を引き連れて歩き出す。
さあ、準備は整ったし、あとは戦いに向かうだけだ。
「というか歩きで行くのか?」
「これだけの人数が乗れる馬車がございませんから」
「いやそれはそうだけどさ」
時間がないっていうのに、呑気に歩いて向かって大丈夫か?
■□■□■□
目を開くと、私は暗い闇の中にいた。
光もなにもない無限に広がる闇、一体ここはどこなのだろうか?
(すごく怖い)
今までに感じたことのないほどの恐怖。でも何故だかその感覚に、私は身に覚えがあった。
(これはあの時の……)
そう。五年前に私自身が体験したあの感覚と、すごく似ていて体中がそれを拒んでいた。
(誰か助けて!)
叫ぼうとしても声にならない。私はどうすえば……。
『ココネ!』
どこか遠くであの馬鹿の声が聞こえる。私はいつからあいつのことを考えてしまう人間になったんだろう。あいつに出会ってから私は変わった。最初はうざいとしか思っていなかった説教も、最近は自分のいけない所だと認識できるようになってきた。そう、あいつがいたから私は変われたんだ。
(そっか。やっぱりあいつの言うとおりだったんだ)
誰だって変わりたいという意思があれば、変われるって始めの頃あいつが言っていた。今ならそれがはっきりと理解できる。
(それは私だけじゃない、この国のことだってそう)
自分の責任で、一度壊してしまったこの国も、少しずつではあるけど元の姿に戻り始めている。それは決して私一人じゃできないことだったと思う。あいつがいなかったら、ずっとなにも変わらないままだった。お父さんとお母さんが作り上げてくれたあの国を私は一度は捨てようとしていた。でもあいつは諦めようなんてしなかった。
(本当、変わったなぁ。何もかもが)
でもまだ一度も感謝の言葉を述べていない。本当はもっと前から言うべき言葉だったのに、私は言えていなかった。ありがとうって。
(でも今は、そんな場合じゃない……か)
今私は一人暗闇の中にいる。声も出せない。ただひたすらに祈ることしかできない。
誰かがきっと助けに来てくれるって。
いや、
絶対ケイイチが助けに来てくれるって。
だから祈り続けよう。彼が助けに来てくれるのを。
(助けて。ケイイチ!)
届くか分からないけど、それでもいい。信じ続ければきっと助けに来てくれる。絶望の淵から私を救ってくれたように、また助けに来てくれるのを。だから……、だから……。
(信じてるから、私)
コメント